3年度公立高・特校長会議 道教委所管事項説明 不祥事防止 必要に応じ個別指導 地方創生へ地域と協働(道・道教委 2021-06-01付)
山本純史総務政策局長
道教委の令和3年度公立高校長・特別支援学校長会議では、山本純史総務政策局長、相内修司生涯学習推進局長、伊賀治康教職員局長、唐川智幸学校教育局長、櫻井良之高校配置担当局長が各所管事項を説明した。概要はつぎのとおり。
◆総務政策局
▼予算の効率的な執行
道財政は、これまで行財政改革に取り組んできた結果、収支不足額が縮小するなど着実に改善が図られてきたものの、新型コロナウイルス感染症の影響による道税収入の大幅な減少などによって、3年度に収支不足が拡大し、4年度以降も続く見通しにある。
3年度の学校運営費については国の補助を活用し、感染症対策や教員の資質向上などを行う学校裁量予算である学校教育活動継続支援事業の配分を予定している。これを除いた学校運営費は、毎年のシーリングや燃料・電気料金単価の下落などの要因から、2年度に比べ大幅な減となっている。
今後も、道税収入の減少や生徒数の減によって、学校に関連する予算は厳しさを増すものと考えられる。現時点で学校教育活動継続支援事業は3年度限りとされていることを踏まえ、各学校においては感染症対策はもちろん、子どもたちの学習保障支援に資するICT機器を整備するなど、限られた予算の中で最大の効果が上がるよう、当該事業を含めたすべての予算執行の方法を、これまで以上に見直すなど、厳正かつ効果的・効率的な執行に努めるようお願いする。
▼財務会計事務の適正執行
道立学校における財務会計事務については、これまでも適正に執行していただくようお願いしてきたが、元年度以降、不適切な会計処理によって懲戒処分を受けた事例が4件あった。
1件目は、高校事務主任が授業料の徴収を怠った上、自費で払い込み、その後、約1年間放置したとして、戒告処分。
2件目は、特別支援学校事務長が、契約した工事や物品購入の代金を自費で支払ったとして減給2ヵ月。
3件目は、特別支援学校教諭が、自校が管理していた商品券や宿泊研修費を着服したとして、懲戒免職。
4件目は、高校事務職員が、決定書を作成せずに口頭発注した物品購入等の代金を自費で支払ったとして戒告処分。
なお、これらの不適切な会計処理に関しては、管理監督者についても文書訓告や戒告となっている。公費・私費にかかわらず、不適切な会計処理は、生徒や保護者、地域の信頼を損ね、学校教育の推進に重大な影響を及ぼす。
各校長においては、このことを職員に強く認識させるとともに、内部けん制を十分機能させるなど、財務会計事務の適正執行に万全を期していただくようお願いする。
▼教職員の不祥事防止
職員の服務規律の確保については、これまでも機会あるごとに、所属職員への指導を徹底するようお願いしてきた。こうした取組の結果として、2年度は懲戒処分件数が48件と、元年度と比べて減少したことは、各校長の指導の成果と認識している。
しかし、道立学校教職員の懲戒処分に着目してみると、宿泊研修費などを着服するといった金銭事故によって免職処分となった事故が1件、不適切な身体接触といった同僚職員へのセクハラによって停職処分となった事故が1件、飲酒の翌朝に物損事故を起こすといった飲酒運転によって停職処分となった事故が1件など、教育公務員としての自覚を欠いた悪質な事案が発生しており、依然として憂慮すべき状況となっている。
このため、各校長には、自校職員への指導に当たり、会議等における形式的な注意喚起にとどめることなく、職員一人ひとりと向き合い、悩みやストレス、普段から考えていることなどを十分に把握し、必要に応じて個別に指導するなど、服務規律の確保に万全を期していただくようお願いする。
▼道立学校の施設整備
校舎や体育施設の大規模改造については、高校延べ12校、特別支援学校延べ7校で工事を予定しているが、うち、新型コロナウイルス感染症に関する換気対策の徹底に伴い、2年度に実施予定だった外壁工事を3年度に繰り越し、一部の学校で外部工事と内部工事を同時に行う。
また、新型コロナウイルス感染症対策として、国の交付金を活用し、道立高校81校について、トイレ洋式化工事を予定している。
その他、各事業の実施については、学校運営に支障が生じることがないよう努める。
新型コロナウイルス感染症の影響によって工期に変更等が生じる場合もあるので、関係校においては、その際の調整に協力をお願いする。
