子が見方働かせる授業を 北理研第16回冬季研究大会
(関係団体 2022-01-31付)

 道小学校理科研究会(=北理研、紺野高裕会長)は1月中旬、オンラインで第16回冬季研究大会を開いた。120人が参加。テーマ「“子ども主体の問題解決”を問い直す」のもと、研究提言や事業報告、文部科学省初等中等教育局教育課程課の鳴川哲也教科調査官による講演などを実施。理科教員としての資質・能力の向上、授業力向上に努めたほか、未来を担う若手会員の育成に向けて研鑚を積んだ。

 開会に当たり、紺野会長があいさつ。本年度から国のGIGAスクール構想による1人1台端末の活用が始まったことに触れ、「扱い方や活用方法の模索や習熟に多くの時間を要することとなった」と振り返った。

 その上で、「現在は端末をどのように有効活用していくか、各学校において取組が進んでいる」とし、「特に理科の授業においては、子どもの観察実験の機会を奪うことなく、授業をさらに協働的に進め、一人ひとりの学びを一層深めるためのツールとして、端末の活用法について研究が進みつつある」と強調。研究大会を通して、子どもが見方・考え方を働かせ、資質・能力を高めていく理科授業について、研究がさらに深まっていくことに期待を寄せた。

 文科省の鳴川教科調査官と札幌市教委教育課程担当課の鈴木圭一企画担当係長が来賓あいさつ。

 鳴川教科調査官は、研究会を通して様々な視点で検討し、それを明確化する重要性を指摘。「様々な角度から様々な意見を戦わせ、これからの理科教育の充実に向けて重要となる視点を幾つも挙げることが、大会の成功につながる」と強調した。

 鈴木企画担当係長は「理科の学習を通して子どもを育てるという理科学習の本質は、これまで北理研が長年積み重ねてきた子ども主体の問題解決の推進そのもの」とし、引き続き子ども主体の問題解決に取り組むよう求めた。

 研究部長を務める道教育大学附属札幌小学校の鐙孝裕教諭が提言。全道研究テーマのもと、各支部が具体的な視点を持って研究を進めてきたことや札幌支部において、本年度Society5・0時代における自然と向き合うことの意義と在り方を見つめ、協働的に理科を学ぶことに焦点を当て「自然と向き合い、協働的に価値を創る問題解決」を研究主題に研究を進めてきたことなどを報告した。

 事業報告では、附属札幌小の髙畠護教諭が札幌市内の教員や学生などを対象にオンライン理科授業研修会を開催したことや、同会のホームページをリニューアルしたことなどを報告した。

 このあと、鳴川教科調査官が「これからの時代に求められる子ども主体の問題解決」と題し講演した。

◆ICTで学習個性化を 文科省・鳴川教科調査官が講演

 道小学校理科研究会の第16回冬季研究大会では、文部科学省初等中等教育局教育課程課の鳴川哲也教科調査官が講演した。学習指導要領の改訂や理科における問題解決、1人1台端末の活用などについて持論を展開。その上で、ICT端末をどう使って理科の学びを質的に高めるのか、学習の個性化をいかに高めていくかなどについて今後も研究を深めていくよう求めた。

 鳴川教科調査官は、学習指導要領の改訂に触れ、知識・技能において「知識の理解の質を高めることが重視されている」と指摘。「自然事象の価値、科学の価値とは何か、概念的な理解をすることが価値なのか、別のものがあるのかなどについて研修を深めることがポイントとなる」とした。

 理科における問題解決に向けては、「学習して得た知識をもう一度、事物現象に当てはめると、新しい問題が生まれる」と強調し、日常と理科の学習を結び付けることの大切さを呼びかけた。

 1人1台端末の活用に向けては、「来年から適切な活用場面を選択できるフェーズに入っていく必要がある」と指摘。活用のポイントとして、①情報を集める②事実を捉える③学びを蓄える④事象をつなげる⑤認識を深める⑥問題を見いだす⑦根拠を見つける⑧価値を高める―の8点を示した。

 最後に、同会に対して「何をもって価値というのか、ICT端末をどう使って理科の学びを質的に高めるのか、学習の個性化をいかに高めていくか、意識的に働かせるということで、学んだことを日常の中でどう生かすか、これらについて研究を深めてほしい」と期待を寄せた。

(関係団体 2022-01-31付)

その他の記事( 関係団体)

ほっかいどう学推進フォーラム 防災教育を再考 5日に連続セミナー

 特定非営利活動法人ほっかいどう学推進フォーラム(新保元康理事長)は、5日午後1時30分からオンラインで第5回ほっかいどう学連続セミナーを開催する。「北海道胆振東部地震から3年~防災教育を再...

