道議会質疑 予算特別委員会(6月29日)
(道・道教委 2021-10-08付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼真下紀子委員(日本共産党)

【答弁者】

▼倉本博史教育長

▼鈴木淳学校教育監

▼中澤美明指導担当局長兼新型コロナウイルス感染症対策担当局長

▼伊賀治康教職員局長

▼柴田亨高校教育課長兼ICT教育推進課長

▼伊藤伸一生徒指導・学校安全課長

◆校則の見直し

Q真下委員 道教委は、校則が今なぜ社会問題となっていると考えるか伺う。

A中澤指導担当局長 校則について。昨今の報道等において、校則の内容や校則に基づく指導に関して、必要かつ合理的な範囲を逸脱し、生徒のプライバシーや人権の保障にかかわり、不合理な校則があるのではないかという指摘も受けており、校則については、学校を取り巻く社会環境や生徒の状況が変化するため、各学校は、生徒の実情、保護者の考え方、社会の情勢などを踏まえ、絶えず見直していくことが大切と考えている。

Q真下委員 道教委が行う現状把握は全校が対象なのか、どのような形で課題などを整理、分析し、学校現場にフィードバックさせていくのか伺う。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 校則の見直しについて。道教委では、令和元年12月に、校則の見直しについて、各道立高校に対し、校則は、学校を取り巻く社会環境や生徒の実情などを踏まえ、絶えず積極的に見直すよう通知し、現在、全日制、定時制、通信制のすべての道立高校を対象に、令和元年度から3年度における校則の見直しの状況について把握している。

 今後、把握した校則の内容や見直しの観点等について整理し、今後の改善に役立つ考え方や事例を明らかにして各学校に周知するとともに、指導主事の学校訪問などによって、学校の実情に応じた対応を指導助言していく。

Q真下委員 校則を守る前提は、合理的な理由を学校が説明でき、児童生徒が納得することだと考えるが、いかがか。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 校則に関する説明について。校則は、学校が教育目的を達成するために、必要かつ合理的範囲内において、学校運営の責任者である校長の権限によって定められるものであるが、校則の指導が真に効果を上げるためには、その内容や必要性について、児童生徒、保護者との共通理解を図るようにすることが重要と考えている。

Q真下委員 全道の全日制高校191校の校則で、制服に関する規定があるのは177校、92・7%。性別に起因した制服のルールがある高校が176校だった。全員が自由にスカート、スラックスを選択できる高校はなかった。

 男子、女子と記述されているものが多くみられ、LGBTQなど性の多様性が社会的課題となっている中、制服の廃止やブレザーの色は自由にするなど、性の多様性を尊重し、なおかつ、誰もが自分らしく生きられる視点から見直しが必要ではないか。

A柴田高校教育課長兼ICT教育推進課長 制服に関する規定について。各学校においては、誰もが自分らしく学校生活を送ることができるよう、性的マイノリティーに配慮した環境をつくることが大切である。

 道教委としては、制服を各学校が選定するに当たり、身体的な性と自認する性が一致していない生徒などが自由に制服を選択できるようにするなど、各学校において絶えず見直しが行われるよう指導していく。

Q真下委員 インナーについての記述が3校にあった。柄物、華美な色は着用しないと記載されているが、非常に抽象的で主観的な表現だ。

 子どもへのアンケートでは、顔を近づけてチェックされるのが嫌だとか、まして異性の先生に見られたくないという声もある。

 そこまで校則として規定が必要なのか。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 肌着に関する規定について。道立高校では、3校に記載の事例があり、制服の下は肌着を着用することが望ましい、半袖シャツやポロシャツの下に長袖のインナーを着用するのは禁止する、ワイシャツ、ブラウス内にインナーを着用する、ただし、柄物、華美な色は着用しないというものがあった。

 道教委では、今回行っている調査に基づき、学校の状況、規定するに至った経緯などを踏まえて、必要な対応を取っていく。

Q真下委員 頭髪に関する規定がある学校は179校、93・7%と、ほとんどであったが、ブラック校則の発端となったツーブロックの禁止が27校あった。

 私は、清潔で、個性的で、機能的で、ファッショナブルだと考えるが、道教委は、ツーブロック禁止には合理的な理由があって、時代に合った禁止規定だと考えるのか。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 髪型に関する規定について。道立学校では、33校に記載の事例があり、髪を立てたり、ツーブロックなど、一部を刈り上げたり伸ばしたりしない、変則的な刈り上げなどの華美な髪型は認めないなどがあった。