▼学校施設の安全管理
2年度、道立学校で2件、職員公宅で1件のぼやが発生している。いずれも初期対応によって大事には至らなかったが、一歩間違えれば大きな火災となり、人命にも影響を与えかねない事態となる。
各学校においては、あらためて防火体制を確認するなど、学校火災の防止に万全を期すようお願いする。
近年、大雨などの自然災害による学校施設への被害が多く発生している。今後も、学校施設の機能を維持するための日常点検のほか、気象台が発表する気象情報などに十分注意し、特に、災害後は校舎の目視等による点検を徹底するよう併せてお願いする。
▼道立学校ふるさと応援事業
本事業は、ふるさと納税制度活用の機運の全国的な高まりを踏まえ、本道においても、北海道の次代を担う人材を育成するため、各学校が企画する教育環境整備などの事業計画や、国際交流によるグローバル人材育成の充実を図る交換留学などを応援する仕組みとして、元年9月から実施している。
事業の趣旨に賛同し寄付をいただいた金額は、元年度363万9000円、2年度は1808万3000円、合計2172万2000円となった。
寄付者が指定した学校のみならず、全道立学校を対象として留学の機会を拡大し、国際交流の充実に資するものでもある。各学校においては、同窓会への周知や本事業のPR活動に尽力・協力いただくようお願いする。
◆生涯学習推進局
▼道CLASSプロジェクト(地学協働活動推進実証事業)
道立高校と自治体や産業界をつなぎ、地域課題探求型のキャリア教育を推進する新規事業。
研究指定校ごとに地域コーディネーターを配置し、研究指定校校長、企業等・経済団体関係者、自治体および振興局職員など、多様な人材で構成するコンソーシアムを構築し、地方創生に向けた、高校と地域との連携・協働によって事業を実施する。
研究指定校以外の道立学校についても、学びと地域づくりが一体となった取組を支援するため、道教委の社会教育主事が巡回方式で学校訪問する。理解と協力をお願いする。
▼学校卒業後における障がい者の学びの支援に関する実践研究事業
障がい者本人や家族、福祉、医療、教育等の関係者が参画し、学校卒業後における障がい者の学びの場の整備・拡充や情報共有の仕組みなどを協議し、障がい者の多様な学習活動の総合的な支援を推進するための実践研究や調査研究を行い、共生社会の実現に向けた取組を推進することを目的として、文部科学省から委託を受け、2年度から3ヵ年で実施している。
2年度は、関係機関の参画による地域連携コンソーシアムの形成や、障がい者の学びのニーズを踏まえた講座、合理的配慮を含む必要な支援についてモデル事業を通じた実践研究に取り組んだ。
3年度からは、学校卒業後の障がい者の学びの場を拡充するため、特別支援学校と連携した取組の検討に着手する。
また、検討の進ちょく状況によっては事業への協力をお願いする。
▼道立青少年活動支援施設ネイパル
本道における新型コロナウイルスの感染状況などから、3年度も、各ネイパルの宿泊利用定員を引き続き概ね100人以下とする。
また、安全・安心に利用いただけるよう、利用者には新北海道スタイルの実践や就寝前・起床後の検温、使用後の研修室の消毒など、感染拡大防止対策に協力いただいている。
各校においては、ネイパルの運営に理解と協力をお願いするとともに、宿泊研修等での利用について検討をお願いする。
◆教職員局
▼教職員の人材育成
近年、教頭昇任候補者選考の受検者数が減少していることから、選考の資格要件の緩和や筆記選考の免除などによって候補者の確保を図っているが、受検者の増加にはつながっていない。特に、高校における教頭候補者の確保は危機的な状況と考えている。
道教委では、高校における教頭確保に重点的に取り組むため、4月に関係課や高校長協会、教頭・副校長会をメンバーとする会議を設置し、今後、高校長協会と道教委連名による教職員向けアンケートや校長向けメッセージの発出などを予定している。
女性の管理職登用に当たっては、3月に新たな5年間の特定事業主行動計画(第2期)を策定し、7年度までに管理職員に占める女性教職員の割合を引き続き15%にすることを目標と定めたが、3年4月1日現在の割合は、高校4・7%、特別支援学校13・7%で、一層の取組が必要な状況となっている。
管理職の育成・登用に向けた意識の醸成に当たっては、意欲のある職員を男女問わず早い段階から学校目標の達成や課題解決に向けた実践に参画させ、中核となって実践できる力量を身に付けさせることが重要である。
