こども家庭庁準備室が全国事例公表 子ども関係部局の連携へ 規模別に組織体制工夫例示す(国 2022-10-18付)
こども家庭庁設立準備室は、地方自治体における子ども政策に関する部局間の連携の在り方について取組事例を収集し、9月30日に公表した。全国221自治体の先進事例から「こどもまんなか」行政に向けた関係部局の連携や、子ども政策に関する相談体制の工夫、地域総がかりのいじめ防止対策に向けた首長部局の取組、子ども政策におけるNPO等との連携などについて主な取組を紹介。全国の自治体への波及をねらっている。
子ども政策の具体的な事務は地方自治体が担っている。このため、こども家庭庁が「こどもまんなか」行政を推進するに当たり、地方自治体における子ども政策に関する部局間の連携の在り方について取組事例を収集・把握し、体制の検討に資するよう情報提供を行うため調査を実施した。
対象は47都道府県、20指定都市、62中核市、東京都23区および70市町村。市町村は人口規模別に抽出した。4月15日から5月末まで調査し、222自治体のうち221自治体から回答を得た。併せて取組についてのヒアリングも行った。
各自治体の事例は①小学校就学前の教育・保育の担当部署の集約など「こどもまんなか」行政に向けた組織体制の工夫②子ども政策のワンストップ窓口の設置など、子ども政策に関する相談体制の工夫③地域総がかりのいじめ防止対策に向けた首長部局の取組④子ども政策におけるNPO等との連携―の4項目に分類し具体的に紹介している。
主なものをみると、東京都では政策全般を子ども目線で捉え直し総合的に政策を推進するため、局相当の「子供政策連携室」を設置。企画立案や連携体制の構築などを図り、行政の枠組みにとらわれない幅広い視点で事業を展開している。
また既存の枠組みでは対応が難しいテーマごとに、関係局からなるチーム(ヤングケアラー、日本語を母語としない子ども、子ども目線によるセーフティ・レビュー、子どもの笑顔につながる「遊び」の推進等)を組成し組織横断的な取組を実践している。
岐阜県岐阜市では、20歳前までの子ども・若者と保護者などの悩みや不安にワンストップで支援するため、平成26年度首長部局に「岐阜市子ども・若者総合支援センター“エールぎふ”」を設立。
令和4年度から、児童虐待等への迅速な連携を図るため、県警と県の児童相談所分室が“エールぎふ”内に入居する「こどもサポート総合センター」を開設。臨床心理士、社会福祉士、保健師、教員、保育士、SSW(教員OB)等120人の職員で運営。
このほか、専門アドバイザーとして児童精神科医、小児科医・弁護士・カウンセラーを配置。SSWや専門アドバイザーがいることで、学校をはじめとする関係機関との連携において、円滑に業務を進めている。
また、所属機関や病院、警察等から、心配な子どもの情報が“エールぎふ”に集約されることで、様々な支援に接続。具体的な支援や専門機関への取り次ぎまで完結した対応が可能となっている。
大阪府寝屋川市では、首長部局に「監察課」を創設し、ケースワーカーの経験や弁護士資格を有する職員を配置。同課にいじめ相談窓口を設け、毎月1回小・中学校に通う全児童生徒に対し、同課へのいじめ通報を促進するためのチラシを配布。首長部局が主体的にいじめの通報を受け、速やかに対応をつなげ、いじめの深刻化を防止している。
同課のいじめ対応件数は3年度183件、2年度169件、元年度172件。認知したいじめ全件について1ヵ月以内にいじめ行為を停止させ、全件でいじめの終結を確認している。
こども家庭庁では、今後も自治体との定期的な意見交換の機会等を活用し、創意工夫を行っている自治体の事例を収集。得られた子ども政策に係る取組事例を積極的に全国に共有し、地域の実情に即した子ども政策に取り組む流れを加速し横展開を図る考えだ。
(国 2022-10-18付)
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