【解説】英語　苦手払拭はスピーキングから

（解説 2023-11-06付）

　英語に苦手意識を持つ生徒が増加傾向にあることが、㈱ベネッセコーポレーションの調べで明らかになった。道内の高校１年生を対象にした調査では、入学時点で「英語が苦手」と回答した生徒の割合が、本年度初めて数学を上回った。こうした生徒の多くは「中学１年次の前半から苦手と感じるようになった」と回答。同社では「学習指導要領の移行によって、今後はさらに顕著になる可能性がある」とみている。

　学習指導要領の移行によって小学校中学年での外国語活動に前倒し、高学年における外国語科が導入され、小・中・高校一貫した外国語教育が進むことになった。これに伴い、各校種で学習する語彙数が増加。小中高を合わせて最大約５０００語を学習することになり、旧指導要領下と比べて１・４倍に上る。

　同社によると、高校教員からは「英語力が高い生徒と低い生徒が混在して入学してくる」「苦手意識を持った状態で入学してくる」「出身中学校によって指導のギャップがある。初期指導があらためて重要だと感じた」などの声が上がっているという。

　道内高校生を対象とした調査では、入学時点における英語の苦手な項目として「聞き取る」「単語を覚える」が増加傾向に。とりわけ顕著だったのは聞き取るで、令和元年度と比べて９・１ポイント上昇し２３・２％に達した。

　一方で、英語が「苦手」から「得意」に変わった生徒の約７割が「高校１年秋から２年春」の間に苦手意識を払拭していることが判明。同社は「最初にスピーキングの技能が大きく伸びている」と分析。「スピーキングが先行することで徐々に発話意識も高まり、単語や文法への苦手意識も減少する」としており、スピーキングを切り口にした学習の重要性を説いている。

(解説 2023-11-06付)