道中総会・研修会 道教委・中澤局長講話〈上〉
(道・道教委 2022-05-09付)

後志教育局長中澤美明
中澤美明局長

 道中学校長会(野﨑均会長)の第95回総会・研修会(4月28日、ホテルライフォート札幌)では、道教委の中澤美明学校教育局指導担当局長兼新型コロナウイルス感染症対策担当局長が「子供たちの健やかな成長と学びを保障するために」と題して講話した。感染症対策、学びの保障や危機管理など今日的な教育課題を踏まえた留意事項について周知し、コロナ禍における子どもたちのため心のケアの充実と「校内で感染を広げない」対策の徹底を要請。いじめ問題への対応に関しては、校内におけるいじめの積極的な認知の重要性の共有、校長のリーダーシップにおける組織的な対応を呼びかけた。

 中澤局長の講話の概要を連載で紹介する。

【ウィズコロナ・ポストコロナにおける新たな学び~これからの時代に向けた教育環境の創造】

▼新型コロナウイルス感染症への対応

 道内の新規感染者数は増加の傾向にあり、学年末・学年始休業期間において児童クラブ等での感染拡大が疑われる事例などが複数発生しており、引き続きマスクの着用や健康管理など感染リスクが高まる場面や感染が広がっている場所における感染防止行動の徹底を図る必要がある。

 各学校においては、軽微であっても未診断の風邪等の症状がある場合には当該生徒は登校しないこと、マスクをはずす給食などの場面では話をしないこと(黙食)を徹底願う。また、環境の変化等によるストレスの増幅も懸念されることから、生徒の心のケアの充実を図るようお願いする。

 臨時休業等の取扱いについては3月25日付で通知しているように、従前の感染者が1人でも発生した場合には学級閉鎖を行うという取扱いから、可能な限り道保健福祉部通知「接触者のリストアップの基準学校編」に基づき感染の可能性がある人のリストアップを行い、当該生徒に対し個別の出席停止の措置を取ることによって、学級閉鎖を行わないなど学びの保障に努める取扱いに変更されているので、適切に対応いただくようお願いする。

 なお、同時に多数の感染者が発生し、校内で感染拡大の可能性がある状況においては、学校医等の意見を踏まえ迅速に幅広の臨時休業の措置を取るなど、集団感染の発生防止に努めるよう重ねてお願いする。

 新型コロナウイルス感染症は、感染していても無症状で経過することがあるので、各学校においては常に「感染者がいる」という前提で校内で感染を広げないための対策を徹底いただくようお願いする。

▼学びの保障に向けた取組

 新型コロナウイルス感染症の長期的な対応が求められる中、道教委では感染リスクを低減する安全な活動事例に関する情報提供や地域の感染状況に応じた教育活動の在り方を紹介するなど、生徒の命と学びを守る様々な対策を進めてきた。

 各学校においては、生徒の健やかな学びを保障するため、衛生管理マニュアルに基づき学習活動を工夫しながら、可能な限り学校行事や部活動等も含めた学校教育活動を継続するとともに、臨時休業や出席停止等によってやむを得ず学校に登校できない生徒に対する学びの保障に向け、1人1台端末の家庭への持ち帰り等によって、クラウドサービス等を活用した学習課題や授業動画の配信、双方向のコミュニケーションによるオンライン学習を実施するなど、配布された端末を最大限活用し、新しい時代の学びの実現に向けた環境整備を進めていただくようお願いする。

【生涯を通じ、個性が輝き豊かさを実感できる教育の推進~社会で生きる「知、徳、体」の育成】

▼学力向上

 4月19日に実施された全国学力・学習状況調査では、各学校において実施体制を整えるなど、本調査の確実な実施の協力に感謝する。

 本調査の結果は7月下旬に国の公表が予定されているが、各学校においては結果公表を待つことなく、調査で明らかになった子どもたち一人ひとりの学習状況を教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てるなど、検証改善サイクルの確立に向け活用いただくようお願いする。

 前年度の質問紙調査結果と教科に関する調査結果のクロス分析では「自分には、よいところがあると思うか」「学校に行くのは楽しいと思うか」という質問に対して、肯定的な回答をした児童生徒の方が教科の平均正答率が高い傾向が見られた。

 各学校においては、教科の平均正答率に目を向けるだけではなく、児童生徒質問紙調査結果から得られる児童生徒の状況把握に努めていただきたい。

 道教委では今後も、北海道版結果報告書等を通じて教科に関する調査と質問紙調査の結果についての分析や改善の方向性を示すとともに、教育委員会や学校等の参考となる授業改善例や特色のある取組事例の提供に努めるので、学校、家庭、地域、行政が一体となった学力向上に向けた取組の一層の推進に引き続き理解と協力をお願いする。

