【解説】コロナ禍で学習意欲低下
(解説 2022-05-02付)

 2019~21年の3年間のコロナ禍で「勉強する気がわかない」子が54・3%に増加し、学習意欲が低下傾向にある。東京大学社会科学研究所と、ベネッセ教育総合研究所の共同研究プロジェクトが調査したもの。プロジェクトでは、同一の親子(小1~高3、約2万1千組)を対象に15年以降調査を継続している。

 今回は小4~高3の子ども自身による回答を19、20、21年の各時点で取り上げコロナ禍における子どもの学びについて確認した。

 それによると「勉強する気がわかない」の肯定率は、19年が45・1%、20年が50・7%、21年が54・3%と年々上昇。入学から間もない学年で学習意欲の低下が著しく、小6→中1(14・8ポイント増)、中3→高1(6・0ポイント増)の変化が大きい。

 一方、授業形態についてみると「パソコンやタブレットを使う」が19年の54・5%から21年の80・1%に大きく増加。20年に落ち込んだ「グループで調べたり考えたりする」「テーマについて調べる」は前者が84・6%→72・0%→80・3%、後者が69・9%→64・5%→76・6%と、探究的な活動が回復しつつある。

 ただ、こうした授業の変化と意欲については「明確な関連はなく、プラスでもマイナスでもない」と分析。学習意欲の向上・低下の要因については「上手な勉強の仕方が分かるようになった」「授業が楽しくなった」「自分の進路(将来)について深く考えるようになった」などと回答した子ほど意欲向上群の出現率が高く、意欲低下群の出現率が低くなっている。

 これらから「子ども自身が学び方を身に付け、関心・意欲が高まるような授業を受け、自分の将来を深く考えるといった学びの本質に関わる働きかけが重要」と考察している。

(解説 2022-05-02付)

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