文科省5年度概算要求主要事項③ 教員研修高度化へプラットフォーム 次世代型研修センター設置(国 2022-10-14付)
総合教育政策局
【新たな教師の学びを支える研修体制の構築】
▼研修受講履歴記録システムの構築=9143万円
国が教師の研修履歴を記録するシステムを構築することで、教師と任命権者や服務監督権者・学校管理職等が教師の必要な学びに向けた積極的な「対話」と適切な研修受講の「奨励」の取組を行うことを促進し、一人ひとりの教師の継続的な学びを支援する。
▽教員の研修履歴記録システムの構築
教師一人ひとりに即した「個別最適な学び」を保証するため、別途予算要求する教員研修プラットフォームと一体となった、教師の研修受講履歴を記録する新たなシステムを構築する。システムは5年度後半からの試行的稼働を目指し、4年度から5年度にかけて開発するが、その際、教員免許管理システム等とのデータ連携を行うことで基礎情報の入力作業等の事務負担を軽減する。
▼教員研修プラットフォームの構築(新規)=1億8403万円
教育公務員特例法の改正(5年4月施行)によって教員研修については各教師の研修履歴を記録するとともに、この記録に基づき、教師の資質能力の向上に関する指導助言等を行う仕組みが整えられた。
法改正によって定められた、研修履歴の記録や教師と校長等による対話と研修受講の奨励をより合理的かつ効果的・効率的に行うため、国において、教職員支援機構、教育委員会、大学、民間団体等が提供する研修コンテンツを一元的に収集・整理・提供するプラットフォームを構築し、いつでも、どこからでも必要な研修を受講できる環境を整備する必要がある。
▽教員研修プラットフォームで実装する主な機能
・研修受講履歴記録システムとの自動連携によって、研修履歴を効率的に記録する
・文科省・NITS・各教委・大学・民間事業者等が体系化された分類に基づき、プラットフォームに研修動画をアップロードすることで、多様なコンテンツを掲載し、その中から必要な研修を検索する機能やオンライン上での受講申請・承認を行う機能を備える。研修コンテンツは一部有料で提供することも想定
・アップロードされた動画の中から、教委が研修動画を選択し、所属教員の研修に充てることも可能。研修後は、確認テストを経るなど成果を確認する機能を付与。研修履歴は自動的に研修受講履歴記録システムに反映
・教育委員会が策定する教員育成指標との関連付けによる資質・能力の見える化などの各種機能を実装することで、教員研修の合理化および効率化を図れるようにする
・ゲスト用ページから、教員志望等の外部人材・ペーパーティーチャーについても研修受講可能
▼教員研修高度化推進支援事業(新規)=26億3309万円
3年11月15日に中央教育審議会で取りまとめられた「令和の日本型学校教育を担う新たな教師の学びの姿の実現に向けて(審議まとめ)」においては、学習履歴の管理や学びの成果の可視化等を電子的に行うこと、豊富で質の保証された学習コンテンツをいつでもどこでもオンラインで学ぶことができるようにすることについて令和の日本型学校教育を担う新たな教師の学びの姿の一つとして挙げており、研修コンテンツを一元的に収集・整理・提供する教員研修プラットフォームを活用していくためには、質の高い有意義な研修コンテンツを開発することが前提となる。
このコンテンツには、喫緊の課題とされるICT活用や特別な配慮を要する児童生徒への対応等をテーマにしたものや、更新講習の知見を生かした研修コンテンツ、社会人経験をもつ教員免許状保有者(ペーパーティーチャー)や外部人材等の採用前後の学びに活用できるよう、教壇に立つ上で必要な知識・技能を習得できる研修コンテンツなどが必要となる。
また、改正教育公務員特例法が5年4月から施行されることに伴い、各自治体が各地域における実情や教員育成指標等に合わせて研修に取り組むことがより一層必要となる。このため、教員研修の高度化に向けた取組を様々な場面で取り入れつつ、対話と奨励やその
成果確認、校内研修等について先進的な事例を蓄積し横展開することを促進するため、自治体で大学等と連携したモデル開発を行うことを支援する。加えて、現職教員の新たな免許状取得を促進する講習等の開発を支援する。
▽教育課題等に対応した教員研修コンテンツ開発