▼道徳教育

 道徳教育推進教師を中心に全教職員が協力し、道徳科の特質を生かした授業や評価の工夫改善を図るとともに、道徳科を要とした学校の教育活動全体を通じた道徳教育の一層の充実を図ることが求められている。

 道教委は前年度『道徳教育の充実に向けて~自尊感情や規範意識の醸成に向けた道徳科の授業改善』を作成しホームページに掲載しているので、本資料等を参考にしていただきたい。

 道教委ホームページには『北海道版道徳教材“きたものがたり”実践事例集』等も掲載しているので、7月の北海道みんなの日などに本教材を活用し、子どもたちにふるさと北海道への誇りと愛着を育む教育活動の充実を図っていただくようお願いする。

▼望ましい生活習慣の定着

 道教委では、読書などに親しむためのノーゲームデーや、家庭や学校における適切な電子メディアの利用に関するルールづくりを推奨するとともに、生活習慣の定着に向けた全道フォーラムを今後も開催するので、学校・家庭・地域から多くの方が参加するよう協力していただきたい。

 また、子どもの成長に合わせ、家族とのふれあいを通して家庭での学習習慣を身に付けさせるため、リーフレット「北海道の子どもたちの健やかな成長を願って」を作成し、道教委ホームページに掲載しているので活用していただきたい。

▼体力向上

 4年2月に3年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査における本道の調査結果を詳細に分析した北海道版結果報告書を公表し、本道の児童生徒の体力・運動能力は小・中学校の男女いずれも依然として全国平均より低い状況にあるが、小学校の男女では全国平均との差が縮まっており、札幌市を除けば全国平均と同程度である。

 その一方で、中学校の男女においては依然として全国平均との差が開いている状況である。

 児童生徒質問紙調査結果においては「挑戦心」「自己肯定感」が全国平均と比べて低い状況にあるということ、本調査結果の詳細な分析から「挑戦心」「自己肯定感」といった児童生徒の内面と体力合計点の高低との間には一定の相関が見られることが明らかになっており、「自己肯定感」が人との関わりを通じて形成されることを踏まえつつ、教員が様々な場面で児童生徒の良さや伸びを認めるきめ細かな指導の充実を図るようお願いする。

 本年度の調査の実施については既に通知(4月5日付)しているが、各学校においては7月末の調査提出期限を見通し、適切な実施時期の設定や効率的・効果的に取り組むことができる指導体制の整備に留意するとともに、実施方法を生徒に丁寧に説明し、事前の練習機会を設定するなど、生徒が自分の持てる力を十分に発揮できる環境の整備をお願いする。

 生徒の体力・運動能力等の育成に当たっては、各学校の組織的な取組はもとより、生徒の実態を把握し、その状況を踏まえながら保健体育の授業改善を進めていただきたい。

▼体育活動中の事故防止

 学校体育活動中の事故防止についてはこれまでも安全指導の徹底をお願いしてきたところだが、これからの季節は特に熱中症の防止が重要となる。

 体温調節機能がまだ十分に発達していない生徒は成人よりも熱中症のリスクが高いことから、天候に応じた適切な水分補給および処置を行うことができる環境を整備するとともに、保健指導の徹底を図っていただくようお願いする。

 なお、本年度も引き続き新型コロナウイルス感染症対策を講じながら、指導計画や学習内容を工夫して体育活動を実施していただいているところだが、各学校においては、通知「学校における体育活動中の事故防止等について」(4月4日付)に基づき、各学校の実情に応じ、子どもの安全確保について適切に対応いただくようお願いする。

▼学校保健組織活動(学校保健委員会)

 現在の子どもたちには、肥満、やせ身、生活習慣の乱れやメンタルヘルスの問題、アレルギー疾患の増加など多様な課題が生じていることに加え、新型コロナウイルス感染症対策など、これまで経験したことのない事態に対応しなければならない状況が続いている。

 こうした中、各学校においては心のケアなどアフターコロナの対応も含め、子どもたちの健康課題の解決に向けて、校内における共通理解はもとより学校医やスクールカウンセラー、保健所などの専門家や地域の関係機関と連携しながら、迅速かつ適切に対応することが必要である。

