インサイドリポート 23日の酷暑で道内教育現場 熱中症対策へ環境改善急務 臨休や下校時刻繰上げ等対応(学校 2023-08-25付)
札幌市内の学校に設置している移動式エアコンの一例
23日は道内の広い範囲で気温が上がり、札幌市中央区で観測史上最高の36・3度を記録するなどした。道内の熱中症対策として26校が臨時休業し、271校が下校時刻を繰り上げた。
札幌管区気象台によると、平成に入ってからの約30年間で、最高気温が30度以上の真夏日を記録した日数は、平成の中頃までは、ゼロの年、1~3日程度の年が多かったという。それ以降は極端に少ない年がほぼなくなり、ことしは8月24日時点で36日連続真夏日を記録し、過去最長を更新した。
23日の道内各地の対応をみると、北見市は、小学校17校と義務教育学校1校を臨時休業した。暑さによる臨時休業措置は初めて。教室にエアコンがある2校については通常どおり授業を実施した。残る3校は下校時刻を繰り上げた。江別市でも、エアコンがなく適正な室温を保てないことなどを理由に小・中学校計6校で午前授業とした。
連日の酷暑で暑さに対応した教室の環境整備が追いついていない状況が、あらためて浮き彫りとなった。
文部科学省によると、道内の公立小・中学校の普通教室の冷房設置率は令和4年度9月時点で16・5%。前年度比12・2ポイント上昇したものの、全国平均の97・2%に遠く及ばず、71・3%で46位の青森より大幅に低い最下位だった。
エアコンの設置には、国が学校施設環境改善交付金として3分の1の額を補助している。しかし、莫大な予算が短期間に必要なことや、電気代が長期的にかかることなど自治体の負担は大きい。この財政的負担が設置への障壁となっている。
札幌市は、午後1時時点で小学校50校と幼稚園1園で午後から休園や休校の措置を取った。
市内の小・中学校では現在、工事不要で、8~10畳程を涼しくできる移動式エアコンによる暑さ対策が中心。2年度から設置を進めており、全小・中学校普通教室の4分の1に導入している。
ただ、広範囲を冷房できる能力はないため、室温が上がりやすい上階の教室にのみ置いている学校もある。ある小学校では「室内の空気を循環させるために使っており、暑さ対策として十分ではない」と漏らす。
市立小・中学校への冷房導入を巡っては3年、保護者が教室への設置を求めるオンライン署名約1万5000筆を市教委に提出している。
市教委は、本年度以降に新改築の設計に着手する学校については備え付けのエアコンを整備する考え。一方で、既存校舎は費用面のほか、電圧の切り替え工事が必要で、設置まで時間がかかることが課題だとして「今後検討が必要」としている。
気象庁が道内に「熱中症警戒アラート」を発令するなど猛烈な暑さに見舞われた23日、教育現場では児童生徒の健康面を考慮して、臨時休業や下校時刻を繰り上げたり、体育の授業や部活動を中止したりするなどの対応に追われた。年々暑さが厳しくなる一方で、教室への冷房設置が全国と比べて大幅に遅れており、熱中症対策を十分に講じられない現状があることから、環境改善が急務となっている。
(学校 2023-08-25付)
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