喫緊の教育課題に対して、基礎編から応用編までの段階別に成果確認も併せた研修コンテンツの開発や、教職経験を積み重ねていく中で、特に中堅段階以降の教師が次のキャリアステージに移行するに際し、さらに資質・能力をステップアップさせるための研修パッケージの開発、また、ペーパーティーチャーや外部人材等が入職の前後に研修できる体系的なコンテンツの開発を行う。
・喫緊の教育課題に対応する研修コンテンツ開発(ICT活用とデータ利活用、特別な配慮や支援を要する子供への対応、外国語教育、幼児教育、わいせつ事案対応等)
・教師のキャリアステージに応じたステップアップや、校務分掌や役職に応じ必要となる研修パッケージの開発
・ペーパーティーチャーや外部人材等が入職の前後に研修できる体系的なコンテンツの開発(15時間前後の体系的かつ実際的な研修コンテンツや外部人材が専門性に係る指導を充実するための研修コンテンツ)
▽更新講習の知見を生かした研修コンテンツ開発
これまで教員免許更新講習を行ってきた、大学等の知見やノウハウを生かし、これまでの講習内容を更新するとともにオンライン研修コンテンツに対応したものとして提供。
▽教員研修の高度化に資するモデル開発
・教員研修の成果確認と評価モデルの確立に関すること
・校内研修や授業研修の高度化に関すること
・教師と管理職の対話と奨励におけるプロセスの最適化に関すること
・デジタル技術を活用した指導主事訪問の高度化や各学校の研修主事への支援など、教育委員会と教育センターによる学校へのサポート機能の充実に関すること
▽現職教員の新たな免許状取得を促進する講習等の開発
・免許外教科担任の縮小に必要な教科等に関する講習の開発・実施
・小中学校免許状併有のための講習の開発・実施
・他の研修制度にも活用可能な講習の開発・実施
▼独立行政法人教職員支援機構運営費交付金=14億2876万円
29年4月から独立行政法人教職員支援機構として、教職員の養成・採用・研修の一体的改革を担う新たなミッションを実現するために、各都道府県教委や大学等との連携を図りつつ、教職員に対する研修の実施、研修に関する指導助言に加え、教員の資質・能力向上に関する調査研究の実施や任命権者が策定する教員の育成指標に対する専門的助言、免許状の認定講習等認定事務および資格認定試験実施事務といった事業の運営に要する経費を計上するもの。
また、4年度の教育公務員特例法の改正に伴い、新たな教師の学びを支える全国的な研修拠点として一層の機能強化を図るため、「次世代型教師研修開発センター(仮称)」を設置し、これに必要な経費を計上する。
全国の教職員の養成・採用・研修を担う関係機関の中核拠点として、学校教育関係職員に対する研修の実施や研修に関する指導助言、教育委員会や大学・教職大学院等と連携・協力体制を構築し、研修の高度化・体系化の促進を図るとともに、教員の資質・能力向上に関する調査研究とその成果の研修への活用等の事業に取り組む。
▽学校教育関係職員に対する研修の実施
学校教育関係職員に対する研修を実施するナショナルセンターとして、自治体における学校経営の中核となる教職員を対象とした学校マネジメント研修及び喫緊の重要課題に対応できる指導者を養成するための研修等を行う。
▽教員の資質の向上に関する指標を策定する任命権者に対する専門的助言の実施
機構が有する知見やネットワークを活用した専門的な助言や、指標に関する全国の先進事例の調査・分析を行う。
▽学校教育関係職員を対象とした研修に関する指導助言および援助の実施
教育委員会等においてより充実した教職員に対する研修等が実施できるよう、研修に関する指導助言を行うほか、教職員における研修機会の確保のため、インターネットを使った研修コンテンツの配信を行う。
▽学校教育関係職員が職務を行うに当たり必要な資質に関する調査研究およびその成果の普及の実施機構が主体となり、大学や教育委員会等と連携し、養成・採用・研修の改善に資する専門的・実践的な調査研究を行う
▽免許法認定講習の認定に関する事務の実施
▽教員資格認定試験の実施に関する事務の実施
教員資格認定試験の実施に関する事務について、試験問題作成および試験実施に関する事務を行う。
▽次世代型教師研修開発センター(仮称)の設置
大学や企業等と協働・連携して調査研究を行い、その成果・調査研究の成果を生かした研修を実践し、そこで得られた新たな知見等を教育委員会等に普及することによって、全国的な研修観の転換を図る。また、国が構築する教員研修プラットフォームを運用し、全国の教育委員会等を支援するとともに、デジタル技術を活用し、教員研修高度化の基盤整備を推進する。
