警察庁 新子供の性被害防止プラン 性暴力への厳正な処分を 刑事法整備など97施策示す(国 2022-02-09付)
警察庁は「子供の性被害防止プラン(児童の性的搾取等に係る対策の基本計画)2022」(仮称)案を公表した。今後5年間をめどに取り組むべき97の施策をまとめた。新規施策として、児童生徒に対して性暴力に及んだ教育職員の原則懲戒免職の徹底や、教育・保育施設等で働く際に性犯罪歴等についての証明を求める仕組(日本版DBS)の導入に向けた検討、子どもの性被害に対処するための刑事法の整備などを盛り込んでいる。17日までパブリックコメントのほか、子ども、保護者からの意見を募集している。
平成29年に犯罪対策閣僚会議で決定した現行プランは、2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会までを視野に入れていた。また、SNSに起因する児童買春・児童ポルノ事犯が高水準で推移していることなどから、今後5年間をめどとした新プランを作成する。
現行プランの6つの柱を維持しつつ、現在の情勢・課題を踏まえた施策を新たに追加。新プランでは合計97(現行プランは88)の施策を打ち出している。
柱ごとの新規施策をみると、①「児童の性的搾取等の撲滅に向けた国民意識の向上および国民運動の展開ならびに国際社会との連携強化」では、SNS等に起因する事犯などの被害防止に資する広報・啓発のため実態を調査。また、旅行業者などへの指導を実施し児童買春等の法令違反のサービス提供が行われないよう、自己点検や国・地方公共団体による立入検査を促す。
さらに、若年層の性暴力被害予防月間における取組を実施。虐待、性的搾取等・性暴力等の分野における取組を取りまとめた子どもに対する暴力撲滅行動計画に基づく、関係府省庁の連携した取組の着実な実施を目指す。
②「児童が性的搾取等の被害に遭うことなく健やかに成長するための児童および家庭の支援」では、性犯罪・性暴力の加害者にならない、被害者にならない、傍観者にならないための「生命(いのち)の安全教育」をはじめとする生命の貴さを学び生命を大切にする教育などを推進する。
③「児童の性的搾取等に使用されるツール・場所等に着目した被害の予防・拡大防止対策の推進」では、不適切な書き込みをサイバーパトロールによって発見し、注意喚起のためのメッセージを投稿する取組を推進するとともに、AI技術の活用など効果的な手法の導入を検討。
また、事業者団体の青少年保護活動に参画し、被害実態に関する情報提供を行うとともに、個々の事業者における自主的な対策強化を促進。さらに、被害場所の実態把握、被害場所に関する分析を実施し、関係府省庁の協力を得て関係団体等へ情報を提供する。
⑤「被害情勢に即した取締りの強化と加害者の更生」では、矯正施設に収容中の性犯罪者等について、矯正施設収容中から医療機関等の医師や社会福祉士らの専門家による面接を実施。また、性犯罪者の退所後に円滑に個々人の特性やニーズに応じた医療機関等による多様な方法、内容による治療等につなげ、再犯防止を推進する。
また、刑事手続の終了後も、地域社会において性犯罪者に対するカウンセリング等再犯防止に向けた支援が提供されるようにするなど、国と地方公共団体とが連携した性犯罪者の再犯防止対策の推進を図る。
さらに、仮釈放中の性犯罪者等にGPS機器の装着を義務づけることなど、諸外国の法制度・運用や技術的な知見等を踏まえた所要の検討を実施する。
⑥「児童が性的搾取等の被害に遭わない社会の実現のための基盤の整備・強化」では、過去40年間の懲戒免職処分歴等の情報検索が可能な「官報情報検索ツール」のさらなる活用の促進や、児童生徒に対して性暴力に及んだ教育職員の原則懲戒免職の徹底を図る。
また、保育士資格について、特定免許状失効者等に対する教育職員免許法の特例と同様の仕組みを検討する。性暴力等を行ったベビーシッターに対する業務停止命令等に関する情報を共有・公表する仕組の構築を検討する。
また、教育・保育施設等や子どもが活動する場等において働く際に性犯罪歴等についての証明を求める仕組み(日本版DBS)の導入に向けた検討を行う。
