文科省 第6次学校図書整備計画策定 全学校で図書標準達成へ 5ヵ年で2400億円試算(国 2022-01-26付)
文部科学省は、4年度から8年度までを対象期間とする第6次学校図書館図書整備等5か年計画を策定した。5年間で、全ての小・中学校等において学校図書館図書標準100%達成を目指すとともに、図書の更新の促進、新聞の複数紙配備および学校司書の配置拡充を図る。単年度480億円、5ヵ年総額2400億円を試算している。
計画は、公立小・中学校等の学校図書館における図書標準(文科省の定める学校規模・学級数に応じた蔵書の整備目標)の達成、計画的な図書の更新、新聞の複数紙配備、学校司書の配置拡充を目的としており、計画に基づいた地方財政措置が講じられる。
文科省では、学校図書館の現状と課題について分析。図書標準については、達成した学校の割合(平成27年↓令和元年、小学校66・4%↓71・2%、中学校55・3%↓61・1%など)は増加しているものの時間の経過とともに最新の情報を記載していない古い図書が保有されている。
また、図書の選定基準や廃棄基準の策定率も半数程度に留まっており、計画的な整備が進展していない要因となっている。
学校図書館への新聞配備については、学習指導要領で新聞を教材として活用することが位置づけられており、全学校での新聞配備を推進してきたが、配備校の割合は平成27年↓令和元年で、小学校が41・1%から56・9%に。中学校が37・7%から56・8%に。高校が91・0%から95・1%と増加はしているものの目標には至っていない。
学校司書については、平成26年6月の学校図書館法の改正によって、学校には学校司書を置くよう努めるものとされたが、配置校の割合は2年現在で小学校69・1%、中学校65・9%などにとどまっている。
こうした実態を踏まえ、第6次計画では「4年度からの5年間で、全ての公立小・中学校等において、学校図書館図書標準の達成を目指すとともに、計画的な図書の更新、学校図書館への新聞の複数紙配備および学校司書の配置拡充を図る」ことを目標に据えた。
各項目別にみると、学校図書館図書の整備については「学校図書館図書標準100%達成」「計画的な図書の更新」を目標に設定。
図書標準達成を目指すための図書整備に加え、図書の廃棄・更新を進めるための選定基準・廃棄基準を策定し古くなった本の買い替えを促進する。
単年度199億円、総額995億円を試算。不足冊数分は単年度39億円、総額195億円。更新冊数分は単年度160億円、総額800億円を計画している。
新聞配備については、選挙権年齢の18歳以上への引き下げや成年年齢の18歳への引き下げに伴い、児童生徒が主体的に主権者として必要な資質・能力を身に付けることが重要になっており、学校図書館への新聞の複数紙配備(小学校等1校当たり2紙、中学校等1校当たり3紙、高校等1校当たり5紙を目安)を図る。単年度38億円、総額190億円を試算している。
学校司書の配置については小・中学校等の概ね1・3校に1人の配置を目標に設定。将来的に1校に1人の配置を目指す。単年度243億円、総額1215億円を試算。専門的な知識・技能を持った学校司書のさらなる配置拡充を図る。
なお、文科省では留意事項として、学校図書館ガイドラインの活用のほか、図書の現状把握、選定・廃棄・更新が適切に行われるよう図書選定を行う校内組織の設置、選定基準・廃棄基準の策定に努めるよう要請。
また、小学校に複数紙を配備できるよう必要な経費を新たに盛り込んでおり、全国紙・地方紙以外にも小学生新聞・中高生新聞・専門紙・英字新聞等の配備を想定している。
さらに、「各自治体で予算化が図られることによって、初めて図書や新聞の購入費、学校司書の配置のための費用に充てられる」「教育委員会と学校が一体的に学校図書館の計画的整備を進めることが重要」「各自治体は、学校図書館の現状把握とそれに基づく適切な予算措置を」などと呼びかけている。
(国 2022-01-26付)
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