次世代を担う管理職候補者の育成は、校長の力添えによるところが極めて大きいと考えている。引き続き尽力をお願いする。
▼学校における働き方改革
これまでの成果と課題を踏まえ、より実効性を高めるよう見直しを図り、本年3月にアクションプラン(第2期)を策定した。
学校の教育目標の実現に向けて、人的・物的資源をどのように投入するかというカリキュラム・マネジメントの側面をもつ。新学習指導要領の理念の実現に必要な学校マネジメントそのものである。
目的は、「教員のこれまでの働き方を見直し、自らの授業を磨くとともに日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、自らの人間性や創造性を高め、子どもたちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになること」である。
各学校においては、こうした理念を踏まえ、個の気付き、チームの対話、地域との協働を土台に、時間外在校等時間について、1ヵ月45時間以内、1年間で360時間以内とする目標を達成するため、校内にコアチームを編成するなど、職員の課題意識を高め、主体的な業務改善に取り組むようお願いする。
さらに、3年度は、各教育局から、これまで以上に積極的に指導させていただく予定であり、結果は本庁に報告してもらうこととしている。
道立学校職員の在校等時間については、各学校から毎月報告いただき、四半期ごとに集計結果を公表している。
集計の結果、特に、時間外在校等時間が多い学校については、学校長に対し、超過した要因を明確にしていただき、職員の健康などにも配慮した業務平準化を図るよう、引き続き強く指導していく。
部活動については、道の方針に基づき、活動時間は1週間で長くとも原則11時間程度、高校の弾力的な設定等の特例において16時間程度と示している。
生徒がバランスのとれた生活を送り、多様な経験ができるよう、方針の順守をお願いする。
なお、大会前の特例などで、休業日に4時間程度の指導をした教員に対しては、勤務時間の割り振り変更などを活用して適切に対応するようお願いする。
▼へき地等学校の級別指定の見直し
へき地手当に関する規則で「概ね6年ごとに行う」ことと定められている。前回の見直しから6年目となる4年1月施行に向け、現行基準に基づき作業を行う予定。
見直し作業に当たっては、学校の事務において、へき地級地算定のための資料を作成する。
▼過重労働による健康障害防止対策
道立学校職員の過重労働による健康障害防止対策取扱要領において、直近1ヵ月に正規の勤務時間を超えて業務に従事した時間が45時間を超えた人などは、産業医または健康管理医に報告することとしている。
直近1ヵ月の従事時間が80時間を超えた人などは、職員の申出によって産業医等による面接指導の対象としている。
人事院規則において直近1ヵ月の従事時間が100時間を超えた人や、直近の2ヵ月から6ヵ月までのいずれかの1ヵ月当たりの平均従事時間が80時間を超えた人に対しては、職員からの申出の有無にかかわらず医師の面接指導を実施することとしている。
各校長においては、職員の勤務時間の適正な把握と、過重労働にならないマネジメントをお願いする。
また、対象職員がいた場合は積極的に面接指導を受けるよう働きかけるとともに、過重労働による健康障害の未然防止に向けた取組をお願いする。
▼ストレスチェック制度
全道の教職員の精神疾患による病気休職者は依然として多く、メンタルヘルス対策の取組は喫緊の課題となっている。
道教委では、平成28年度から、すべての道立学校の教職員を対象に、ストレスチェックを実施している。
2年度の受検状況については、受検率が低い学校に対し、未受検者の受検勧奨を行うようお願いした。道立学校全体で97・4%の受検率で、元年度比1・1ポイント増加した。一方で、受検率が90%未満の学校も11校あった。
制度は、教職員自身のストレスへの気付きを促すとともに、職場環境の改善につなげ、メンタルヘルス不調を未然に防止することを目的としている。
教職員の心の健康の保持増進を図る上で、極めて重要な取組である。制度を効果的に運用するためにも、すべての受検対象者が受検するよう働きかけをお願いする。
◆学校教育局高校配置担当
▼高校配置計画