▼独立行政法人教職員支援機構施設整備費補助金(新規)=2億6565万円
独立行政法人教職員支援機構の適切な施設の維持を図り、受講者本位の快適な研修環境の形成のため、計画的な整備を行う必要がある。また、4年度の教育公務員特例法の改正に伴い、新たな教師の学びを支える全国的な研修拠点として一層の機能強化を図るため、新たな研修法・指導法開発の拠点となる新棟の設計等を行う。
▽新棟建設に向けた設計書作成
質の高い研修動画の作成が可能なスタジオのほか、デジタル技術の活用や多様性を尊重した教育を実践できる最先端な研修施設、また、大学や企業等と連携し、恒常的に調査研究や実践研修を行うラボスペースを設置し、新たな研修法・指導法開発の拠点となる新棟建設に向けての設計書作成等を行う。
▽特別研修棟等外壁改修その他工事
本要求建物は、前回の外壁・屋上防水改修歴から21年を経過していることもあり、外壁・屋上防水共に劣化が著しいため、改修工事を行う。
▽特別研修棟等空調設備更新工事
建物に付帯する空調設備について原状機器設置後23年を経過していることから、老朽化による故障および、修理部品等調達困難も踏まえ、空調機器の更新を行う。
▽第1宿泊棟シャワー室増設工事
主に新型コロナウィルス等の感染拡大防止対策および、宿泊施設における入浴施設の利便性向上のためシャワールームを整備するものである。
▼新任校長オンライン集合ハイブリッド研修~学校管理職研修の充実に向けた先導的プログラム形成事業=2040万円
新たに校長職に着任する機会を捉え、「働き方改革」等の課題を切り口とする実践プログラムの実施を通じて、新任校長のマネジメント能力の一層の向上を図る。本事業の趣旨・目的や成果等を全国に展開できるよう、協力教育委員会における実践プログラムの実施のみならず、全国の新任校長(6000人)を対象とする講習動画のライブ配信やオンラインフォーラムを併せて実施する。
全国の新任校長を対象とした講習動画配信を6月に実施、また年度末には新任校長フォーラムとして、その間に実際に研修を行った教育委員会が発表を行い、動画を配信する。
研修受託を希望した教育委員会、文科省や大学関係者等で構成される協議会が提案する研修を実施して、その結果を協議会が取りまとめ、年度末にオンラインフォーラム形式の動画配信で発表する。(教委が受託する研修は6・9・12月の3回を予定)
【GIGAスクール構想の着実な推進と学校DXの加速】
▼教育DX(デジタルトランスフォーメーション)を支える基盤的ツールの整備・活用=10億4779万円
教育DXの推進のため、必要な共通ルールとツールを整備し、データを活用していく観点から①文科省が開発したCBTシステム(MEXCBT=メクビット)の改善・活用推進②文科省WEB調査システム(EduSurvey)の開発・活用促進③教育データの利活用の推進―の3点に集中的に取り組む。
▽文科省CBTシステム(MEXCBT)の改善・活用推進=7億3772万円
MEXCBTについてさらなる機能開発・拡充、利便性向上によって、全国学力・学習状況調査、地方自治体独自の学力調査のCBT化における活用、高等教育やリカレント教育等での活用を促進する。
▽文科省ウェブ調査システム(EduSurvey)の開発・活用促進=8243万円
文科省から教委や学校等を対象とした業務調査において、集計の迅速化、教委等の負担軽減にも資するシステムを開発し、調査の実施および可視化の促進を行う。
▽教育データの利活用の推進=2億2763万円
教育データの利活用を推進し新たな知見を創出するため、データ標準化の推進や活用促進のための仕組み構築、教育データの分析、教育データ利活用に当たり留意すべき点の整理、ウェブ上の学習コンテンツの充実等を行う。
▼教育データを活用した分析・研究の推進等=1億2295万円
▽公教育データ・プラットフォームの構築=5995万円
国の教育分野の調査データや研究成果等を集約する公教育データ・プラットフォーム(試行版)の運用保守
▽教育データを活用した分析・研究の推進(新規)=6300万円
・教育分野のデータ駆動型分析・研究の推進