 道教委では、今回行っている調査に基づき、学校の状況、規定するに至った経緯等を踏まえ、必要な対応を取っていく。

D真下委員 自分に似合う髪型を自分が選ぶということは非常に重要なことだと思う。ツーブロックの禁止などについては、見直しをしっかりとやっていただきたい。

Q真下委員 地毛証明に関する規定がある高校は8校だった。

 道教委の調査によると、校則に規定はないものの、地毛証明の提出を求めている学校が42校あるということだが、具体的にどのような内容か。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 頭髪に関する規定について。道立高校では、入学時に、すべての生徒、保護者に対して、頭髪に関する指導について、学校の指導方針として頭髪を染色しないことやパーマ等をしないことなどについて説明した上で、生徒、保護者に、生徒の頭髪の色や性質について文書によって提出を求めている事例は12校、生徒が口頭によって担任に申し出るなどの方法で対応している事例は30校であった。

Q真下委員 これもやり過ぎだと思う。髪の色は人それぞれで、体調や季節、水泳などの環境によって変化する。

 黒でなければならないという規定は、何を根拠にして、何のためなのか。髪型や髪の色は、人格の一部である。制限は行き過ぎではないか。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 頭髪に関する指導について。頭髪の色は、それぞれ生まれつき異なっており、人それぞれの違いを正しく尊重することが大切と考えている。

 道教委では、今回行っている調査に基づき、学校の状況、規定するに至った経緯等を踏まえて、必要な対応を取っていく。

Q真下委員 学校の主張として、服装、頭髪の乱れは生活の乱れにつながるとか、恐喝、わいせつ行為などの被害につながるとか、高校の評価を失墜させるものにつながるなどの見解が示されたものがあった。

 まして、制服のある高校では、ファッションは自由ではないと言い切る高校もあるが、逆に、全く関係ないと指導力を発揮する校長もいる。

 道教委はどのような見解をもっているのか。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 服装に関する規定などについて。校則の内容については、学校の専門的、技術的な判断が尊重され、幅広い裁量が認められるとされている。

 一方で、校則に基づき指導する場合は、生徒の内面的な自覚を促し、校則を自分のものとしてとらえ、自主的に行動することができるよう指導することが重要であり、校則の制定に当たっては、細かいところまで規制するような内容は、児童生徒の主体的な取組に任せることで足りると考えられることなどを十分に勘案していくことが必要と考えている。

Q真下委員 三重県教委では、県立高校すべてで、髪型や男女交際、下着の色などに関する校則が全廃された。県教委生徒指導課は、時代にそぐわない過去の遺物のような校則も残っている、今後も見直しを求めていくと説明している。

 こうした取組をどう把握し、どう受け止めているのか伺う。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 他県での校則見直しの事例等について。国は、ことし6月に、校則の見直し等に関する県教育委員会の取組事例を周知しており、道教委としても、国の通知を含めて、他県の取組事例を情報収集してきた。

 校則は、社会環境や児童生徒の状況が変化する中、絶えず見直していく必要があり、こうした全国の様々な取組事例は、現在、各学校で行っている校則の見直しの取組の参考になるものと考えている。

Q真下委員 交際について、男女に関する規定がある高校が65校あった。

 男女交際に明朗さや清潔さを求めることが多かったが、これを校則で決めることが果たして妥当か。

 人権や性教育を進め、LGBTQなどの性の多様性を認め合うなど、時代の要請に応えていく必要があると考えるが、いかが。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 男女に関する規定について。各学校が校則を見直すに当たっては、性の多様性に関する理解を深め、生徒一人ひとりが自分らしく生きることができるよう、配慮することが大切と考えている。

 道教委では、こうしたことも踏まえ、各学校に対し指導していく。

Q真下委員 学校外活動の届け出についても少なからずあった。憲法と子どもの権利条約をもとにして、生徒自らが判断できる教育指導こそ必要だと考えるが、いかがか。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 活動の届け出について。道立学校の事例としては、旅行、集会、校外団体への参加等は、学校へ届け出て所定の手続きを取ること、校外団体に加入し、または、活動をともにするときは、保護者の同意を得て、学校の許可を得ること、送別会、離散会、親睦会など、校外での会合は禁止するなどがあった。

