道師範塾最終講座 金沢大教授が講演 創造的な人材育成を 吉田会長 子のため学び続けて
(関係団体 2022-01-26付)

 道師範塾(吉田洋一会長)は1月上旬、冬季講座(最終講座)をオンライン開催した。金沢大学の金間大介教授が「未来に向かって学び続ける人を育む学校をどう実現するか」と題し、イノベーション論やモチベーション論について講演。吉田会長は、子どもたちのため学び続け、北海道教育の活性化の中心的役割を担う教師となるよう期待した。

 道師範塾は平成22年度に創設。若手教員、ベテラン教員を含めた成長し続ける教師の養成に向け、教育の今日的課題に対する認識と対応策について考えを深め、実践する研修を行ってきた。今回の講座が最終講座で、3月で師範塾としての活動を終了する。

 開講式で吉田会長は、社会が急速に変化する中、自身の目や耳で確認し、客観的に物事を捉えて行動する重要性を強調。一人ひとりの意欲の向上は教育効果につながる非常に重要なテーマとし、研修の成果に期待した。

 続いて、企画委員を務める南幌高校の矢橋佳之校長が人生100年時代とSociety5・0時代の社会変化、必要となる資質・能力、学校の在るべき姿について課題提起。参加者は、失敗を恐れずに挑戦する習慣の定着、基礎的なリテラシーや文理分断からの脱却など教育の在り方の方向性について交流し、矢橋校長は「師範塾で育った教員が北海道の教育をリードしてほしい」と期待した。

 つぎに、金沢大融合研究域融合科学系教授、東京大学未来ビジョン研究センター客員教授の金間氏が「未来に向かって学び続ける人を育む学校をどう実現するか」と題し、経済成長の原動力となるイノベーション論を解説。新規学卒者を採用する企業では、「指示されたことだけでなく、自ら考え行動する人材」「部下の指導や後継者の育成ができる人材」を求める傾向が高まっていることから、「取り組むべき課題を自ら考える創造的な人材の育成が求められている」と述べた。

 2000年から「自分の能力を試したい」「社会の役に立ちたい」と考える新入社員が減少する一方、楽しい生活を志向する傾向が高まっているとする調査結果を示し「失敗を恐れ、行動しない若者が増えている」と指摘。安心して挑戦できる社会の土壌を整備する必要性を説いた。

 グループ討議では、学力向上の課題、自身が考える自校の改善策について意見を交換した。

 最後に吉田会長は、道師範塾設立の経緯を振り返り、「一人でも多くの教師が子どもたちのために力を尽くすことが何よりも大切」と強調。自ら学び成長を続ける教師となり、北海道教育の活性化に向けて中心的役割を担うよう期待した。

 子どもたちに学ぶ面白さ、楽しさを実感できる指導・支援を呼びかけ、「初心を忘れず、子ども一人ひとりとしっかり向き合い、学校の体面や自身の保身のためではなく、子どもたちのために全力投球してほしい」とエールを送った。

(関係団体 2022-01-26付)

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