3年度は、すでに決定済みの4・5年度に加え、新たに6年度の計画を策定する。例年同様、6月上旬に計画案を示し、9月上旬に成案とする予定。
6年度以降も中卒者数は全道で減少傾向にあり、6年度は144人、7年度から10年度にかけては2561人と大きく減少する。
各学区における高校の配置状況などを考慮すると、今後、都市部での再編を含めた定員調整の実施を検討せざるを得ない状況と考えている。その際には、教育課程の工夫等について検討いただき、地域の実情などに関して情報提供いただきたいと考えている。よろしくお願いする。
▼高校の魅力化
2年度、『地域創生に向けた高校魅力化の手引』を作成・配布した。本手引は、各高校において、地域創生の観点からも、地域と連携・協働し、生徒から選ばれる高校づくりを推進する必要があることから、その参考となる資料として、地域創生における高校の役割や魅力化に向けた具体的な取組例を示した。
3年度はすべての高校で魅力化に取り組んでいただくこととなっている。手引の第5章「取組の推進」を再度確認するなどし、地域と連携して取組を進めていただきたい。なお、高校教育課において、各学校の取組状況を把握し、実践事例を集約した資料を作成する予定。
▼北海道遠隔授業配信センター(愛称:T―base)
3年度、道高校遠隔授業配信センターを有朋高校に開設。3年度は、地域連携特例校および離島の高校、全27校を対象に遠隔授業を配信する。
T―baseからの遠隔授業配信によって、生徒の興味・関心や大学進学等の多様な進路希望に対応した教科・科目の開設が可能になる。
該当校においては、T―baseの開設やその取組について、中学生やその保護者にとどまらず、地元市町村教委や地域に対し、様々な機会を通して広く周知するとともに、教育課程や教育活動の一層の改善・充実を図っていただくようお願いする。
▼高校生の修学支援
就学支援金、奨学給付金などの修学支援制度については、その内容や問い合わせ先を生徒・保護者に確実に周知するとともに、相談に対しても丁寧な対応をお願いする。
特に、新型コロナウイルス感染症等の影響によって、年度途中において家計が急変した世帯に対する授業料免除や奨学給付金の支給などが考えられる。必要な支援について適切に対応していただきたい。
また、経済的支援にかかわる教育支援制度について、保護者が分かりやすく見ることができるよう、『保護者向けパンフレット』を新たに作成し、本年4月1日付けで教育政策課から各学校に送付している。保護者等に配布するなど、活用いただきたい。
▼高校生の国際交流
高校生の国際交流については、現段階では、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せないことから、当面、交換留学の実施は困難と考えているが、2年度までの北大に加え、室蘭工大や北見工大とも連携し拡充した「Hokkaido Study Abroad Program」や、海外とのオンライン交流などを実施していきたいと考えている。
今後、状況を見極めながら、慎重に検討する必要がある。事業内容が固まり次第、逐次、知らせるので、各学校においても対応いただくようお願いする。
◆学校教育局
【公立学校全般にかかる事項】
▼新型コロナウイルス感染症への対応
▽学校における新しい生活様式の定着
3年4月28日付けで改訂された国の衛生管理マニュアルでは、各学校種の感染経路の傾向に大きな変化はみられず、高校生は感染経路不明の割合が比較的高い。
複数感染者の発生率は高校で高く、10人以上の感染事例は高校の部活動が関係した事例が多い。変異株については、どの年齢であっても感染しやすい可能性がある。
現段階では、変異株が15歳未満で明らかに感染拡大の傾向はみられない。マニュアルにしたがって感染症対策を行っていた場合には、学校内で感染が大きく広がるリスクを下げることができると示されている。
道内においても、変異株の感染拡大が続いている状況ではあるが、変異株であっても、感染予防に有効な対策はこれまでと同様であるとされており、引き続き、3つの密の回避、マスクの着用、手洗いなどの学校における新しい生活様式が定着するようお願いする。
▽児童生徒への指導の徹底
これまでの感染事例では、登下校や昼食時、部活動の休憩中などに、マスクを外して会話をする時間が長かったこと、さらに、発熱はないものの風邪症状がある中での登校などがみられたことから、児童生徒等が正しい知識のもと、感染のリスクを自ら判断し、これを避ける行動をとることができるよう、引き続き、指導の徹底を図るようお願いする。
