道青少年科学文化財団と函館市教委 結核の最新研究等説明 5高校等で先端科学移動大学
(学校 2021-11-10付)

先端技術大学高校訪問授業(函館西)
函館西高では2年生236人が聴講した

 【函館発】道青少年科学文化財団と函館市教委主催の第30回先端科学移動大学2021が5日から2日間、函館市民会館や市内の高校5校で開催された。5日の高校訪問授業には、函館中部高校、函館西高校、市立函館高校、遺愛女子高校、函館白百合学園高校が参加。うち、函館西高(髙橋敏史校長)では、北海道大学人獣共通感染症国際共同研究所の鈴木定彦所長・教授が「結核―新型コロナウイルス感染症の隠れた人類の脅威」と題して、結核をはじめとした病原体に関する研究を専門的な視点を交えながら分かりやすく解説した。

先端科学移動大学は、科学に興味・関心をもってもらうことを目的に釧路市、旭川市、函館市において巡回開催されている訪問授業および市民講座。ことしは、道青少年科学文化財団と函館市教委の共催で実施した。

 5日は函館中部高、函館西高、市立函館高、遺愛女子高、函館白百合学園高で訪問授業。6日は、函館市民会館で高校生以上、社会人を対象に市民講座を開いた。

 5日に開かれた高校訪問授業のうち、函館西高には鈴木所長・教授が来校。「結核―新型コロナウイルス感染症の隠れた人類の脅威」と題して、新型コロナウイルスの約7倍の致死率で、世界中で毎年約140万人が命を落としている結核について講演。2年生236人が耳を傾けた。

 鈴木所長・教授は、自身が調査を進めている人獣共通感染症に関する研究概要を紹介。研究例として、新型コロナウイルスの遺伝子を次世代シーケンサーで調査したり、炭疽と呼ばれる細菌性の病原体による野生動物の大量死に関し調査・分析をしていると説明した。

 新型コロナウイルス感染症に関する研究では、塩野義製薬と共同で治療薬の開発を進めていると伝えた。

 様々な病原体について解説した上で、「結核は人類の脅威」と強調。症状が類似している新型コロナウイルス感染症との違いとして、結核は発症までに半年を要するほか、2~4ヵ月の治療期間を要するとした。

 国内における昨年の新規患者は1万4000人で、死亡者は2000人、致死率は15%との結果を示した。

 年齢別では、高齢者の感染者が多いものの、20~40代の女性も増加傾向にあると分析。無理なダイエットによって免疫力が低下し、祖父母など周囲の高齢者から結核に感染した事例を挙げた。

 結核の制圧に向けて、早期診断法の開発、迅速薬剤感受性試験法の開発、新規抗結核剤の開発、新規ワクチンの開発を提示。新薬の開発や、新型コロナウイルス感染症と同様にワクチンの早期開発が求められるとした。

 講演後、鈴木所長・教授が結核についての認識を生徒に尋ねると、多くが「予想したより大変だった」と回答した。

 生徒会長の吉澤陸空さんは「結核だけでなく、新型コロナウイルス感染症についても知ることができた。今後の探究活動に生かしていきたい」と話していた。

 他の4校における講演者および概要はつぎのとおり。

▽函館中部高=北大大学院地球環境科学研究院・藤原正智准教授「地球温暖化の気象学」

▽市立函館高=北大大学院理学研究院・鈴木久男教授「神の粒子、ヒッグス粒子とは何か?」

▽遺愛女子高=北大大学院地球環境科学研究院・小泉逸郎准教授「動物たちの恋人選び」

▽白百合学園高=北大学大学院工学研究院・内田努准教授「H2Oを科学する」

(学校 2021-11-10付)

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