 各学校においては、学校保健委員会の開催を学校保健計画に位置づけ、年度始めに年間計画を確認し、年度途中に取組の検証を行い、年度末には成果と課題の検証や次年度の取組の確認を行うなど関係者とも連携しながら自校の生徒の健康課題やその対応について協議・検討を行うとともに、教職員それぞれの役割を明確にしつつ相互に連携しながら実効性のある取組を進めるなど、学校保健委員会を核として学校保健組織活動の一層の充実を図っていただくようお願いする。

▼学校における食育推進体制の整備について

 本道の子どもたちは、全国に比べ肥満傾向の割合が高いことや、朝食を欠食する割合が高い状況などが見られ、子どもたちの生活や学習の基盤となる望ましい食習慣の定着に課題があると認識している。

 食育推進体制の整備に当たり、全校体制で組織的に食育が推進できるよう、教育課程の編成および実施に当たって食に関する指導の全体計画などと関連づけながら効果的な指導が行われるよう留意するとともに、委員会を設置するなどして食に関する指導の校内研修の実施および計画の推進状況の評価検証等に努めていただくようお願いする。

 また、栄養教諭の職務内容を確認いただき、学校給食の管理に関する業務の役割分担を明確に示すとともに、栄養教諭の衛生や調理等に関する指導助言が円滑に実施されるよう、調理員をはじめとする関係職員との良好なコミニュケーションについて配意いただくようお願いする。

 子どもたちに食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けさせることを目指し、栄養教諭を中心に全教職員が連携・協働した食育を一層推進していただくようお願いする。

▼学校給食の事故防止

 食物アレルギー対応については、各学校において学校生活管理指導表を活用し、医師の診断を踏まえた対応を行うとともに、校内委員会を設けて組織的に対応することや緊急時に対応するための実践的な訓練を含んだ研修を行うなど適切に対応していただくようお願いする。

 給食を介したノロウイルスなどの感染症や食中毒の予防については、給食当番生徒および教職員自身の手洗い、健康状態、身支度等の確認と記録を行うなど、各学級で給食の時間における衛生に関する指導を確実に進めていただくとともに、学校給食を起因とする異物混入事故や誤えん事故なども含め、事故発生時の対応や連絡体制をあらためて全教職員で確認するなど、生徒の安全確保に万全を期すようお願いする。

▼公立高校入学者選抜における事務取扱い

 4年度公立高校入学者選抜においては、関係各位の協力によって概ね円滑に実施することができたが、道立高校において入選マニュアルを改訂しなかったことによって監督者が誤った指示をし、結果として受検者に一律に加点した事例等があり、迷惑をかけたことをお詫びする。

 中学校においても、個人調査書の3学年の成績部分が2学期の評定のままであった事例や、合格者への入学意思の確認を思い込み等によって十分に行わなかったため、高校への「入学意思のない者の報告」において報告漏れがあり、入学時に欠員が生じた事例等があった。

 入学者選抜は受検者の将来を左右する責任の重い業務であり、ミスは絶対あってはならない。今回、高校および中学校で発生したミスは、校内における事務手続きの確認や複数の教職員による複数回の点検によって防ぐことができた事例である。

 各学校においては、基本的な事項と思われることでも省略することなく丁寧に確認するなど、業務手順を明記した校内マニュアルに基づき、複数回の点検を行う校内体制を整備し、遺漏なく業務を遂行していただくとともに、入選業務の遂行に当たり疑義や不明な点が生じた場合には、どんなに小さなことであっても構わないので、高校または教育局に問い合わせ願う。

 特別な配慮を必要とする障がい等のある生徒の受検については、受検者一人ひとりの状況等に応じて丁寧に相談を重ね、建設的対話による相互理解を通じて受検者や保護者が不安なく安心して受検できるようにするために、出願前に協議を終えることができるよう早めに出願を希望する高校に相談していただくようお願いする。

 9月に5年度入学者選抜実施要項において定める予定だが、道外からの入学者の受け入れを行う学校・学科については、本年6月に公表予定であることを承知願う。

▼専門高校の取組

 専門高校では、地域産業等への理解を深めることはもとより、道外や世界の動向にも視野を広げながら、それぞれの学科の特性や特色を生かし、自治体や企業等の協力を得た特色ある教育活動を行っている。

▼こうした専門高校の学習活動の成果を広く皆さんに知っていただくため、学習成果発表会や各学科ごとのイベントや開催日程などをまとめたリーフレットを作成してホームページに掲載するとともに、道中学校長会や道PTA連合会などにも情報提供させていただいている。

 各学校においては、生徒はもちろん保護者に対しても専門高校の取組についての理解が一層深まるよう、専門高校生が活躍する様子をご覧いただき、進路選択の参考としてもらうようお願いする。

