幼保の実態知り授業を 第1回カリキュラム検討会議
(市町村 2023-05-26付)

 この日は引き続き、第1回カリキュラム検討会議を開催した。中では「もっと幼稚園、保育所での活動を知り、子どもが既にできることは省略するなど授業に生かしていきたい」といった声が多数上がった。

 はじめに川上教育長が全体説明を行い「例えば高校で何か問題が起きた場合、中学校、小学校、幼稚園での状況を踏まえていれば、より良い対応ができる」「架け橋期のプログラムを作るが、今後、自然な形で幼・小・中・高がつながり、気軽に話し合えるようになれば」と期待した。

 続いて、えりも小学校の佐藤裕哉校長がこれまでの実践を説明。「スタートカリキュラムは4年12月から検討を開始した。“1年生の担任の虎の巻”をコンセプトにプロジェクトチームで作成し5月15日に検証した」「今後、より一層幼稚園や保育所の意見を取り入れたい。何をしてほしいという要望ではなく、逆に、幼稚園や保育所ではここまでできていたのだから小学校では省略できるという方向で」などと述べた。

 引き継ぎシートについては「既に幼稚園等から詳細な要録が送られていることから、0~18歳を見越した資質・能力の育成など、必要事項のみに限定して進めていく」とした。

 さらに「まだ1年生が幼稚園や保育所に行っていないので、何とか実現したい。合同行事を企画し、職員の合同研修も実施したい」との意欲を示した。

 続いて、同校で1年生を担任している粕谷奈美教諭がこれまでの実践を紹介。浦河町教委が会計年度職員として配置した幼小接続アドバイザーの久保ゆか氏について「保育的な目線をたくさんいただけて、驚きの連続だった」「幼稚園等では子どもたちのロッカーに名前とともに動物などのシールを貼っているが、小学校でも貼ってはどうかというアイデアをいただき試したところ、字が読めない子も“僕のマークだ!”と喜んでいて、安心して小学校に慣れる一助となったと思う」などと述べた。

 また「幼稚園からの引き継ぎが十分だったので、入学初日から子どもたちに安心して関われた。注意点も把握していたので、声かけなど安心できるように対応できた」などと述べた。

 課題としては「もっと幼稚園・保育所の活動を詳しく知っておく必要がある。つい子どもに説明し過ぎてしまうのだが、実は幼稚園・保育所でそのレベルのことはできている子もいる。これらを知っておくと“こんなのできるよ”と不満に思われることもなく、スムーズに小学校の活動に入れると思う」との点を挙げた。

 アドバイザーの久保氏はプログラムの素案について「本年度は、目指す姿と一つ一つ整合性を図っていきたい」「幼児教育施設から提出いただいた年間計画をもとに、接続期に育みたい子どもの姿をあらためて再確認し、幼保小で話し合っていきたい」「4月から幼稚園等が実際に小学校を見学できたのは本当に良かった。横のつながりを増やして連携を深め、実践で見えてきた課題は合同研修等で話し合い、円滑な接続を意識し作成していければ」などと述べた。

 協議では「児童の幼稚園訪問をぜひ実現したい。1年生になって、こんなことができるようになったんだということを年長さんに見せてあげることで、キャリア教育にもつながると思う」との声が上がった。

 また、小中高生が継続して学ぶえりも町教委の「未来えりも学」について「幼稚園も入れてはどうか」との声に対し川上教育長は「とても良いことだと思う」と承諾した。

 最後に指導助言。日高教育局義務教育指導班の髙嶋優美主任指導主事は「架け橋期は入学してから2、3ヵ月のことではなく、5歳から小1までの2年間であることを忘れずに」と注意を促した。

 藤女子大の吾田教授は「福井県では、小学校と幼稚園が交換教員として互いに担任してみる試みを行っている。そうやって先生方が学ぶことも大切ではないか」と提案。

 また「注意すべきは、幼稚園が小学校の前倒しになるのではないということ。幼児期には幼児期にふさわしい生活がある。小学校での生活を踏まえながらも、幼児期にふさわしい生活を」などと述べた。

 次回のカリキュラム検討会議は8月23日に開催する予定。

(市町村 2023-05-26付)

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