900人参加し全体協議や分科会 時代切り拓く日本人を 課題解決へ具体的方策協議(関係団体 2022-10-24付)
第73回全日本中学校長会研究協議会北海道(札幌)大会が19日から3日間、ホテルライフォート札幌を主会場にオンラインで開催された。道内での開催は、平成26年の苫小牧大会以来、8年ぶり。大会主題「新たな時代を切り拓き、よりよい社会を形成していく日本人を育てる中学校教育」のもと、全国の中学校長約900人が参加。全体協議会や8分科会などを通して、課題解決に向けた具体的方策を協議した。20日午前に開かれた開会式では、全日中の平井邦明会長があいさつに立ち「わが国の中学校教育のさらなる発展・充実につながるものと信じている」と述べた。
大会主題は、令和元年度の群馬大会、2年度の和歌山大会、3年度の静岡大会に引き続き、「新たな時代を切り拓き、よりよい社会を形成していく日本人を育てる中学校教育」。大会スローガンに「イランカラプテ 北の大地から 新たな学びを紡ぎ その先へ」を掲げた。
20日の開会式では、平井会長が登壇。静岡大会に続いてオンライン開催でありながら「“校長の学びを止めない”という信念のもと、大会が確実に実施できたことは大変意義深い」と述べ、道中学校長会、札幌市中学校長会の開催に向けた尽力に敬意を表した。
新型コロナウイルス感染症が長引く中においても、各校の感染予防対策を徹底した上での教育活動推進をねぎらう一方で、新学習指導要領に示された「個に応じた指導の充実」「個別最適な学びと協働的な学びの実現」に向けて「管理職によるリーダーシップの発揮が一層求められる」と強調。教員免許更新制度廃止に伴う新たな研修システムへの対応、部活動の地域移行など、新たな課題に的確に対応する必要性を訴え「大会の成果が今後の学校経営に確実に結び付くとともに、わが国の中学校教育のさらなる発展・充実につながるものと信じている」と述べた。
大会実行委員長を務める道中学校長会の野﨑均会長は、各分科会での議論を通して“チームとしての学校”の実現や教職員の資質・能力の向上、指導体制の整備・充実、働き方改革実現に向けた一層の連携・協働に期待を示した。その上で「本大会が、わが国の中学校教育の充実と発展に少しでもつながることができたら、これほどうれしいことはない」と述べ、会員の英知と総意の結集に期待を寄せた。
来賓祝辞では、文部科学省の安彦広斉大臣官房審議官(初等中等教育局担当)が永岡桂子大臣の祝辞を代読したほか、道教委の倉本博史教育長、札幌市教委の檜田英樹教育長らが登壇。
安彦審議官は、感染症対策を徹底しながらの教育活動実施に謝意を示した。新学習指導要領の全面実施に伴い、創意工夫に富んだ教育実践が展開される一方で、子どもたちの多様化やデジタル化の加速度的な進展など教育現場を取り巻く環境が日々、大きく変化していることを強調。令和の日本型学校教育を実現するため「個別最適な学びと、協働的な学びとの一体的な充実に向けた取組を引き続き進めていくことが重要」と訴えた。
中教審において、子どもたちに必要な資質・能力、学校が果たすべき役割、1人1台端末等の活用を含めた多様で柔軟な学びの具体化、これからの高校教育の在り方などについて検討を進めていくことに言及し「引き続き、全日中をはじめ関係者と連携しながら、中学校教育の一層の充実に向けて必要な取組を進めていきたい」と述べた。
倉本教育長は「研究協議会の成果を自校の活性化はもとより、各地域の子どもたちの健やかな成長に生かしていただきたい」、檜田教育長は「市が進める人間尊重教育を基盤とした教育施策の充実・発展に、様々な示唆を与えていただけると期待する」と述べた。
このあと、安彦審議官が新型コロナウイルス感染症対応や、学習指導要領および中教審答申、GIGAスクール構想の推進、教職員の資質・能力向上、働き方改革、部活動の地域移行、いじめ・不登校対応、ヤングケアラーなどに関して説明したほか、全体協議会を実施。全日中の福沢俊之教育研究部長が「学校からの教育改革~近年の調査研究報告書から読み取れる教育課題とその解決に向けて」、石川県小松市立安宅中学校の為川学校長と同丸内中学校の廣瀬真樹校長が「伝統文化教育を活かした人材育成~歌舞伎“勧進帳”上演を通して」と題してそれぞれ提案した。
午後からは、8分科会で研究協議。北海道地区では「学校と地域の連携・協働による“チーム学校”の実現」をテーマに、岩見沢市立栗沢中学校の伊藤聰校長が「人づくり・まちづくりの一体的な取組を通して」、壮瞥町立壮瞥中学校の松岡賢晃校長が「地域の特色を強みに変える“チーム学校”の取組を通して」と題して提言発表した。
最終日の21日には、アイヌ伝統文化の継承と現代アートの融合を目的に結成された「アイヌ・アート・プロジェクト」が、アトラクションとしてアイヌ民謡・舞踏を披露。信州大学の山口真由特任教授が「日本に突き付けられる新たなる規範~ポリティカル・コレクトネス」と題して記念講演した。=講演、北海道地区の分科会提言は後日掲載=
社会生き抜く力など7項目
全日中研大会宣言・決議
第73回全日本中学校長会研究協議会北海道(札幌)大会における大会宣言および決議はつぎのとおり。
【宣言】
今日、わが国の教育は人格の完成を目指し、伝統と文化を尊重するとともに、豊かな人間関係で満たされる社会を創るたくましい日本人を育成する使命を担っている。
全日本中学校長会は、自然災害や新たな感染症の発生、グローバル化の進展や急速な技術革新など社会状況が変化する中、新しい時代の中学校教育の課題に対応し、教育基本法をはじめとする教育関連法規や学習指導要領の趣旨を踏まえ、「新たな時代を切り拓き、よりよい社会を形成していく日本人を育てる中学校教育」を目指し、国民の負託に応えなければならない。
私たちは、人間尊重の精神に徹し、自らの責任において全日中新教育ビジョンに基づく学校からの教育改革の推進と当面する諸課題の解決に努め、新たな中学校教育を創造していく決意である。
ここに、第73回全日本中学校長会研究協議会北海道(札幌)大会に当たり、「イランカラプテ 北の大地から 新たな学びを紡ぎ その先へ」のスローガンのもと、つぎの事項を決議し、その実現を期する。
【決議】
▼人間尊重の精神に徹し、「社会を生き抜く力」とともに「よりよい社会を形成する力」を育む教育を推進する
▼全日中新教育ビジョンを踏まえ、学習指導要領に基づく特色ある教育課程を編成・実施・評価・改善し、確かな学力の定着、豊かな心と健やかな体の育成を推進する
▼現在の学校教育課題に即した研修を充実し、教職員の資質・能力の向上と使命感の高揚に努める
▼創意ある教育活動を展開し、家庭・地域社会の信頼に応える教育を実現するため、人的措置をはじめ確固とした教育条件の整備・充実を期する
▼「教科書無償給与制度」「義務教育費国庫負担制度」および「人材確保法」の堅持を要請し、教育水準の維持向上を期する
▼学校が担うべき業務の明確化・適正化をはじめ、学校の組織運営体制の見直し、教職員の意識改革等により「学校における働き方改革」を推進し、新しい時代に求められる学校づくりに向けてリーダーシップを発揮する
▼東日本大震災をはじめ近年多発する災害等により被害を受けた地域の復興を期し、教育活動の充実に向けた支援と全国各地区・各学校における防災教育・安全教育の充実に努める
(関係団体 2022-10-24付)
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