さらに、子どもに対する性被害に対処するための刑事法の整備について、性犯罪に対処するための法整備に関する法制審議会の審議結果を踏まえた所要の検討を実施する。
同プランは、子どもにも分かりやすい表現にした子供向け資料とプラン案の概要、プラン案の3種類を作成。いずれも全ての漢字にふりがなをつけたバージョンを用意している。
子どもや保護者からのパブリックコメントや意見を17日まで受け付けており、警察庁のホームページからパブリックコメントを書き込むこともできる。
(国 2022-02-09付)
その他の記事( 国)
国の高校普通科改革
高校の普通科には高校生の約7割が在籍している一方、生徒の能力・適正や関心などを踏まえた学びの実現への課題などが指摘されており、国は生徒や地域の実情に応じた特色・魅力ある教育の実現を図る普通...(2022-02-14) 全て読む
文科省 4年度から高校改革事業 新学科設置の取組推進 高校に地域との調整役配置
文部科学省は、4年度から3ヵ年で取り組む新時代に対応した高校改革推進事業の公募を開始した。学際領域学科や地域社会学科の設置に必要なカリキュラム、遠隔・オンライン教育を活用した教科等横断的な...(2022-02-14) 全て読む
文科省 公立高校の端末整備 道立73%、札幌市立44% 4年度当初 BYOD36自治体
文部科学省は、公立高校の端末整備の見込み状況(4年度当初見込み)をまとめた。1人1台端末の整備率が100%となる見通しの都道府県・政令指定都市は21府県7市に上る一方で、道立高校は73・4...(2022-02-10) 全て読む
第4期教育振興基本計画策定へ オンライン教育活用など 文科相 4事項の審議諮問
末松信介文部科学大臣は7日、中央教育審議会に5年度から始まる第4期教育振興基本計画の策定を諮問した。新たな価値を創造する力の必要性を提起し、2040年以降の社会を見据えたわが国の教育施策と...(2022-02-09) 全て読む
5年度 こども家庭庁設置へ いじめ相談体制整備など 所掌14事務規定 文科省と一体で対応
こども家庭庁設置法案が8日に開かれた自民党の「こども・若者」輝く未来実現会議で示された。就学前の子どもの成長に関する基本政策の企画・立案など、所掌する14事務を規定。いじめ防止対策に向けて...(2022-02-09) 全て読む
文科省 ウェブ調査システム 直接入力で業務省力化 3月から試行導入し負担軽減
文部科学省は、3月から文科省ウェブ調査システムの試行導入を計画している。教育委員会を経由することなく学校が各種調査への回答を直接入力することで、メール送付やデータの集約業務を省力化。教育行...(2022-02-04) 全て読む
開発局わが村は美しくコンクール 奥尻高など4校が優秀賞 奨励賞に当別高など7校
道開発局は「わが村は美しく―北海道」運動第10回コンクールの表彰団体を決定した。学校関係では、奥尻高校と富良野市立樹海中学校、帯広農業高校、遠別農業高校の4校が優秀賞(開発局長賞)に選ばれ...(2022-02-03) 全て読む
文科省 教員不足実態調査 5月時点 道内小・中44校63人不足 札幌市内小学校で全国平均超
文部科学省は、教員不足の実態調査結果をまとめた。昨年5月1日時点で1人以上の教員が不足した道内の小・中学校数は44校、不足人数は63人。教員が不足した小学校の割合は札幌市で0・52%と全国...(2022-02-02) 全て読む
文科省 3年度教育者表彰 吉田氏、三浦氏、廣田氏
文部科学省の3年度文部科学大臣表彰(教育者表彰)では、本道から道小学校長会の吉田信興会長、道中学校長会の三浦利章会長、道高校長協会の廣田定憲会長の3人が受賞した。 文科省は、幼稚園、小...(2022-02-02) 全て読む
文科省 第6次学校図書整備計画策定 全学校で図書標準達成へ 5ヵ年で2400億円試算
文部科学省は、4年度から8年度までを対象期間とする第6次学校図書館図書整備等5か年計画を策定した。5年間で、全ての小・中学校等において学校図書館図書標準100%達成を目指すとともに、図書...(2022-01-26) 全て読む