また、感染者や濃厚接触者となった児童生徒等が、差別・偏見・いじめ・誹謗中傷などの対象にならぬよう、国の資料等を活用するなどして、様々な機会をとらえて感染者の出ていない日常から指導するようお願いする。
▽部活動
部活動等における感染症対策の徹底については、3年4月14日付け教健体第64号通知等に基づき取り組んでいただいているが、各種競技団体等が作成しているガイドラインに基づいた日常の活動のほか、練習試合や遠征および大会等において、移動も含め、あらためて感染症対策を徹底するようお願いする。
▼GIGAスクール構想およびICTを活用した教育の推進
高校においては、4年度から順次本格実施される新学習指導要領に合わせて、環境整備を進めており、本道においても2年度末に高校においての1人1台端末について、経済事情等によって端末の用意が困難な生徒に十分配慮しながら、BYODによって整備する。3年度保護者等への周知を行うなどの準備を進める。
ICTを活用した教育がもたらす学びの変容については、
①一斉学習において、授業中でも生徒一人ひとりの反応や定着度合いを把握できることによって、きめ細かな指導等ができること、いわゆる学びの深化である
②個別学習において、個々の生徒が別々の内容の学習をすることができることによって、生徒一人ひとりの学習ニーズや理解度に応じた個別指導が可能になること
③協働学習において、独自の視点で情報を編集したり、各自の考えを即時に共有したりすることによって、多様な意見にも即時にふれられること、いわゆる学びの転換
―の3点が挙げられる。
さらに、端末を持ち帰ることによって、学校の授業と家庭学習を組み合わせた効果的な学習を進めることが可能となることや、オンライン学習や遠隔授業等の推進も図られると考えている。
また、ICT教育推進課のウェブページ内に「ICT活用ポータルサイト」を開設し、道教委で作成した「ICT活用授業モデル」として、授業を実施する際のヒントを集めた「Tips編」と、1単位時間の授業の流れを示した「デザイン編」を掲載している。各学校において、校内研修や授業準備等を行う際に、積極的に活用していただきたい。
▼生徒指導・学校安全
▽新型コロナウイルス感染症に関係した心のケア
感染症の収束が見通せない中、感染症への不安を抱く児童生徒や保護者に対し、一人ひとりの実情に応じた心のケアに努めることが重要である。各学校においては、児童生徒や家庭の状況を踏まえ児童生徒一人ひとりに応じた教育相談の実施や、スクールソーシャルワーカーや関係機関と連携した保護者を対象とした丁寧な相談を実施するようお願いする。
▽不登校児童生徒の対応
道教委では、感染不安で登校できない児童生徒も含め、道内ですでに実施しているICT等を活用した学習支援の実践を取りまとめた事例集を送付済みである。各学校においては、事例集を積極的に活用し、不登校児童生徒等の学びの保障の取組を進めていただくようお願いする。
▽いじめ、自殺予防、児童生徒虐待、性同一性障がいへの対応
各学校においては、アンケート調査や教育相談によって、初期段階のものも含めて積極的に認知を行う体制づくりを再確認するとともに、学校いじめ防止基本方針が機能しているか点検し、必要に応じて見直すようお願いする。
自殺予防については、SOSの出し方に関する教育を含めた自殺予防教育を実施するとともに、児童生徒のSOSに気付き、手を差し伸べることができるよう、教育相談体制の充実を図るようお願いする。
児童虐待については、あらかじめ対応内容や役割等を確認した上で、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーなどの専門家や関係機関と連携した取組について、全教職員が理解を深めるようお願いする。
性同一性障がいにかかる児童生徒に対する対応については、すべての児童生徒が安心して学べる環境づくりを進めることが重要である。
各学校においては、校内「サポートチーム」の設置、医療機関やスクールカウンセラー等と連携した教育相談体制の充実を図るなどして、児童生徒が互いの違いを認め合い、共に支え合う望ましい人間関係を育む取組をお願いする。
▽防災教育の充実
道、市町村、防災関係機関等と連携し、体験活動と各教科の指導とも関連付けて行う1日防災学校の取組などを活用し、防災教育の充実を図るようお願いする。
