【解説】ネット環境補助が過剰交付
(解説 2023-10-27付)

 公立学校でインターネット環境を整備する国の補助金が過大に交付されていたことを受け、会計検査院は20日付で文部科学大臣に改善を求める意見書を提出した。補助対象外となる「保守費用」「代替機費用」などの費用を誤って計上していた事例が複数あったためで、会計検査院は文科省の作成した説明資料の記載が不十分だったと指摘。過大に交付した補助金を速やかに返還するとともに、十分な理解を得る方策を検討するよう対応を求めた。

 補助金はGIGAスクール構想のもとで公立小・中学校における情報通信ネットワーク環境施設を整備するため2、3年度に交付。サーバー、無線アクセスポイントなど校内LANの新設・更新に必要な経費の2分の1を補助するが、事業実施の翌年度以降の期間分のライセンス費用、ネットワーク機器の保守・故障対応の予備調達、校外施設における整備に関しては補助対象外となっていた。

 しかし、会計検査院による検査の結果、11府県18事業主体においてこれら補助対象外となる費用を誤って補助対象経費として計上していたことが判明。合計で2億5869万円が過大に交付されていた。要因として説明資料における補助対象外経費の記載が散在した点などを挙げている。

 補助金の交付事業は3年度で終了したものの、今後校内LANの更新など同様の事業が実施されることも考えられることから改善を求めた。

 文科省の調査によると、ことし3月1日時点で普通教室の無線LAN整備率は98・5%まで上昇。端末とクラウドを活用した授業改善や校務利用が進んでいるものの、ネットワークの遅延などの問題も生じている現状にある。このため文科省は来年度、全国的なネットワーク診断に取り組むことを検討している。

(解説 2023-10-27付)

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