▼多様なタイプの高校

 多様なタイプの高校については、生徒の多様な学習ニーズに応え、学習選択幅の拡大を図るため、多くの通学区域に設置するよう進めてきた。

 本年度の公立高校においては、千歳北陽高校を新たに総合学科としたほか、釧路北陽高に単位制を、基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着や一人ひとりの社会的・職業的自立に必要な基盤となる能力や態度の育成に重点を置いた新たな特色ある高校として、野幌高校と千歳北陽高にアンビシャススクールを導入した。

 次年度は、名寄高校と名寄産業高校を再編統合し、普通科4学級、情報技術科1学級の単位制高校を名寄市内に新設する。

 道教委では、本道における多様なタイプの高校や学科の特色などについてより幅広く周知を図るため『2022年度版わたくしの進路北海道の公立高校』を作成・配布するとともに、多様なタイプの学校紹介ビデオをホームページに掲載しているので、生徒の進路指導などに活用するようお願いする。

▼キャリア・パスポート

 キャリア・パスポートについては、2年4月から道内全ての小・中学校、高校で実施しているところであり、各学校においては、地域の実情や各学校および学級・ホームルームにおける創意工夫を生かした形でキャリア・パスポートが活用されていることと認識している。

 特に、中学校から高校にキャリア・パスポートを引き継ぐ際は、学校設置者が異なることから円滑な引き継ぎがなされるよう協力いただくとともに、自身の変容や成長について振り返り、新たな学習や生活への意欲向上や自己実現につなげる教材として効果的に活用し、小・中・高校のつながりを明確にしたキャリア教育を推進していただくようお願いする。

▼切れ目のない一貫した支援の充実

 特別な教育的支援を必要とする子どもに対しては、乳幼児期から学齢期、社会参加に至るまで、切れ目のない一貫した支援の充実を図ることが重要である。

 子ども一人ひとりの教育的ニーズに対応し、子どもの可能性を引き出し、持てる力を最大限度まで高めるための個別最適な学びと、協働的な学びが実現されるよう、個に応じたきめ細かな学習の工夫を行う特別支援教育の考え方は教育全体の質の向上に寄与するものであることから、学校全体として特別支援教育を推進できるよう特別支援教育を学校運営の柱の一つに据え、学校全体による支援体制の構築に取り組んでいただくようお願いする。

 とりわけ、特別支援学級においては、長期的な視点から在籍する子どもの教育的ニーズを把握し、教育課程を編成・実施することが重要である。

 道内の中学校特別支援学級卒業者の約4割は高校へ進学していることを踏まえ、特別支援学級においても教科指導の充実を図るとともに、知的障がい特別支援学校の教育課程を適用する場合には、子どもおよび保護者の将来の進路希望等を把握した上で、その必要性について十分に検討していただくようお願いする。

 中学校における進路指導に関わっては、高校や特別支援学校高等部など行き先を決めることに終始することなく、本人、保護者の願いを丁寧に聞き取り、将来の生活についてどのような希望があるのか、それを実現するためにどのような指導や支援が必要かについて子どもや保護者と共有することが重要である。

 子どもや保護者が将来の生活について知り、理解した上で、進路を選択・決定できるような進路指導に努めていただくようお願いする。

▼特別支援教育にかかる教職員の専門性向上

 3月に出された特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議の報告において、令和の日本型学校教育を担う上で、全ての教師が通常の学級、通級による指導、特別支援学級といった連続性のある多様な学びの場において、特別な支援を必要とする子どもを指導することを前提に、全教師に共通に求められる特別支援教育の基本的な知識技能を習得する必要があること、特別支援学級等を担当する教師は基礎的なレベルにとどまらず、特別支援教育に関する専門性を必ず身に付けておく必要があることが示された。

 そのため道教委では、前年度に引き続き本年度も各管内で特別支援教育を中心的に推進している教員をリーダー教員として選定し、リーダー教員によるモデル授業をオンラインで配信するオンライン授業改善セミナーを全ての管内で実施し、特別支援教育に関わる教員の専門性の向上を図ることとしており、教員の積極的な参加について働きかけをお願いする。

 また、特別支援学級等における授業改善に資する資料として『3年度特別支援教育教育課程編成の手引』やICTを活用した支援の在り方および実践事例等に関する研修動画、オンライン授業の実施に向けた資料などを道立特別支援教育センターホームページに掲載しているので活用願う。

▼英語教育

 グローバル化が急速に進展する中で、外国語によるコミュニケーション能力は、生涯にわたる様々な場面で必要とされることが想定され、そのための資質・能力の育成に向けて、学校種間の接続を重視し、学びの連続性を意識した英語教育の改善・充実を図ることが求められている。

