道特長 ICT機器調査研究 端末の授業活用 84% 人材確保・クラウド接続等課題
(関係団体 2022-01-19付)

GIGAスクール構想推進の課題表
GIGAスクール構想推進の課題(クリックすると拡大表示されます)

 道特別支援学校長会(友善学会長)は、調査研究「GIGAスクール構想に基づくICT機器活用の現状と課題~特別支援教育におけるICT機器の効果的な活用の在り方」をまとめた。ICT機器を授業で活用している学校の割合は84・2%で、端末を使った共同学習、遠隔授業や動画配信など多様な方法で活用されていることが分かった。今後の課題として、ICT人材の確保、教職員用端末の整備、校務系ネットワークから学習系ネットワークへの接続など5点を挙げた。

 道特別支援学校長会第2研究部会の調査研究として初めて実施したもの。GIGAスクール構想への対応に関する各校の現状と推進に向けた課題を調査した。

 調査対象は、各障がい種の特別支援学校76校。回答率は100%。

 ICTに関する校内体制として、5割以上の学校が「ICT機器活用とサーバー管理の両面に詳しい職員がいる」と回答。いずれか得意な職員がいる学校を含めると9割以上となった。一方、職員数30人以下の学校の約3割でICT関係に詳しい職員がいないことが分かった。

 ICTに関する校内委員会の設置率は30・3%、分掌の設置が27・6%。ICTに関する校内研修の実施率は、予定を含め96%となっている。

 ICTサポーターなど外部人材の活用率は6・6%で、活用しない理由は「校内の教職員で対応可能」「ICTサポーターが配置されていない」「有償で活用する予算がない」「地域に人材がいない」など。

 端末利用規程の作成率は作成中を含め97・4%。持ち帰り規定に関しては92・1%。破損や紛失時の対応では、50%の学校が検討中と回答しており、「学校での事故の状況に応じた対応を検討」が27・9%、「すべてのケースで学校で対応」「すべてのケースで家庭で対応」はいずれも約1割だった。

 通信環境が整っている家庭の割合は「100%」が7・4%、「80~99%」が63・2%、「60~79%」が19・1%。「40~59%」は10・3%と一定程度あることから、校長会ではポケットワイファイの貸与などの支援の重要性を挙げている。

 学校に整備されているICT機器は「教職員分のiPad」が77・6%と最も高く、活用されているアプリケーションはズーム(85・5%)をはじめ、キーノート、クラスルームと続いた。

 授業でICT機器を積極的に活用していると回答した学校は28・9%、ある程度活用している学校を含めると84・2%。方法は「端末を活用した共同学習」「臨時休校等の遠隔授業」「ユーチューブなどの動画配信」が多い。

 授業でICT機器が活用されていない理由は「校務系ネットワークと学習系ネットワークが接続できない」「教職員のICT活用能力の不足」が多い。

 GIGAスクール構想の課題として最も多かったのは「全教職員の端末の未整備」で68・4%。今後の要望では、回線の増強、各家庭の通信料金や通信環境への補助、校務系ネットワークのクラウドへの接続、学習系・校務系ネットワークの接続が挙がった。

 最後に、各校から寄せられた意見や研究の全体像から今後の課題を整理。①ICT推進に当たっての人材確保②学校以外でのタブレット使用にかかるポケットワイファイなど通信環境と財源の確保③教職員へのタブレット(主にアップル社製品)の貸与④校務系ネットワークでの使用機種・アプリケーション等の制限緩和⑤寄宿舎でのワイファイなど通信環境の整備―の5点を挙げている。

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ICT機器効果的活用の在り方調査表
ICT機器効果的活用の在り方調査(クリックすると拡大表示されます)

(関係団体 2022-01-19付)

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