 校則の制定に当たっては、生徒の主体性を培う機会になるよう、生徒会などの場を通じて生徒相互が話し合う機会を設定することや、保護者と協議して、その必要性を検討するなどの取組が大切であり、学校の状況等に応じて必要な指導を行っていく。

真下委員 校則改正について、非常に積極的な対応を取ろうとしている道教委の姿勢が伝わった。しかし、残念ながら、校則改正に関して、校則の中に規定しているところは1校しかない。他校においては、改正記録が残っていても、規定は明文化されていない。

 どうすれば校則を見直しできるのか、これこそ校則に規定すべきものではないかと考える。

A中澤指導担当局長 校則の見直しについて。校則については、その内容や必要性について、児童生徒、保護者との間に共通理解をもつようにすることが重要である。

 道教委としては、学校が校則の見直しに取り組むためには、生徒が主体的に話し合う機会を設定すること、保護者の意見を踏まえること、学校ホームページなどを通して地域住民にも校則を公表し、学校運営協議会等で意見を伺うことなどの取組が重要と考えており、こうした観点に配慮するよう指導していく。

Q真下委員 話し合いと公表が重要だと思う。ところが、働き方が改善されない学校現場では、デジタル化や保護者への対応などで一層多忙となっている。

 児童生徒、保護者、学校が子どもたちの人権を尊重して、合意形成を図りながら校則を見直していくことのできる職場環境の改善が同時に実現される必要があると考える。道教委の認識と今後の取組を伺う。

A伊賀教職員局長 学校における働き方改革について。各学校において、校則の見直しをはじめ、社会情勢などを踏まえた適切な教育活動を展開するためには、自校の課題を明らかにするとともに、目指す方向性を定め、PTAや学校運営協議会等の機会を活用しながら実態に応じた業務改善を行い、その成果を着実に積み上げていくことが大切である。

 道教委としては、各学校がこうした取組を円滑に進めることができるよう、アクション・プランに基づく働き方改革を着実に推進することが重要と考えており、引き続き、スクール・サポート・スタッフや部活動指導員を配置するほか、本年度からスクールロイヤーによる法律相談や地域部活動の実践研究を開始するとともに、本庁や教育局の幹部職員による学校経営訪問を行い、取組の進ちょく状況や課題を把握し、必要な指導助言や参考となる先行事例の提供、その後のフォローアップなど、きめ細かな対応に努めていく。

Q真下委員 校則の運用に当たって、文部科学省の生徒指導提要では、社会通念上合理的と認められる範囲において学校裁量が認められるとする一方、児童生徒の内面的な自覚を促すとも明記されている。

 子どもたちの人権尊重を最も根底に据えて見直しを進めるべきではないか。

 地毛証明など明らかな人権侵害に該当するものについては、道教委が率先して改正を促していくべきではないか。教育長の見解を伺う。

A倉本教育長 校則の見直しについて。校則は、生徒が健全な学校生活を営み、よりよく成長していくための行動の指針として校長が定めているものであるが、教育目的を達成するために必要かつ合理的な範囲内において、児童生徒が順守すべき学習上、生活上の規律として定められているものとなっているかについて、社会環境や生徒の実情などを踏まえて、絶えず見直していくことが必要である。

 また、その内容や必要性について、児童生徒、保護者との間に共通理解をもつようにするとともに、一人ひとりの児童生徒が校則を自分のものとしてとらえ、主体的、自律的に行動していけるようにすることが重要である。

 道教委としては、現在、各学校での校則の見直しの状況などを把握しているところであり、今後、これを踏まえて、生徒の個性を尊重し、よりよい学校生活を送るための校則の在り方や、常に見直すことができる具体的な観点、校則を地域に公表して、地域と共に生徒の成長を支える体制づくりなどについて、各学校に周知し、それぞれの実情に即した適切な対応が図られるよう指導助言していく。

◆いじめ防止対策

Q真下委員 ことし2月から行方不明となっていた旭川市内の女子中学生が3月に遺体で発見された。

 ことし4月、報道内容と旭川市教委が把握をしていた事実と内容に相違があったとして、いじめの重大事態に認定し、設置された第三者委員会が、今、独立性をもって調査している。