国内研究機関の若手研究者によるアクションリサーチチーム(仮称)を立ち上げ、データ駆動型分析・研究を戦略的に推進。国の推進戦略のもと、モデルケースとなり得る先駆的な研究(公募型)を実施。
・教委のデータ活用力向上のための研修プログラムの開発・実施
【生涯を通じた障がい者の学びの推進、特異な才能のある児童生徒への支援】
▼学校卒業後における障がい者の学びの支援推進事業=1億4218万円
学校卒業後の障がい者の社会参加・活躍を推進するため、都道府県を中心とした地域コンソーシアムを全国各ブロックで形成し、持続可能な生涯学習支援体制を構築するとともに、市区町村と民間団体の連携による生涯学習プログラムの開発・実施に取り組む。
また、大学・専門学校等における多様な学びの場の拡充に取り組むとともに、これらの取組が加速的に拡充するための方策を検討する。さらに、自治体に向けての取組として自治体の主体的な取組の促進と人材育成のためにアドバイザーの派遣を実施するほか、様々な取組の成果を都道府県内や全国に普及するためのコンファレンス、障がい理解啓発フォーラム等の実施や障がい者それぞれの障がい特性やニーズを踏まえた学びの充実に向けた調査研究を実施する。
▽地域における持続可能な学びの支援に関する実践研究=1億1650万円
・地域コンソーシアムによる障がい者の生涯学習支援体制の構築(体制整備と人材育成等)
都道府県(指定都市)が中心となり、大学や特別支援学校、社会福祉法人、地元企業等が参画する障がい者の生涯学習のための「地域コンソーシアム」を形成し、支援体制を構築する(10ヵ所)。学びの場の拡大に向けて、市区町村職員向けの人材育成研修モデルを開発・実証する。
・地域連携による障がい者の生涯学習機会の拡大促進(学習プログラム開発)
障がい者の生涯学習のノウハウが乏しい市区町村が実績のある民間団体等と組織的に連携し、主に公民館等の社会教育施設を活用した生涯学習プログラムを開発・実施する(30ヵ所)。障がい当事者のニーズや地域資源等を踏まえ、ICT等の活用や様々な体験活動を含む効果的な学習内容となるように留意する。
・大学・専門学校等における生涯学習機会創出・運営体制のモデル構築(高等教育機関におけるモデル構築)
大学入学者選抜等によって進学が困難な障がい者(特に知的障がい者)が、特別支援学校高等部を卒業した後も学び続けることができる生涯学習プログラムを大学・専門学校等が開発・実施する(6ヵ所)
▽生涯学習を通じた共生社会の実現に関する調査研究=333万円
障がい者が生涯学習活動に参加する際の阻害要因・促進要因を発達段階や障害種に応じて把握する調査等を実施し、障がい者の生涯学習の実態や普及状況を把握する。また、事業全体の成果指標やロジックモデルに基づき、事業成果のアウトカムを適切に補足する調査として実施する。
▽自治体の主体的な取組の促進と人材育成に向けた普及・啓発=2235万円
障がい者の学びの支援に向けた新規事業の立ち上げや効果的な事業促進に関する相談支援体制の強化のために、都道府県や市区町村、民間団体等を対象にアドバイザー派遣を実施する。
アドバイザーは、団体間のネットワーク構築のための具体的な助言や技術的支援を行うとともに、取組の横展開に向けた体制構築等を支援する。アドバイザーを担う人材は、これまで先進的な取組に携わってきたコーディネーターや大学教員等を想定する。
このほか、施策の促進に向けて、各事業の計画等に助言を行う有識者を含めた連絡会議を設置し、ネットワーク化を促進する。事業によって開発された「生涯学習プログラム」の成果普及や実践交流等を行うため、コンファレンス(実践交流会)を実施する。障がいの理解促進や共生社会実現に向けて、障がい当事者等の参画を得て「障がい理解啓発フォーラム」を行う。
【外国人の受け入れ拡大に対応し、共生社会の実現を図るための日本語教育・外国人児童生徒等への教育等の充実】
▼外国人児童生徒等への教育の充実=12億5868万円
▽帰国・外国人児童生徒教育等に係る研究協議会等=70万円
帰国・外国人児童生徒等教育や国際理解教育の充実に資するため、都道府県・指定都市教育委員会の担当指導主事等を対象に、必要な施策やその実施に当たっての諸課題、地域における取組等について研究協議、実践交流、情報交換等を行う。
▽帰国・外国人児童生徒等教育の推進支援事業=11億8664万円
・帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細かな支援事業=10億4737万円
帰国・外国人児童生徒等の受け入れから卒業後の進路までの一貫した指導・支援体制を構築し、就学促進を図るためにも、外国人児童生徒等の公立学校への受入促進、日本語と教科の統合指導や生活指導等を含めた総合的・多面的な指導の充実、指導・支援体制の整備、多言語翻訳システムや遠隔指導等ICTの活用の促進、外国人高校生等に対するキャリア教育をはじめとした支援の充実など、自治体の外国人児童生徒等の教育の充実に係る取組に対して支援する。
・外国人の子どもの就学促進事業=1億3927万円
生活・家庭環境、国籍・言語など多様な背景・事情によって、就学に課題を抱える外国人の子どもの就学を促進するため、自治体が行う就学状況の把握、就学ガイダンスや学校外での就学につなげるための日本語指導等に係る自治体の取組に対して支援する。
▽日本語指導が必要な児童生徒等の教育支援基盤整備事業=3054万円
自治体等への指導・助言等を行うアドバイザリーボードの設置運営や、外国人児童生徒等向けの学習教材・文書作成などに利用されるポータルサイト「かすたねっと」の整備、就学状況や学校での日本語指導に係る実態把握のための継続的な調査実施など、外国人児童生徒等教育に関する支援基盤を構築する。
▽児童生徒の日本語能力把握の充実に向けた調査研究(新規)=4078万円
外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメント~DLA」を踏まえた能力記述文(Can―Do)を作成し、検証を行うとともに、学校が日本語指導の目標や指導内容決定する際に、能力記述文を用いた児童生徒の日本語能力の評価結果を活用できるように、学校における活用方法を具体的に示した資料を作成する。
また、散在地域において、日本語指導の対象となる児童生徒の把握が適切に行われるために、教育委員会と関係機関が連携したネットワークを構築し、学校において日本語能力を含めた児童生徒等の実態把握ができる体制整備に関する研究を実施する。
【海外で学ぶ日本人児童生徒の教育機会の充実】
▼在外教育施設の機能強化(教師派遣、プログラム支援等)=175億6322万円
▽在外教育施設の教育環境の改善
国内と同等の学びの環境を整備するため、派遣教師の計画的な配置を実現し、少人数によるきめ細かな指導体制の整備、免許外指導の縮小、特別支援教育や日本語指導の充実を図る。(在外教育施設派遣教師1341人→1363人)
▽「選ばれる在外教育施設づくり」に向けた多様性・特色化支援
多様なニーズを包摂する各学校の教育支援の充実を図るための優れた教育プログラムの開発支援や、在外教育施設の教育や運営に対して指導助言等を行う在外教育アドバイザーの設置など、在外ならではの特色化・多様化を推進するための支援の充実を図る。
【コミュニティ・スクールと地域学校協働活動との一体的推進等による地域や家庭の教育力の向上や体験活動の充実、学校安全体制の整備の推進】
▼学校を核とした地域力強化プラン=109億3689万円
学校を核とした地域住民等の参画や地域の特色を生かした多様な教育活動の実施を支援することによって、地域全体で未来を担う子どもたちの成長を支えていく社会の実現を目指す。
▽地域と学校の連携・協働体制構築事業=102億7171万円
「社会に開かれた教育課程」の実現に向けた基盤となる体制を構築するために、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動を一体的に推進するとともに、地域における学習支援や体験活動等の取組を支援する。
地域学校協働活動を推進するため、活動の総合化、ネットワーク化を進め、組織的で安定的に継続できる「地域学校協働本部」の整備を推進するほか、コミュニティ・スクールの導入に向けた取組を支援する。
これらの活動を通じ、各地方自治体において、地域と学校の連携・協働を進めることで地域社会全体の教育力の向上および地域の活性化を図る。
▽地域における家庭教育支援基盤構築事業=1億2477万円
家庭教育支援チームの組織化による保護者への学習機会の提供や相談対応の実施に加え、児童虐待や不登校などの課題に対応するための支援員等に対する研修の強化、保護者に寄り添うアウトリーチ型支援の実施などを通じて、地域における家庭教育支援の取組を後押しする。