大規模災害の発生や、学校への犯罪予告など、学校においては、児童生徒の命を守る安全管理体制の整備が求められている。『学校における危機管理マニュアルの手引(改訂3版)追録』や、東日本大震災による大川小津波訴訟判決を踏まえた学校安全指導資料を活用して、危機管理マニュアルを不断に検証・改善を図るようお願いする。
▼全国学校給食研究協議大会の開催
10月21~22日に第72回全国学校給食研究協議大会(北海道大会)をオンライン形式で開催する予定で準備を進めている。学校における食育を推進する上で重要な役割を担う学校給食の在り方について研究協議を行うほか、学校給食関係者の資質の向上を図ることをねらいとしたシンポジウムや、分科会等を行う。
道教委では、大会を通じて、学校・家庭・地域が連携・協働した食育の一層の充実につなげていきたい。校長をはじめ、できるだけ多くの教職員に参加いただけるよう理解と協力をお願いする。
▼3年度道教職員研修計画
教職員研修計画については、元年度の研修の効果にかかわる評価・検証を通じて課題等を明らかにし、本年3月に令和3年度(2021年度)北海道教職員研修計画として改定した。
本研修計画では、感染症対策など、教育活動の継続に向けた新しい生活様式を踏まえた指導や、ICT機器を効果的に活用した授業づくり、学校における働き方改革に関する理解促進および研修の精選など、オンライン研修と集合研修を効果的に組み合わせることによって、充実した研修を実施できるよう整理した。
校長においては、教職員が主体的、積極的に各種研修に参加するよう指導し、オンライン研修の受講環境に配慮いただくとともに、道教委の研修との関連を図りながら校内研修を実施し、特に若手教員が多い学校では、先輩教員から若手教員へ知識・技能を伝承するメンター方式による研修を推進するなど、研修の充実を図っていただくようお願いする。
【特別支援学校にかかる事項】
▼確かな学力の育成
3年度、道教委では、道立特別支援学校の教育課程編成届、学校訪問、教育課程研究協議会の関連を明確にし、これらを一体的に推進することによって、各学校における授業の充実を図っていきたい。理解と協力お願いする。
ICTの活用については、特別支援学校ICT就労促進事業を実施し、新しい時代に対応した就労の在り方についての研究や、ソフトバンクと連携した魔法のプロジェクトによる盲学校におけるICTの活用による指導の充実等にも取り組み、各学校の実情に応じた学力の育成に向けた取組を支援していきたいと考えている。
▼切れ目のない支援の充実 道教委では、平成26年度から発達障がい支援成果普及事業を実施してきたが、3年度からは、これまでの「推進校」「推進地域」のうち、推進地域については、各市町村の教育委員会や保健福祉部局と連携して「連携推進地域」として、市町村内における教育と福祉の連携の充実に取り組む。
各道立学校においては、こうした取組を参考にして学校が所在する市町村の教育委員会や、保健福祉部局とも積極的に連携を図り、地域全体で児童生徒を支えることができる、切れ目のない支援体制の構築や充実に取り組んでいただくようお願いする。
また、高校については、教育局の専門家チームや巡回相談、特別支援学校のパートナー・ティーチャー派遣事業等によって、引き続き支援する。積極的に活用をお願いする。
なお、パートナー・ティーチャー派遣事業については、3年度からオンラインによる支援についての充実を図ることや、道教委主催の研修等についても、ICTを積極的に活用していく。
【高校教育にかかる事業】
▼スクール・ミッションおよびスクール・ポリシー
スクール・ミッションを再定義し、学校の教育目標や校訓との関係性を明確化し、体系的に目標を整理した上で、入口から出口までの教育活動を一貫した体系的なものに再構成する。教育活動の継続性を担保するため、「育成を目指す資質・能力に関する方針」「教育課程の編成および実施に関する方針」「入学者の受け入れに関する方針」といった3つのスクール・ポリシーを策定・公表し、特色・魅力ある教育を実現することが必要となる。
まさに各学校の学校経営のスタートラインであり、校長がリーダーシップを発揮しながら、全教職員が当事者意識をもって学校経営に参画し、組織的かつ主体的に進めることが重要となる。
