道倫研が第56回研究大会開催 「公共」の指導・評価は? 国研教育課程調査官の講演等(関係団体 2022-08-26付)
道高校「倫理」「公共」研究会(道倫研、元紺谷尊広会長)は8月上旬、オンラインで第56回研究大会を開催した。「公共」のスタートに合わせ、テーマを公共の指導と評価の在り方に絞り、実践発表や国立教育政策研究所教育課程調査官による講演などを実施。「知識を覚えるのではなく、課題を追究する活動などを通して資質・能力を育む」といった公共の理念や指導・評価の在り方などについて理解を深めた。
同会は、道高校「倫理」「現代社会」研究会が、新科目・公共のスタートを前に昨年名称変更したもの。
はじめに元紺谷会長があいさつ。「いよいよ公共がスタートした。道倫研では前年度から教科書見本をもとにどんな授業を組み立てるか議論を重ねてきた」と説明し「きょうは、公共の授業を実践しているお二人に発表していただく。ぜひ、実際に担当するときに生かしてほしい」と期待した。
また「私たちの間でも、公共の教科書を手にしたとき“現代社会と変わらないじゃないか”という声がたくさん出た。しかし、もう一度学習指導要領を読み返し、教科書を読み直してみると、随所に様々な工夫が施されていた」と、公共の教科書は、学習指導要領をよく理解した上で扱う必要性があることを指摘。
倫理との接続についても触れ「科目名に探究とはついていないが、探究科目公共、探究科目倫理という位置付けのため、公共を学んだあとに、どういう倫理の授業を行うかを学んでいかなければならない」と呼びかけた。
続いて、国研教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官の飯塚秀彦氏が「公民科『公共』における指導と評価のあり方について」と題し講演した。
飯塚氏ははじめに、国立青少年教育振興機構の「高校生の心と体の健康に関する意識調査」で、「私は価値のある人間だと思う」との回答が米国、中国、韓国では8割以上であるのに対し、日本は44・9%と半数に満たなかったこと、同機構の「高校生の社会参加に関する意識調査」では、「私の参加により、変えてほしい社会現象が変えられるかもしれない」との回答も米、中、韓が6~7割台だったのに対し、日本は35・4%と他国の半数ほどしかなかったことを説明。
一方、「あなたは学校行事に積極的に参加していますか」との問いでは逆に日本が1位だったことを説明し「公共では、こうしたデータから、学校行事の参加は多いのに、なぜ社会参加の意識は低いのかといったことを読み解くことが大切」と述べた。
また、学習指導要領に込められた願いに立ち返り「学んだことが社会とつながっているか、学校での学びが生徒の人生、社会生活につながっているかが大切」と指摘。
新学習指導要領では、全ての教科で「見方・考え方」が重要であることを示し「公共では、不況になりそう、戦争が起こりそう、社会の分断が進みそうといった社会的事象に対し、政治経済などで学んだことを生かし探究していく。地球温暖化を防ぐにはどうしたら良いかといったことの知識を得るのではなく、主体的に課題解決法を探っていく」などと述べた。
さらに、指導と評価について「これまでの評価は、テスト用紙に赤ペンで正解を書いて返して終わり。しかし、それで生徒は赤ペンで書かれたことを覚えるだろうか。生徒が自分の学習状況を確認し、修正する場面が必要ではないか」と投げかけ、生徒の資質・能力を育成するための指導と評価であることを強調。具体的な公共の授業づくり、単元構成、評価の仕方やそのための準備などについて詳しく説明した。
このあと、函館水産高校の柚原航太教諭と札幌創成高校の渡辺祥介教諭が公共の授業について実践発表。その後、指導と評価の在り方について研究協議を行った。
(関係団体 2022-08-26付)
その他の記事( 関係団体)
釧路校長会、釧路市小中校長会 組織力生かし課題解決 教育経営研で2校長が提言
【釧路発】釧路校長会(佐藤毅会長)と釧路市小中学校校長会(本川敬一会長)は8月25日、オンラインによる釧路地区教育経営研究会を開いた。管内の小・中・義務教育学校の校長84人が参加。学校運営...(2022-09-02) 全て読む
教育長協全国大会 来年春に帯広で 道都市教委連が滝川で総会
【岩見沢発】道都市教育委員会連絡協議会(檜田英樹会長)は23日、滝川市内のホテル三浦華園で4年度定期総会を行った。会員約140人が参加。事業計画として5年5月に帯広市で全国都市教育長協議会...(2022-08-31) 全て読む
道倫研 第56回研究大会 楽しく学べる「公共」を 函館水高の柚原教諭が発表
道高校「倫理」「公共」研究会の第56回研究大会(8月上旬、オンライン、26日付2面既報)では、函館水産高校の柚原航太教諭と札幌創成高校の渡辺祥介教諭が公共の授業実践を発表した。柚原教諭は「...(2022-08-29) 全て読む
十勝小・中校長会 教育研究大会 子の成長の歴史に責任を 地域性生かした学校経営探る
【帯広発】十勝小・中校長会(長江教貴会長)は8月上旬、十勝幕別温泉グランヴィリオホテルで第54回教育研究大会を開いた。会員約80人が参加。分科会や講演を通して、十勝の地域性を生かした学校経...(2022-08-26) 全て読む
北教組 全国学力調査結果公表で声明 過度な競争環境生むな 超勤・多忙化、教育格差解消を
北教組(木下真一中央執行委員長)は8月上旬、2022年度文部科学省「全国学力・学習状況調査」の結果公表に対する声明を発表した。調査の実施・結果公表について「学校現場を過度な競争的環境に置く...(2022-08-26) 全て読む
オホーツク管内校長会が研究大会 創意と活力満ちた学校へ 協議通し校長の役割等明らかに
【網走発】オホーツク管内校長会(緒方隆人会長)は19日、北見市内のホテル黒部を主会場にオンラインで第50回教育研究大会を開いた。大会スローガン「オホーツクの子どもたちのために、志を高く掲げ...(2022-08-25) 全て読む
十勝管内小中教頭会と帯広市教頭会 自走する組織づくりを 学校経営研で十勝局幹部講話
【帯広発】十勝管内小中学校教頭会(小副川浩会長)と帯広市教頭会(武田真会長)は7月下旬、芽室町中央公民館で学校経営研修会を開いた。管内小・中学校の教頭約120人が参加。十勝教育局の北川慎太...(2022-08-24) 全て読む
道教委と道小・道中・道公教 定期研修の拡大など期待 ICT活用推進へ意見交換
道教委と道小学校長会(紺野高裕会長)・道中学校長会(野﨑均会長)・道公立学校教頭会(八田博之会長)は4日、札幌市内の道第二水産ビルで「ICTを活用した学校の教育活動の推進」をテーマとする意...(2022-08-24) 全て読む
岩田地崎建設 創業100周年 描こう!住みたい未来のまち 小学生対象 9月30日まで募集
ことし創業100周年を迎えた道内大手建設会社・岩田地崎建設(株)(札幌、岩田圭剛社長)は、小学生を対象にした絵画作品展「まち未来コンテスト」を開催する。「わたしが住みたい未来のまち」をテー...(2022-08-23) 全て読む
道高・特教頭・副校長会十勝支部が会合 校長との関係づくりを 帯広柏葉高・須藤校長が講話
【帯広発】道高校・特別支援学校教頭・副校長会十勝支部は7月下旬、帯広市内のとかちプラザで第2回研究協議会を開いた。会員約20人が参加。帯広柏葉高校の須藤克志校長による講話や研究協議を通して...(2022-08-23) 全て読む