次世代校務DXへ文科省が方向性 教育データ連携・可視化 ダッシュボード機能を実装(国 2023-01-23付)
文部科学省は、GIGAスクール構想の下での校務情報化の最終まとめ素案を20日の専門家会議で示した。次世代の校務DXの方向性を示すもので、校務支援システムをフルクラウド化し、校務系データ・学習系データと連携。児童生徒の日々の生活の記録や学習データを可視化することで学級経営・学習指導の高度化を図る「ダッシュボード」を実装するとした。来年度から一部の自治体でモデルケースの創出に取り組む実証事業を開始し、全国規模でシステムの総入れ替えを目指す。
現在の統合型校務支援システムの多くがネットワーク分離で運用されており「自宅や出張先での校務処理ができない」「行政・福祉系データとの連携が困難」などの課題がある。
このため、次世代の校務支援システムにおいてはフルクラウド化と、教職員用端末と組み合わせるとともに校務系・学習系システムを統合する仕様とし、柔軟な働き方の実現と大規模災害発生時における業務継続性の確保を図る方針。
首長部局と教育委員会が所管するネットワークは分離するが、学齢簿や就学援助などマイナンバーとひも付けた行政系システムのデータ連携も可能とする。
校務支援システムの機能は教務・保健・学籍管理などを中核としつつ、保護者連絡、グループウエア、備品管理、アンケートなどの機能はその他のクラウドツールが担い、必要に応じてデータを連携させる。
教育データの総合的な可視化と学校経営・学習指導の高度化を図るための「ダッシュボード機能」を新たに実装する。さらに、設置校全体を見渡せる教育委員会向けのダッシュボード機能についても検討する方針を示した。
校務支援システムの導入・更改に2年程度の準備期間が必要と想定した場合、早い自治体で7年度から新システムの稼働が見込まれるとしている。
一方、既に共同調達の枠組みがあり合意形成がスムーズに進む場合や小規模の自治体においてはより短い準備期間で済むことも予想される。
文科省の調査によると、自治体における統合型校務支援システムの導入・更新の改訂予定時期は「7年度」が17・5%、「8年度」が17・6%、「9年度」が11・9%、「10年度」が20・9%、「11年度」が19・4%。「導入予定なし」は12・7%だった。
◆キーワード ダッシュボード
クラウド上で様々なデータを自動で分析・収集・加工し、集計値やグラフ等を一覧化する画面のこと。児童生徒の欠席・遅刻の状況、日々の学校生活アンケート、タブレットの利用情報など校務系・学習系データをもとに児童生徒、学級、学校の状況を視覚化することで、よりきめ細かな指導の充実や学校運営に活用できる。
個人・学級単位では一部のシステムで実装されているが、デジタル教科書やデジタル教材、CBTシステムなど学習系データとの連携が可能なシステムは存在しない。
設置校全体のデータを示す教育委員会向けのダッシュボードは英国・米国などで実装されている。
(国 2023-01-23付)
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