校長には、こうした意識のもとあらためて各学校の学校経営を再点検し、社会に開かれた教育課程の実現、スクール・ポリシーを起点とした適切なカリキュラム・マネジメント等の実施に向けた取組を推進していただきたい。
▼指導と評価の一体化
3年度の教育課程研究協議会は、「育成を目指す資質・能力を踏まえた観点別学習状況の評価および学習評価の在り方」をテーマとして研究協議等を行い、2年度に理解を深めた指導計画を踏まえた評価について理解を深めるとともに、11月には新たに、ウェブ会議システムを用いて各教科等教育課程研究協議会を開催し、育成すべき資質・能力を踏まえた学習指導・評価の改善・充実等に関する提言および研究協議を実施する予定である。
各学校においては、4年度の1学年から改訂される生徒指導要録に観点別学習状況の評価を記載することになる。指導と評価の一体化にかかる研究をより一層充実することをお願いする。
▼特別活動(修学旅行)
3年4月19日付け教高第159号「令和3年度における修学旅行等について」で通知したが、修学旅行や宿泊研修などの宿泊を伴う行事を実施する場合は、児童生徒の健康・安全を十分に考慮した上で、修学旅行等の教育的意義を踏まえ、可能な限り実施するようお願いする。
なお、実施の際には、緊急事態宣言等の対象となった地域など、感染が拡大している地域を旅行先や宿泊先とせず、また、その他の地域についても感染状況をしっかりと把握した上で、日程や行き先、活動内容等を慎重に検討することをお願いする。
▼道高校「未来を切り拓く資質・能力を育む高校教育推進事業」
道教委としては、事業の最終年度に当たり、11月に、各研究指定校の取組について交流する機会を設け、広く成果を普及させることとしている。
各指定校において、実践研究の一層の充実および成果の最大化が図られることを期待するとともに、各学校においては、事業の成果を積極的に活用し、4年度からの新学習指導要領の本格実施に向けて学校全体で組織的に取り組んでいただきたい。
▼高校における特別支援教育、通級による指導
道教委では、通級による指導の導入を検討する際に参考となるよう、『通級による指導の手引』を作成し、通級による指導を実施している道立学校の通級指導担当教員を、他校の校内研修会の講師として活用する高校通級指導担当教員活用事業を実施している。活用をお願いする。
入院生徒に対する教育支援については、2年度に引き続き3年度も、文部科学省から高校段階の病気療養中等の生徒に対するICTを活用した遠隔教育の調査研究事業の委託を受け、入院生徒に対するICT機器を活用した効果的な遠隔教育の実施方法等および入院から自宅療養、復学までの単位認定等を含めた切れ目のない教育保障体制の整備に関する実践研究を実施する。
今後、病気療養等によって相当の期間入院する生徒がいる場合、当該生徒および保護者の希望を確認の上、本事業を積極的に活用するようお願いする。
なお、入院生徒に対する学習の保障は、教育の機会確保の観点から必要なこと。該当生徒がいない学校においても、本事業の趣旨や内容等について理解を深めていただくようお願いする。
▼産業人材の育成
現在、学科の枠を超えた異なる分野で連携するとともに、大学や研究機関、企業等の施設・設備を活用した実習や、大学等から人材の派遣を受けながら、それぞれの学校の強みを生かした職業人材育成システムを構築し、最先端の知識や技術を習得するための実践的な職業教育を推進する専門高校フューチャープロジェクトを実施している。
岩見沢農業高校と札幌工業高校が地域産業の課題解決に必要な資質・能力を育成するための実践研究を行い、成果を全道に広く普及させることで本道における実践的な職業教育の充実を図る。
現在、静内農業高校が申請している国の指定事業「マイスター・ハイスクール」事業を活用し、産業界等と連携した新たな職業人材育成システムを構築する。
2年度まで取り組んでいた高校OPENプロジェクト事業では、高校生が主体的に地域の課題の解決に向けた探究的な学習に取り組み、地域の教育資源等を生かした特色ある実践研究を実施してきた。3年度は、新たに地学協働活動推進実証事業として引き継ぎ、さらに発展した取組を実施する。
▼5年度全国高校総合体育大会(夏季大会)
道準備委員会第2回総会を3月に開催し、つぎの2点が確認されている。
1つ目は、大会愛称・スローガン・シンボルマーク・総合ポスター図案の選考結果。