 道教育推進計画では、中学校卒業段階で英検3級以上を取得または英検3級以上の英語力を有すると思われる生徒の割合を4年度までに50%以上にするという目標を掲げている。

 各学校においては、英語教育の一層の改善・充実に向けて、本年3月、道教委ホームページに掲載した「小・中・高校英語教育支援事業実践事例」や英検IBAを活用した授業改善の事例の資料を活用していただくようお願いする。

▼3年度補正予算・GIGAスクール構想推進のための学習者用デジタル教科書活用事業および4年度学びの保障・充実のための学習者用デジタル教科書実証事業

 本事業は、3年度学びの保障・充実のための学習者用デジタル教科書実証事業の後継事業として本年度実施するものである。

 道内の市町村立の義務教育諸学校においては、対象児童のいない小学校を除く全校で英語を、さらに約7割の学校で2教科目のデジタル教科書を配布し事業を実施することとして、本年3月下旬に教育局経由で市町村教委に通知した。

 事業実施に当たっては国が作成したガイドラインや実践事例集を参考とし、デジタル教科書を授業の様々な場面で積極的に活用するようお願いする。

▼ICTを活用した授業

 学習指導要領では、情報活用能力が学習の基盤となる資質・能力として位置付けられており、各学校においてはその育成を図るため、ICTを活用した学習活動の充実を図ることが求められている。

 各学校においては引き続きICT活用授業指針に基づき、1人1台端末をはじめとしたICT機器やクラウドを最大限活用し、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善を進めていただくようお願いする。

 また、1人1台端末が授業で確実に活用され、子どもの資質・能力の育成に生かされるよう、道教委のICT活用ポータルサイトに掲載されているみんなで研修プログラム、ICT活用授業モデル等を参考に指導方法の改善に努めていただくようお願いする。

▼GIGAスクール構想のもとで整備された学校における1人1台端末等のICT環境の活用

 3月7日付通知「GIGAスクール構想のもとで整備された1人1台端末等のICT環境の活用に関する方針について」を踏まえ、GIGAスクール構想で整備された学習者用情報端末(以下、ICT端末)等の活用に当たっては、学校設置者と学校、保護者等が連携の上、環境整備やICTを活用した学習指導の推進に努めることが大切。

 各学校においては、本通知を参照の上、1人1台端末等のICT環境を活用した教育活動を一層促進していただくようお願いする。

 なお、本通知において特に留意してほしい点について、4月5日付で同名の事務連絡を送付しているので併せて参照願う。

▼ICTを活用した学びのDX事業

 3年度における本事業の取組では、各市町村教委および推進校の協力によってICT活用に関する情報の共有が図られ、推進校における取組が広く普及するなどの成果が見られた。

 本年度はこうした成果や全ての学校においてICT活用が進んでいる状況を踏まえ、推進校を指定せずに各管内の学校の優れた取組を共有したい。

 今後はICT活用指導者養成研修と学習指導員・スクールサポートスタッフ等ICT活用研修を計画している。特にICT活用指導者養成研修は、参加対象を各地域におけるICT活用を推進する教員に拡充し、クラウドサービスの研修資料について共有したり、ICT活用に関する校内研修について協議を行ったりする予定。本事業の取組を参考に、引き続き全ての学校においてICTを活用した授業改善を図っていただくようお願いする。

▼MEXCBT(文部科学省CBTシステム)

 文部科学省では、GIGAスクール構想によって生徒1人1台端末環境が整備されたことを踏まえ、児童生徒が学校や家庭において、国や地方自治体ができる公的CBT(Computer Based Testing)プラットフォーム「文部科学省CBTシステム(MEXCBT=メクビット)」の開発・展開を進めている。

 全国学力・学習状況調査について6年度から順次CBTを導入する予定。本システムの活用について、各市町村教委と連携の上、検討をお願いする。4年度の活用募集は、4月4日付通知「4年度の文部科学省CBTシステムの活用募集について」を参照願う。

▼授業目的公衆送信補償金制度

 インターネットやクラウドを介して子どもに著作物を提示(公衆送信)する場合は、通常、著作物の使用料を支払う必要があるが、授業においては、授業目的公衆送信補償金制度の補償金を学校設置者が支払うことで、無許諾での利用が可能になる。

 授業目的公衆送信補助金制度に基づく補償金については、3年2月25日付通知「授業目的公衆送信補償金制度に基づく補償金について」を参照願う。

(道・道教委 2022-05-09付)

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