 5月11日の文教委員会で、2019年6月に当該生徒が川に入った事案について、道教委は、自殺未遂と答え、また、当該生徒へのわいせつ行為の事案も含めてと答えている。

 それぞれ、いつどのような理由からそう判断したのか。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 令和元年6月に発生した事故について。元年9月10日に、旭川市教委から上川教育局に対し、そうした内容について、電話によって報告があった。

Q真下委員 9月10日の電話報告を受けて、当該生徒へのいじめの疑いがあると判断したということだが、その判断の根拠は何か。

 翌11日と18日に文書で報告されているが、この時点で、すでに関係する保護者と生徒の間で謝罪の場がもたれた。校長の認識の違いによって対応が異なったことが課題と、10月3日付の起案書には書かれている。

 区切りがついていたとの認識が道教委にあったのか、また、面談に関し、どのような課題があって、その解決のためにどう指導助言したのか伺う。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 道教委の指導等について。道教委では、旭川市教委から受けた報告から、当該生徒が他の生徒から与えられた行為によって心身の苦痛を感じている可能性があると考え、いじめの疑いがあると判断し、旭川市教委に対し、事実関係を把握するよう指導した。

 道教委としては、旭川市教委と当該生徒が在籍していた学校が、いじめの疑いがある事案として対応していないこと、事案に関係する複数の学校においては、各校長の認識の違いによって対応が異なっていることから、旭川市教委に対し、市教委が中心となり、一貫した対応をすることなどについて指導助言した。

Q真下委員 道教委は、その後、速やかに事故に関する詳細な事実関係を把握するとともに、いじめと認知した場合は、学校での組織的対応、被害を受けた生徒とその保護者の心情に配慮した対応を行うよう指導助言したと答えていたが、開示請求した起案書によると、報告から3週間以上たった10月3日付である。

 当該生徒がいじめでないと話していても、客観的にみて、いじめが疑われる状況にある、心身の苦痛を感じていることが考えられると書いてある。道教委としては、いじめとしての認識をもっていたことが記載されている。

 では、実際の指導はいつどのようになされ、その記録はどこにあるのか。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 旭川市教委への指導について。道教委では、上川教育局を通じて、元年9月11日および18日に旭川市教委から事案についての報告を受け、市教委に対し、事実関係の詳細な把握といじめの認知について確認を求めてきたが、10月10日、いじめとの判断には至っていないとの回答があった。

 そのため、道教委としては、あらためて報告内容を整理し、事実関係を踏まえた上で指導すべき内容を明らかにし、10月28日、上川教育局職員が市教委を訪問した上で、客観的にみていじめが疑われる状況であること、学校はいじめの疑いがあると考え対応すること、市教委が中心となって今後の対応策を検討すること、被害生徒と保護者の心情に配慮した対応をすることを口頭で指導した。なお、上川教育局からは、市教委に指導助言した旨の報告を口頭で受けている。

Q真下委員 その後の指導方針というのは、どのレベルで、いつ起案が決定されたのか。

 10月3日の起案書のあと、起案決定はいつだったのか。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 指導事項をまとめた文書の決定日について。当該の決裁には決定日が記載されていないが、上川教育局に文書を送付したのが元年10月24日であり、それ以前に決定したと考えている。

Q真下委員 実際に指導したのは10月28日だと思うが、市教委は、道教委が意図した指導助言を受け止めていない、あらためて事実確認の精査、いじめの認知を行っていないと、旭川市議会で答弁している。

 道教委の指導記録はあるのか。この指導結果の報告を道教委は文書で求めたのか。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 指導後の報告について。道教委としては、教育局に対し、旭川市教委への指導事項を事前に文書で示し、上川教育局は、その文書をもとに旭川市教委を指導したものであり、文書に基づいて指導したことを口頭で確認できたため、あらためて文書による報告を求めていない。

Q真下委員 極めて重大な決断のときに文書報告がない、そんなことでいいのか。このいじめの案件を道教委は軽んじていたのではないか。これが十分な対応だったと言えるのか。

A中澤指導担当局長 指導後の報告の方法について。教育局において、指導済みと記載した記録は残していたものの、本庁では、指導状況についてあらためて文書による報告は求めていなかった。

 今後は、こうした指導状況についても記録する必要があると考えている。

Q真下委員 道教委がいじめと認識して対応していることは非常に評価している。しかし、現場と意見が違っている、認知状況が違っている、それを転換するために指導助言する、行政指導するのが道教委の役目ではないか。それをきちんと記録して検証できないというのは、本当に残念でならないし、そんなことは絶対にあってはならないと考える。