当初の募集に加え、総合ポスター図案等の追加募集にも協力いただき、応募総数3000作品の中から4部門の入賞作品を選考した。今後、全国高校体育連盟から承認を得た上で正式に決定し、広報活動に使用する予定である。
競技種目別大会の会場地については、昨年8月の第1回総会において決定した23競技26種目の会場地に加え、今回新たに函館市で2競技、帯広市で4競技5種目、登山の会場地として上川町、美瑛町、上富良野町を決定した。
なお、現在調整中の2競技は、関係自治体と協議中であり、6月に開催予定の道実行委員会第1回総会で決定する予定である。
道教委としては、36年ぶりに本道で開催されるインターハイの成功に向けて、引き続き、大会準備に取り組むので、協力をお願いする。
この記事の他の写真
相内修司生涯学習推進局長
伊賀治康教職員局長
櫻井良之学校教育局高校配置担当局長
唐川智幸学校教育局長
(道・道教委 2021-06-01付)
その他の記事( 道・道教委)
道教委 4年度特別支援配置計画案 本科定員1665人 網走養護で1学科1学級増
道教委は1日、令和4年度公立特別支援学校配置計画案を発表した。知的障がいでは9校3学科12学級増のほか7校2学科9学級減。肢体不自由は網走養護学校で1学科1学級増の一方、8校3学科10学級...(2021-06-02) 全て読む
道教委 4~6年度公立高配置計画案 名寄市内新設校に単位制 岩見沢東など6校で学級減
道教委は1日、令和4~6年度の公立高校配置計画案を発表した。新たに公表した6年度の計画では、岩見沢東高校、利尻高校など6校で6学級減を検討する方向性を示した。5年度に計画している名寄高校と...(2021-06-02) 全て読む
蘭越小 フロンティアキッズ育成事業 町を良くする方策考察 SDGs学び地域未来図作成
【小樽発】蘭越町立蘭越小学校(五十嵐宰校長)は本年度、道のフロンティアキッズ育成事業実施校として、「未来の蘭越」を考える授業に取り組む。5年生が対象。総合的な学習の時間約20時間を充て、町...(2021-06-02) 全て読む
特別支援パートナー・ティーチャー派遣 利用率 日高87・8% 校数少ない管内で高い傾向
道教委は、令和2年度特別支援教育パートナー・ティーチャー派遣事業の実施状況をまとめた。管内別の利用率は日高が87・8%と最高。校種別では小学校は日高が96・3%、中学校は檜山が90・0%な...(2021-06-01) 全て読む
道内公立校通勤災害(札幌市除く) 2年度は35件発生 徒歩16件、自動車17件
道教委は、札幌市を除く道内公立学校における令和2年度通勤災害の発生状況をまとめた。発生件数は元年度比10件増の35件。うち、第3者加害事案件数は7件だった。通勤方法別では、徒歩が5件増の1...(2021-06-01) 全て読む
道議会質疑 文教委員会(令和3年2月2日)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼檜垣尚子委員(自民党・道民会議) ▼木葉淳委...(2021-05-31) 全て読む
道教委 体罰調査(札幌市除く) 2年度 半減し8件 被害生徒8人 傷害1件
道教委は、道内公立学校(札幌市を除く)における令和2年度の体罰等にかかる実態調査結果をまとめた。体罰件数は前年度の16件から8件に減少。被害を受けた生徒数は8人で、前年度の20人から12人...(2021-05-31) 全て読む
5件 被害児童生徒30人 私立校2年度体罰 道まとめ
道は、私立学校における令和2年度体罰実態調査結果をまとめた。体罰の発生件数は前年度比1件減の5件。被害を受けた児童生徒数は20人増の30人となっている。場面別では、部活動中での体罰が4件と...(2021-05-31) 全て読む
道教委 CLASSプロジェクト説明会 1次計画書 6月末目途 コンソーシアム構築へ活動開始
道教委は27日から2日間、道CLASSプロジェクト事業(地学協働活動推進実証事業)説明会をオンラインで行った。推進校と連携校などを対象に、十勝・胆振・宗谷など6管内ごとに開催し、担当者が事...(2021-05-31) 全て読む
道 第6回人権施策推進懇談会 人権侵害等で文言追加 改定内容確認 2定で報告へ
道は26日、札幌市内の道第2水産ビルで第6回道人権施策推進懇談会を開催した。構成員と事務局が出席し、策定以来、初の改定となる道人権施策推進基本方針について、改定案を紹介。インターネットの人...(2021-05-31) 全て読む