社会担う生徒育成を 道技術・家庭科教育研究十勝大会(関係団体 2022-10-26付)
全大会には約120人が出席した
【帯広発】第74回道地区技術・家庭科教育研究大会十勝大会が13日から2日間、帯広市内のとかちプラザなどで開かれた。研究主題は「社会に“いきる”技術・家庭科教育~主体的に生活を創造する生徒の育成」。全道から約120人が参加し、管内4校での授業公開や全体会・分科会などを通して研鑚を積んだ。
大会初日はとかちプラザを会場に、理事会と総会研修会を実施。2日目は幕別町立札内中学校、帯広市立西陵中学校、音更町立音更中学校、士幌町立士幌町中央中学校の4校で授業公開を行い、とかちプラザに会場を移して全体会を開いた。
うち全体会の開会に当たり、道技術・家庭科教育研究会の丹羽俊会長は、技術・家庭科教育において「“社会”と“創造”という言葉は重要なキーワード」とし、これからの社会を担う生徒の育成を目指した教育の改善・充実を呼びかけた。
佐藤育子十勝大会運営委員長は「新学習指導要領に基づく学習指導の在り方に関して交流を深めたい」という一心で3年ぶりに集合形式の大会開催に踏み切ったことを明かした。コロナ禍における研修および研究の苦難を振り返り「今求められる技術・家庭科の授業を学び合う機会になれば」と伝えた。
全日本中学校技術・家庭科研究会の杉浦伸一会長は、「研究成果を全国に普及するとともに、技術・家庭科の学習環境の充実に向けて、国への要望を続けていきたい」と強調。同大会においては、学びに向かう参加者の姿勢から、7年度に札幌市で開かれる全国大会に期待を寄せた。
続いて、道技術・家庭科教育研究会十勝支部の上野嗣弥研究部長(技術)、池田志保研究部長(家庭)による全体提言のあと、内容別分科会を実施。文部科学省初等中等教育局教科調査官、国立教育政策研究所教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官の渡邊茂一氏、熊谷有紀子氏が指導および講評した。
◆理想のSNSを探究 帯広西陵中 情報の技術
14日の授業公開では、管内4会場で技術科、家庭科の4授業を公開した。うち帯広市立西陵中学校(福田茂校長)では、技術分野「D 情報の技術」において「理想のSNSを開発しよう」(眞鍋巽教諭、2年2組34人)を実施。問題解決の道筋を明確にする思考ツールを活用し、生活や社会をより良くする技術の探究学習を展開した。
SNSは、これからの社会を生きる生徒たちにとって身近な題材であり、生きた学びにつながると考え組み込んだ。問題解決能力や論理的思考力の育成を重視し、生徒自身が「どのような力が身に付いたか」を実感できる授業づくりを目指している。
同校技術科では、既習事項や技術等を働かせ、生活や社会の問題解決に取り組む学習活動を「TanQ Learning」と称し実施。同一様式のワークシートを活用し、学習の見通しを明確化して試行錯誤を繰り返しながら、仲間との協働の中で問題解決能力等の育成を図っている。
前時までに、安全・適切なプログラムの制作等ができるよう情報通信ネットワークの構成などを学び、探究課題を設定したあと、教育用のプログラミングツール・スモウルビーの中でSNSの制作に取り組んできた。10時間扱いの8時間目となる本時の課題は「最適なプログラムを目指して、自らのTanQ課題を再検討しよう」と設定した。
眞鍋教諭は生徒たちに、理想のSNSまでの達成度を発問した。生徒たちは達成度をパーセンテージで表し、安全性や機能面など、自身の制作物に不足している部分を把握。ワークシートに記載し、今後取り組むべき課題や改善点を明確化した。
再設定した課題を達成するため、生徒たちはスモウルビーを用いてプログラミングに取り組んだ。パスワードを設定して安全性を高めたり、いち早くメッセージの受信に気付けるよう着信音を設定したりするなど、各自が考える理想のSNSに向けて作業を進めた。画面内のパーツを組み合わせてプログラミングを行うため、組み合わせに試行錯誤する場面も見られたが、生徒たちは端末を寄せて教え合い、相手の制作物の良い部分を吸収し合うなど、協働的に活動した。
最後に、課題の再設定による変化をワークシートに記載し、これまでの作業を振り返った。
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教職員35人が授業を参観
(関係団体 2022-10-26付)
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