▼家庭教育支援推進事業=3864万円
社会の変化に応じた家庭教育支援に向けた調査検討を行うとともに、各地域における実践事例等を全国へ普及啓発し、地域の実情に応じた効果的な家庭教育支援の取組を推進する。
▽家庭教育支援推進のための検討委員会等の開催=205万円
社会の変化に応じた家庭教育支援を効果的に行うため、有識者等で構成される委員会を設置し、支援策の検討を行う。
▽家庭教育支援推進のための調査研究の実施=3391万円
効果的な家庭教育支援を推進するため①家庭教育に関する保護者の状況やニーズを把握するための、所得や雇用形態等の家庭の属性を踏まえた実態調査②全国の家庭教育支援チームのノウハウを集約・データ化し、利活用できる家庭教育支援システムの自治体における実証研究③自治体や家庭教育支援チームと家庭教育支援に資する取組を行っている民間団体との連携についてマニュアル作成等に関する調査研究―の3点を行う。
▽全国家庭教育支援研究協議会の開催=268万円
家庭教育支援に関する効果的な方策を全国に普及啓発するため、子どもの基本的な生活習慣の確立や生活リズムの向上を含めた家庭教育支援に係る優良事例の紹介や効果的な連携方策の共有を行うとともに、行政や地域における家庭教育支援関係者等による協議の場を設定する。
▼体験活動等を通じた青少年自立支援プロジェクト=2億2480万円
青少年のリアルな体験活動の機会の充実を図るため、体験活動に関する普及啓発や調査研究、民間企業が実施する優れた取組に対しての顕彰事業の実施、自然体験活動のモデル事業を実施するとともに、地域や企業と教育機関の連携促進のための体制構築を図ることで、社会全体で体験活動を通じた青少年の自立支援を一層促進する。
▽全国的なリアル体験活動の普及啓発=333万円
家庭や企業、社会教育団体、青少年教育指導者等が体験活動への理解を深めていくためのフォーラムなど、体験活動等を定着させるための普及啓発事業を実施する。
▽青少年の体験活動の推進に関する調査研究=641万円
青少年の体験活動がもたらす影響について明らかにするため、多様な体験活動の在り方について、事例の収集や効果の検証を行う。
▽子どもたちの心身の健全な発達のための自然体験活動推進事業=5374万円
安全・安心にリアルな体験活動を行うためのコロナ禍における長期(4泊5日程度)の自然体験活動等のモデル事業を行う。
▽青少年の体験活動推進企業表彰=418万円
社会貢献活動の一環として青少年を対象に優れた実践を行う企業を表彰し、その取組を全国的に広く紹介する。
▽企業等と連携した体験活動推進体制構築事業(新規)=1億5217万円
子どもたちのリアルな体験の機会充実のため、デジタル化やコロナ対応を踏まえながら、体験活動の推進に取り組む地域や企業と教育機関の連携促進のための体制構築を図る。
▽事業企画評価委員会の開催=495万円
▼読書活動総合推進事業=4669万円
▽図書館・学校図書館等を活用した読書活動の推進=737万円
新しい生活様式や子ども読書推進計画等に対応した読書活動や新学習指導要領を踏まえた学校図書館の機能強化や活性化に向けた、新たな読書活動のモデルなどを構築するため、読書活動推進モデル事業を実施する。
・次期子ども読書推進計画を踏まえた、紙とデジタルの特性を生かした読書活動の先導的な取組や、発達段階や多様なニーズに対応した効果的な取組を行う。
・新学習指導要領を踏まえた学校図書館を活用した授業を進めるため、新しいトピックに関連する書籍(感染症、SDGsなど)、新聞、優良図書および授業に必要な基本図書の整備状況などを再点検し、計画的な図書の更新を定めた図書整備計画の策定やコミュニティ・スクールおよび地域の図書館・ボランティア等との連携した図書館資料を活用したモデル授業の実施など学校図書館図書の購入促進に向けた取組を行う。
▽司書教諭講習の実施=2143万円
学校図書館法に基づき、学校図書館の専門的職務を掌る「学校司書教諭」の養成のため、47機関(大学ならびに教育委員会)に委託して講習会を実施する。また、講習会に参加する受講者のうち、聴覚障がい等配慮が必要な受講者が一定数いる実態も踏まえ、そのために必要な経費も計上する。
▽「子ども読書の日」の理解推進=491万円