 性被害について、道のいじめ防止条例、基本方針でも、性被害を伴ういじめについて対応が明記されていない。この子の心の一番の痛みになっている。

 性被害について今後どう対応していくのか伺う。

A鈴木学校教育監 性被害を伴ういじめへの対応について。いじめは、被害を受けた生徒の心身の健全な成長や人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、生命、身体に重大な危険を生じさせる恐れがあるものであり、決してあってはならない。

 特に、性被害を伴ういじめ事案については、被害を受けた生徒は、心身に深い傷を受けており、自ら被害について話そうとしない場合もあるが、被害を受けている生徒を守るためには、学校だけではなく、臨床心理士や警察などの専門家の協力も得て対応することが重要と考えている。

 道教委としては、引き続き校内のいじめ対策組織はもとより、外部の専門家と密接に連携して、各学校において適切な対応が図られるよう指導していく。

Q真下委員 2020年1月16日の旭川市教委との協議については記録がある。この報告から、「いじめの疑い」から「いじめ」という記載に、道教委への報告が変わっている。

 どのような理由で、いついじめと判断したのか。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 指導の経過について。道教委では、当該事案に関し、情報を整理した上であらためて事実を確認することとし、旭川市教委に確認を求めた。

 なお、担当者が記録を作成した際、いじめと考えられる確認事項を明らかにする観点から、「疑い」という文言を外し、「いじめ」と記載している。

Q真下委員 その後、2021年の行方不明まで、道教委が市教委に指導助言した記録がないが、市教委にいじめとしての対応を求めたのか。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 道教委の対応について。道教委としては、本事案については、元年9月、10月、2年1月と継続して、本事案に関する事実確認といじめの疑いがある事案としての対応について旭川市教委に指導してきたが、市教委からは、いじめの認知には至っていないという判断が示されたことから、市教委に対し、当該生徒の転校先の学校の協力も得て、状況把握と丁寧な対応を引き続き行うよう指導した。

Q真下委員 1月20日付の記録に、対応が遅いと手書きで記載されている。これは、どのようなことに対する、どこの認識なのか。

 また、前年度の事案を踏まえ、指導状況、本人の状況などと手書きがある。重大ないじめだと認識していたのか、併せて伺う。

A中澤指導担当局長 対応に関する認識について。質問のメモ書きは、2年1月16日に、本事案について、教育局が旭川市教委に対して指導した件の報告書に手書きで記載したものであり、これまでの対応が遅いとの感想が記載されたものである。

 その後、市教委から、3年2月13日に当該生徒の家出事案について報告があり、道教委としては、当該生徒は、元年6月の事案で被害を受けていた可能性があることを踏まえた対応が必要であることから、市教委に対し、転校先の学校における生徒の状況や学校での指導状況について把握し、取りまとめて報告するよう求めた。

Q真下委員 道教委は、いじめだと認識をして、さらに、対応が遅いという認識をもっていた。

 ところが、4月の報告書をもって終わりにして、1年間放置をして、3年2月13日に行方不明の報告を受けるまで、ほったらかしになっていたのではないか。

A中澤指導担当局長 道教委の対応について。市教委に対し、当該生徒の転校先の学校の協力も得て、状況把握と丁寧な対応を引き続き行うよう指導した。

Q真下委員 道教委の対応について、第三者委員会を立ち上げてしっかりと検証して、道教委の対応についても検証して、二度と繰り返すことがないよう今後に生かすべきだと考える。どう対応されるのか。

A倉本教育長 今後の対応について。いじめは、児童生徒の心身の健全な発達に重大な影響を及ぼす深刻な問題であることを、教育委員会、学校が共に認識するとともに、いじめの芽を決して見逃さず、早期に解決する取組を徹底し、いじめの被害を受け、苦しむ子どもたちを守ることは、何よりも重要と考えている。

 旭川市の事案について、早期の解決が図られず、いじめ重大事態となったことについては、道教委として極めて重く受け止めている。

 今後、本案件をはじめとするいじめ事案などへの道教委の対応の在り方について、外部・専門的な観点から必要な改善などの意見等をいただきながら、市町村や学校が適切にいじめ事案に対処できるよう、引き続き、指導助言に努めていく。

(道・道教委 2021-10-08付)

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