道教育大など4大学 連携フォーラム初開催 へき地教育の可能性探る
(道・道教委 2023-07-27付)

4大学連携フォーラム
4大学が連携フォーラム

 道教育大学、長崎大学、鹿児島大学、琉球大学の4大学は23日、へき地・離島・小規模校教育推進フォーラム(第22回道教育大へき地・小規模校教育推進フォーラム)を開催した。文部科学省の安彦広斉大臣官房審議官(初等中等教育局担当)が基調講演したほか、4大学が特色ある教育実践を発表。教師としての資質・能力や意欲の向上に資するへき地・複式教育の可能性を探った。

 オンラインで全国の教育関係者約140人が参加した。

 開会に当たり蛇穴治夫学長は、過疎化・小規模校化が急速に進展する中、へき地・小規模校教育の実践と大学における理論的な講義を往還させる新たなプログラムの開発に連携して取り組む考えを示し「取組を全国に普及させることで過疎化・小規模校化の課題と教員不足の課題に対応していきたい」と述べた。

 つぎに文科省の安彦審議官が「人口減少社会における学校教育の在り方と地方の教員養成教育への期待」と題して基調講演。各種データから人口減少社会における学校教育の現状や課題を示し、教員の力を高める教員養成の方向性を示した。

 続いて4大学の関係者が事例発表。学生の教育効果を高める離島・へき地校体験実習や教育委員会と連携した地域枠による採用システムなど特色ある実践を紹介した。

 意見交換に移り長崎大の藤本登教育学部長は、複式学級や離島教育の実際を体験的に理解できる離島・へき地実習の効果に触れ、学年の早い段階からへき地・複式教育を実施する必要性を示した。

 鹿児島大の有倉巳幸教育学部長は教員採用に係る各種データの分析結果を示し、離島・へき地の学校実習や授業外のボランティアに参加したほぼ全ての学生が教員になっていることから多くの学生に参加を促す必要性を示した。

 琉球大の萩野敦子教育学部長は、離島に大学教員が出向いて対面型研修などを行うアドバイザリースタッフ派遣事業や地域連携事業による教育支援を紹介。地域連携の担い手となる教員を育成する観点から「特に若手教員に関心を抱いてもらう働きかけが必要」と指摘した。

 最後に安彦審議官が講評。教員としての志望意識や学びに向かう力を高め、自己効力感を実感できる現場体験の重要性をあらためて強調するとともに、1人1台端末を効果的に活用することで個別学習の指導・支援が大教室での授業や特別支援教育の分野でも応用できる複式学級の可能性を示した。

 また、将来の教員確保につなげるため、教員の専門性に応じて給与が上昇する諸外国の事例を踏まえ、専門性や意欲の向上に資する制度改革の必要性に言及した。

(道・道教委 2023-07-27付)

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