国民の間に広く子どもの読書活動について関心と理解を深め、子どもの読書活動を推進することを目的に、「子ども読書の日」(4月23日)を広く周知するとともに、特色ある優れた取組を行っている民間団体等を表彰する。
▽読書活動の推進等に関する調査研究=1297万円
・次期子ども読書推進計画を踏まえ、子どもの読書活動の実態把握など今後の施策の基礎資料を得るための調査分析を行う
・図書館資料のメール送信サービスが可能となる著作権法改正への対応等の図書館におけるデジタル化やDXを推進するため、図書館における実務的な課題やその対応方策を策定するための実証的な調査研究を行う
▼社会教育デジタル活用等推進事業(新規)=1億5184万円
地域コミュニティ機能の維持・強化のためには、その拠点となる公民館・図書館等の社会教育施設のデジタル活用を促進する必要がある。このため、デジタル化を進めるに当たって各地方公共団体が抱える技術面・情報面・人材面等の課題について伴走支援を行い、デジタル活用が遅れている地域で取組を推進することで、誰一人取り残されないデジタル社会の実現を図る。
また、先導的なモデル事例の創出・効果検証を行い、社会教育分野におけるデジタル技術の新たな活用やDXを推進する。加えて、民間の資金と創意工夫を最大限活用することで、公民館・図書館等社会教育施設の新たなデジタル活用モデルが形成され、デジタル田園都市国家構想の推進力となることから、PPP/PFIの活用を促進し、検討段階にある地方公共団体に対する伴走支援を行い、デジタル田園都市国家構想を推進する。
▽社会教育施設(公民館・図書館)DX推進・PFI活用アドバイザー事業
・アドバイザー
社会教育施設(公民館・図書館)におけるデジタル環境整備の加速とその効果的な活用を一層促進するため、各地域をカバーした支援体制を構築し、教育委員会等からの相談への対応、アドバイザー(DXの専門家)派遣、情報交換プラットフォーム(ウェブサイト)の開設等による伴走支援を行う。
・新たなPPP/PFI案件形成支援
社会教育施設(公民館・図書館)におけるPPP/PFIの活用等を一層促進するため、PPP/PFIに関する専門的知識・ノウハウを有する専門家派遣等による伴走支援を行う。
▽社会教育施設(公民館・図書館)DX実証事業
社会教育分野におけるデジタル技術の新たな活用やDXを推進するため、デジタルを活用した先導的なモデル事例の創出・効果検証(例①民間事業者や大学等との連携による新たなデジタル活用、②自治体間の学習デジタルコンテンツのプラットフォーム化③教育ビックデータ(学習履歴等)の効果的な活用④GIGAスクール構想1人1台端末との連携など)を行う。
▼学校安全推進事業=3億4298万円
教職員や児童生徒の防犯、交通安全、防災に関する意識の向上を図り、児童生徒自身に安全に身を守るための能力を身に付けさせる安全教育の充実や、児童生徒の生活の場である学校の安全管理体制の充実など、地域全体での学校安全の取組を推進する。
▽学校安全教室の推進=3517万円
・指導者養成事業
学校における学校安全教室(防犯教室、防災教室及び交通安全教室)の講師となる教職員等に対する講習会や、教職員等向けの事件事故発生時の初期対応能力等向上のための講習会(現代的課題へ対応するための教職員等の研修・訓練、事故対応に関する講習会、AEDの取り扱いを含む心肺蘇生法実技講習会)の実施を支援する。(47地域)
・リーフレット作成
小学校新1年生向け学校安全教室用リーフレットを作成・配布する。
▽学校安全総合支援事業=2億4146万円
・学校安全推進体制の構築
「第3次学校安全の推進に関する計画」の策定を受け、幼稚園や保育所等との連携の充実や、地域と連携した安全教育の展開など、学校種・地域の特性に応じた地域全体での学校安全推進体制の構築を図るため、セーフティプロモーションスクール等の先進事例を参考とするなどして、学校安全の組織的取組と外部専門家の活用を進めるとともに、各自治体内での国立・私立を含む学校間の連携を促進する取組を支援する。(47地域)
また、教育委員会や学校関係者を対象とした周知啓発のためのイベントの開催や学校安全推進体制が十分でない自治体や学校へ指導助言を行うアドバイザーの派遣等を行う。
通学時等を含めた学校安全について、地域ごとの環境等の違いを踏まえた効果的な対策等を検討する。
▽安全教育の推進に関する調査研究=6634万円
・学校管理下における事故防止に関する調査研究
