探究チャレンジ・ジャパン受賞校発表概要① 函館中部高校
(道・道教委 2024-02-28付)

探究チャレンジ・ジャパン函館中部上
研究の成果を伝える生徒

 高校・特別支援学校高等部等の生徒が取り組んだ探究活動の成果を発表・交流する「探究チャレンジ・ジャパン」。2月上旬に北大学術交流館で開催した発表会には、道内各地の代表校29校から104人の高校生が出場。最高賞となる道知事賞を受賞した函館中部高校をはじめ、道内の公立学校6校が栄誉に輝いた。「探究チャレンジ・ジャパン」における受賞校の発表概要を連載で紹介する。

 函館中部高校(清水信彦校長)は、調査・研究の目的に解決すべき課題が設定され、目的と調査・研究の方法が整合されている学校が選ばれる「北海道知事賞」を受賞した。同校は、マリーゴールドの葉、茎、花弁の成分がレタスに対する成長阻害活性を持つかどうかについての研究を推進。結果、マリーゴールドの葉、茎、花弁には、レタスの幼根や下胚軸に対して、有意な成長阻害性が存在することを明らかにした。

【道知事賞】

◆探究テーマ「サンドイッチ法およびプラントボックス法によるマリーゴールドのアレロパシー活性の評価」

▼発表要旨

 本研究では、マリーゴールドの葉、茎、花弁のレタスに対する成長阻害活性をサンドイッチ法およびプラントボックス法によって検定した。結果、マリーゴールドの葉、茎、花弁にはレタスの幼根および下胚軸に対して有意な成長阻害性が認められた。

▼背景と目的

 猪谷富雄ら(1998)はマリーゴールド全草を用いて殺線虫有効成分の検出を行い、C13・H14・O3とC14・H12・O2・S2の2種類の化学物質を検出した。

 また、岡田梨李(2022)はサンドイッチ法によりバラの葉、茎、花弁においてアレロパシー活性の強さに差があることを明らかにした。そこで本研究ではマリーゴールドの葉、茎、花弁におけるアレロパシー活性の有無の確認およびその強さの比較を行った。

▼方法

 乾燥させたマリーゴールドの葉、茎、花弁を粉砕し、サンドイッチ法を用いてアレロパシー活性試験を行った。検定植物としてレタスを用い、種子を20℃・72時間・暗黒下で培養したあと、下胚軸長および幼根長を測定した。結果については統計処理によって有意差を検定した。

 また、各器官の抽出液を用いてプラントボックス法によるアレロパシー活性試験を行った。レタスを検定植物とし、チューブから検定植物までの距離と幼根長および下胚軸長を測定し、アレロパシー物質の阻害活性を評価した。

▼結果

 サンドイッチ法によるアレロパシー活性試験の結果を図に示す。対照群とのt検定によって幼根および下胚軸において成長阻害作用を認めた。

▼結論

 t検定の結果から、全ての器官にアレロパシー活性があることが分かった。また、一元配置の分散分析の結果からは、各器官におけるアレロパシー活性に有意差が認められなかった。

▼今後の課題

 マリーゴールドの葉、茎、花弁に含まれるアレロパシー物質を抽出・単離し、NMRもしくはHPLCを用いて構造解析を行うことで、アレロケミカルを特定したい。

▼IT・データサイエンスの活用

 F検定、t検定、バートレット検定、一元配置の分散分析を行い、有意差を検定した。

▼参考文献

▽猪谷富雄ほか(1998)「サンドイッチ法による雑草および薬用植物のアレロパシー活性の検索」『雑草研究』

▽岡田梨李(2022)「バラのアレロケミカルに関する研究~除草剤の開発を目指して」『令和4年度スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会要旨集』

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探究チャレンジ・ジャパン函館中部下

(道・道教委 2024-02-28付)

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