デジタル採点システム検証結果 平均作業時間が3割減 AI活用など学校現場から提案(道・道教委 2023-03-27付)
道教委は、解答結果の一覧化や自動集計によって効率的に採点できる「デジタル採点システム」試行導入に係る4年度アンケート調査結果をまとめた。児童生徒1人当たりの平均作業時間は全体で3割程度減少し、使用した教職員の8割が業務負担軽減の効果を実感。事前設定など導入当初に時間を要するものの、操作の習熟に伴い所要時間が縮減される傾向にある。また、AIやRPA(事務系の定型作業を自動化・代行するツール)の活用など学校現場から働き方改革実現に向けたアイデアも多く寄せられた。
道教委は3年度にNEC北海道支社と連携協定を締結し、学校における働き方改革の推進に向けた教員の業務支援ソリューションの実証研究事業を開始。開発中のデジタル採点システムをモデル校の小・中・高15校に試行導入し、業務時間縮減の効果や教員の負担感の軽減効果の実証研究を行っている。
同システムは解答用紙をスキャンして各問題の解答を一覧表示して採点できるもの。自動集計による平均点や正答率の一覧化、成績管理に利用できる。自動採点は記号問題のみ使用が可能。
1回目(4年6~11月実施)と2回目(4年11月~5年3月)に分けて比較・分析した結果、採点作業の負担感が軽減されたと回答した割合は1回目が6割、2回目が8割と上昇。クリップ採点機能(問題ごとに解答を一覧化し、間違いのみを確認できる機能)は2回目の調査で9割が高く評価している。
導入初期に設定やスキャニングなど時間を要するものの操作の習熟によって所要時間が縮減され、児童生徒1人当たりの採点時間は通常採点と比べて1回目で20%、2回目で30%減少した。
利用者からは、得点の自動集計による評価や負担軽減、集計ミスの減少、学級内の理解度把握などの効果が報告された。社会科など問題数が多い教科のテストほど効果があることが分かった。
一方、初期設定や操作習熟に時間を要すること、記述式の採点の困難さなどの課題が指摘された。
働き方改革につなげる新たなソリューションを調査した結果、生徒の出欠確認では「登下校確認用のICチップの導入」「出欠状況の職員端末への自動共有・出席簿への自動入力」など学校現場からのアイデアが寄せられた。
このほか、保護者向け周知文書や教頭業務の定型文書を自動作成するRPAの導入、週休日や学校閉庁日の問い合わせに対応するAIチャットボット導入、観点別評価の評価材料の集約・集計・評価の自動化などが提案された。
道教委とNECは、本調査結果を共有・分析して新たなソリューションの可能性について検討するとしている。
(道・道教委 2023-03-27付)
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