【解説】文科省有識者会議の考察(解説 2022-12-15付)
学習面または行動面で困難を示す児童生徒の割合が増加した理由について文部科学省が設置する有識者会議は「通常の学級担任を含む教師や保護者の特別支援教育に関する理解の進行」を挙げる。また、言葉や文字に触れる機会の減少、インターネットやスマートフォンの普及による対面での会話の減少など子どもたちの生活習慣や環境の変化が影響している可能性を指摘する。有識者会議では新型コロナウイルス感染症の影響も議論したが、客観的なデータがないことから増加要因に挙げていない。
前回調査と同様、学年が上がるにつれて学習面や行動面で著しい困難を示す児童生徒の割合は低下する傾向にあるが、小学校第6学年から中学校第1学年にかけて上昇。これには個別の教育支援計画の効果的な引き継ぎが不十分であることや、中学校で通級による指導の設置が進んでおらず参考となる情報が得にくいことが関係している可能性があるという。
高校では第1学年から第3学年にかけて割合はほぼ横ばい。入学者選抜の実施、全日制・定時制・通信制の課程、特色ある学科の設置など生徒に対応できる現状が関係しているとし、小・中学校と切り分けて考える必要性を指摘する。
校内委員会で特別な教育的支援が必要な児童生徒に対する検討がされていない可能性にも触れ、管理職によるリーダーシップのもと、特別支援教育コーディネーターを核として校内の支援体制の構築・充実を図ることが必要としている。
福祉や保健など外部機関との連携状況については、地域によって差はあるものの不十分な状況にあると指摘。学校が情報を把握して教員が相談しやすい体制を整備すること、自治体が地域の実情に応じて連携の在り方を周知することの必要性を示した。
(解説 2022-12-15付)
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