教職員の協力を高める学校づくり〈№111〉 教師と子の関係性向上へ いじめ問題再考⑥(教職員の協力を高める学校づくり 2023-03-28付)
ご存じのように平成28年3月、道教委では、いじめの未然防止に向けた教職員向け資料として「いじめ未然防止モデルプログラム~“モデルプロブラム”を活用した学校独自の未然防止プログラムの作成に向けて」を作成しました。
内容はモデルプログラムの観点として①居場所づくり「すべての児童生徒が安心でき、他者から認められている、自分が必要とされる存在であると感じ、落ち着いて学べる場をつくること、学級や学校を落ち着ける場所にしていくことで、児童生徒のストレスや感情をコントロールする力、自己存在感・自尊感情を高めることを目指す取組」②絆づくり「日々の授業や行事等において、すべての児童生徒が互いの違いを認め合い、支え合い、他者とのかかわり、他者の役に立っていると感じながら、主体的に取り組む共同的な活動を通して、活躍できる機会をつくることで、児童生徒の自己有用感の向上、人間関係を形成する力や社会性の育成を目指す取組」③環境づくり「すべての児童生徒が安心して落ち着いて主体的に学習や生活を送ることができる学習環境、教室・学校環境を整備することで、児童生徒の自己実現を図る自己指導能力の育成、児童生徒が学校生活を営む上で必要な規範意識の向上を目指す取組」―の3つに分類し、いじめの予防に有効な手だても併せて記述しています。
また「いじめ未然防止モデルプログラム」を学校の実態に合わせ、より効果的に活用するためには、年間指導計画に位置付け、学年および学校全体で取り組むことが求められます(いじめ問題再考②に記載)。
さらに「いじめ未然防止モデルプログラム」を参考に教育活動を進めることは、いじめ防止の観点だけではなく、小学校学習指導解説(平成29年告示)の特別活動の目標にあるように、集団の中で人間関係を自主的、実践的により良いものへと形成するという視点である「人間関係形成」、より良い学級・学校生活づくりなど、集団や社会に参画し様々な問題を主体的に解決しようとするという視点での「社会参画」、集団の中で、現在および将来の自己の生活の課題を発見し、より良く改善しようとする「自己実現」を目指すそのものとも言えます。
現学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」による学習展開がなされ、知識注入ではなく、学習の質をどう高め、思考力を育成することが重視されています。
思考力の育成のためには、児童生徒が考えを寄せ合い、互いの意見に触れながら学びを充実させるため、授業推進者である教師はファシリテーターとしての役割が期待され、単に知識を積み重ねるのではなく、コミュニケーションのある授業を積極的に展開しながら、互いの考えを伝え合ったり、協力し合ったりすることが求められています。
そのため学級における人間関係や、教師と児童の信頼関係を高めていくことが重要となり、学習目標そのものの達成を目指しながら人間的な触れ合いを深め、一人ひとりに存在感や自己実現の喜びを味わえる場と機会を与えるなど、「主体的・対話的で深い学び」を適切に推進していくことが学級内の融和的な人間関係を醸成し、いじめの予防ともなります。
(北海道文教大学人間科学部健康栄養学科教授・石垣則昭)
(教職員の協力を高める学校づくり 2023-03-28付)
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