学校の安全点検に関して点検項目に基づいた点検を抽出校で実施するなど、その効果や課題について実証・検討する。
・安全教育の質向上に向けた調査研究
実践的な防災教育や避難訓練を実施する際に活用できる「防災教育の手引き(中学校・高校版)」等を開発する。
・学校安全の推進に関する計画に係る調査研究
効率的・効果的な施策の立案に資するため、学校安全計画に係る取組状況調査結果を分析する。
▼地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業=3億3750万円
学校、通学路の安全確保に向け、昨今の児童生徒の尊い命を奪う交通事故・事件の発生も踏まえ、スクールガード・リーダー等の増員による見守りの充実や、スクールガード等のボランティアの養成・資質向上を促進することによって、警察や保護者、PTA等との連携のもとで見守り体制の一層の強化を図る。
▽スクールガード・リーダーの育成支援
スクールガード・リーダーの資質を備えた人材(警察官OB・教職員OB・防犯協会役員等)に対する育成講習会を実施する。
▽スクールガード・リーダーに対する活動支援
スクールガード・リーダーによる指導、見守り活動に対する謝金、各学校を定期的に巡回するための旅費等を補助する。学校等の巡回活動等を円滑にするためにスクールガード・リーダーの連絡会等の開催を支援、装備品の充実を図る。
▽スクールガード(ボランティア)の養成・資質向上
通学路で子どもたちを見守るスクールガードの防犯に対する知識、非常時の対応策等を身に付けさせるための養成講習会を実施する。活動の参考となる資料を配布することによる見守りの質の向上を図る。
▽スクールガード増員による見守りの強化及び活動に対する支援
スクールガード等を募集するための広報紙等の作成費用を補助する。「登下校防犯プラン」等に基づく、登下校時のパトロールや地域の連携の場構築など防犯活動への支援を行う。子どもの見守り活動に係る帽子や腕章などの消耗品費、ボランティア保険料を補助する。
【リカレント教育等社会人が学び直す機会の拡充】
▼専門職業人材の最新技能アップデートのための専修学校リカレント教育推進事業(新規)=4億391万円
専修学校と企業・業界団体等が連携体制を構築し、各職業分野において受講者の知識・スキルを最新のものにアップデートできるリカレント教育のコンテンツを作成するとともに、企業・団体のニーズに応じたカスタマイズや受講しやすい環境構築等によって、多くの企業が必要とするリカレント教育を提供することに加え、企業や業界団体を通じて情報提供を行い、各企業や団体からの紹介によって専修学校のリカレント教育講座等が安定的・持続的に受講者を確保できる体制を構築し、その成果の普及を図る。
▽専門職業人材の最新知識・技能アップデートプログラムの開発(16ヵ所)=3億7083万円
各職業分野において、専修学校と企業・業界団体等との連携によって、最新の知識・技能を習得することができるリカレント教育プログラムを作成する。作成したプログラムについて業界団体等を通じて情報提供を行い、各企業や団体から専修学校でのリカレント教育講座等が安定的・持続的に活用されるよう体制を構築する。これらの取組をモデルとし、その効果の検証・成果について普及・展開を図る。
▽分野横断連絡調整会議の実施(1ヵ所)=2843万円
上記プログラム開発の進捗管理および連絡調整を実施するとともに、各プログラムにおいて開発・実証・研究された成果に横串を刺し、それらを体系的にまとめることによって、専修学校によるリカレント教育の推進方策を検討する。
▼地域ニーズに応える産学官連携を通じたリカレント教育プラットフォーム構築支援事業(新規)=2億9604万円
大学コンソーシアムや自治体等において①地域に分散している人材ニーズの調査・把握②教育コンテンツの集約③それらのマッチング④広報・周知等を産業界のニーズを踏まえながら効果的・効率的に実施する体制を整備できるよう、産官学金の対話の場(リカレント教育プラットフォーム)の構築や、コーディネーターの配置等に必要な経費を措置し、地域ニーズに応える人材の継続的な輩出に向けた仕組みの定着化を図る。
(国 2022-10-14付)
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