生徒と大人が対等「しゃべり場」 住民が教育課程に参画 総合学習に学校運営協位置付け 七飯大沼岳陽
(学校 2023-08-28付)

大沼岳陽学校CSの取組
将来の夢などについて対等な雰囲気で話し合った

 【函館発】七飯町立大沼岳陽学校(大橋宏朗校長)で、地域住民が教育課程に参画できる場が広がっている。7月下旬には生徒と大人が対等な目線で話す「しゃべり場」を企画。総合的な学習の時間に拡大型学校運営協議会を位置付けることで、社会に開かれた学校の実現に向けて大きな一歩を踏み出している。

 7月21日、9年生の教室で行われた総合的な学習の時間。大沼地区在住の30代から70代までの大人たちが生徒と向き合った。「全員、同じ立場で将来の夢を話し合おう」と呼びかける溝口仁志教頭。「対話を通して今とこれからの自分をみつめる」をテーマに、それぞれが今後のキャリア形成を考えた。

 生徒と大人混合のグループで、生徒は「介護や福祉の業界に興味がある。障がいのある人を助けたい」「進学や就職で町を離れてみたい」と相談。移住経験のある大人が自身の体験を語るなど、将来の目標実現に向けて現時点で取り組めることをそれぞれの立場からフィードバックした。

 授業は9年生が総合的な学習の時間「大沼学」で取り組んだ。学習目標「自分たちの未来を考える」を達成させるとともに、大人たちが生徒の実態を捉えることをねらいとした。

 コミュニティ・スクール(CS)の学校運営協議会が開催されるのは、働く大人たちが集まりやすい放課後が多く、子どもたちと会話できる機会は少ない。これまでの会議で委員から「児童生徒の実態を知り、話をしてみたい」との要望があったことを踏まえ、新たな試みとして企画。初回ということもあり、発達段階の高い最上級生との交流機会を設定した。地域と学校をつなげる役割を持つ地域コーディネーターの高島美紀さんが議員や企業の社長、移住者などが様々な業種の地域住民を集めた。

 学習を終えた生徒の一人、山田日菜さんは「大人とじっくり話す機会は初めて。緊張したけど、同じ立場で話し合えて楽しかった。もっと話したいと思えるほどあっという間だった」と笑顔。保育業に携わる地域住民は「中学生と話す機会は少ない。自分の考えを持っている子が多く尊敬した」と振り返った。

 七飯町内の学校では町教委と連携したCS活動を積極的に進めており、本年度は大中山中学校でも生徒会の生徒と地域住民が対話する機会を設定した。各校のCS活動を支援する住吉聡地域学校協働活動推進員は「生徒の本音を引き出す雰囲気を創出するには、授業の仕掛けを慎重に考えることが必要」と分析する。同校では溝口教頭と住吉推進員、地域コーディネーターらで授業案を考え、生徒の将来の夢に応じた職業に勤務する人や話し合いが苦手な子に対してアプローチができそうな人などを相談し合い、生徒が発言しやすい授業に備えたという。

 大橋校長は「住民と生徒が積極的に関わる機会を増やすことで、互いに地域に対する愛着が育まれやすいのではないか」と語る。同校では同日、生徒の様子などについて協議会委員による振り返りを行い、次回の活動や「大沼学」の研鑚について考えた。

(学校 2023-08-28付)

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