(2022-02-02)  全て読む

道高校長協会支部長・理事合同研 部活動の移行 建設的に 新型コロナへの対応交流

 道高校長協会(廣田定憲会長)は1月28日、オンラインで第4回支部長・第3回理事合同研究協議会を開いた。冒頭、あいさつに立った廣田会長は、部活動の地域移行について「何のための改革かを外さない...

(2022-02-01)  全て読む

芽室町教育研究所 めむろ未来学 4年度から取組本格化 年間等計画もとに地域探究

 【帯広発】芽室町教育研究所(阿部立所長)は、小・中学校9年間における教科等横断的な学習を通して地域への理解と愛着を深める「めむろ未来学」について、4年度からの方向性をまとめた。本年度に全小...

(2022-02-01)  全て読む

5委員会が成果等掲載 道高校長協会調査研究部が報告書

 道高校長協会(廣田定憲会長)は、通巻50号となる3年度調査研究部『研究報告書』を発刊した。調査研究部の5委員会による研究内容を掲載。喫緊の教育課題解決に向けて取り組んだ調査研究の内容や、成...

(2022-01-31)  全て読む

藤学園と天使学園 6年度統合へ協議開始 カトリック教育の基盤強化

 学校法人藤学園(永田淑子理事長)と学校法人天使学園(松岡健一理事長)は、6年度の法人統合へ協議を進めている。26日に理事者などで構成する法人統合協議会を設置し協議を開始。統合後の法人名称は...

(2022-01-31)  全て読む

道師範塾最終講座 金沢大教授が講演 創造的な人材育成を 吉田会長 子のため学び続けて

 道師範塾(吉田洋一会長)は1月上旬、冬季講座(最終講座)をオンライン開催した。金沢大学の金間大介教授が「未来に向かって学び続ける人を育む学校をどう実現するか」と題し、イノベーション論やモチ...

(2022-01-26)  全て読む

“親友”との交流が大切 高相研第50回研究大会記念講演 臨床医が思春期の心解説

 道高校教育相談研究会(=高相研、上田智史会長)が14日にオンラインで開いた第50回記念研究大会では、こころとそだちのクリニックむすびめの田中康雄院長が「臨床から診える高校生の〝こころ〟と〝...

(2022-01-24)  全て読む

北社研が社会科教育冬季セミナー 小池会長 成長の礎築く一年に 社会に参画する資質・能力育成

道社会教育研究会冬季セミナー  道社会科教育研究会(=北社研、小池千秋会長)は15日、ホテルライフォート札幌で第15回社会科教育冬季セミナーを開いた。小・中学校の教員など約40人が参加。実践発表や講演を通し、社会科教育に...

(2022-01-21)  全て読む

網走市学校経営研修会開く 3つのサイクルで改善 網走小・吉田校長が実践発表

網走市学校経営研修会  【網走発】網走市校長会(木野村寧会長)と網走市小中学校教頭会(三村文弥会長)は13日、市内のオホーツク文化交流センターで本年度学校経営研修会を開いた。網走小学校の吉田昌広校長が実践発表し、...

(2022-01-21)  全て読む

真の共生社会実現に向け 新春インタビュー 4種校長会に聞く④

4種校長会インタビュー特別支援学校長協会友善会長 ―校長会としての新年の展望をお聞かせください。  一昨年実施の予定がコロナ禍において異例の延期となり、昨年、緊急事態宣言下に実施されたオリンピック・パラリンピック。様々な意見が行き交う中で...

(2022-01-20)  全て読む