道教委 社会との共創PJセミナー 探究活動の充実へ研鑚 地域課題解決型など3種に200人(道・道教委 2024-08-08付)
地域課題解決型のセミナー。課題の見つけ方と見方について考えた
道教委は7月26日、S―TEAM教育推進事業「社会との共創」推進プロジェクトオンラインセミナーを開催した。「地域課題解決型」「グローバル型」「アントレプレナー教育型」の3類型のセミナーをそれぞれ実施。計200人を超える高校生が参加し、探究活動の進め方や地域課題解決に向けた施策などについて理解を深めた。
◆価値ある探究へ視座の在り方学ぶ 地域課題解決型
地域課題解決型のセミナーには、18校24チーム、105人が参加。北海道大学観光学高等研究センターの岡田真弓准教授、酪農学園大学循環農学類教職センターの金本吉泰教授、合同会社あしたの学校の吉田悠馬氏が講師を務めた。
岡田准教授の講座では「自分たちの地域をひらいてむすぶ~地域の課題の見つけ方とその見方」と題してワークショップを展開。地域を知るために「歴史や地名の由来」「人口や高齢者の割合」「地形や他地域とのアクセス」など様々な視点があることを踏まえ「地域の課題の原因を減らして解消するのか、地域の長所を伸ばして地域課題の解決策につなげるのか」などの方法から選択し、どんな地域を目指したいか、未来予想図を描いて課題設定する必要性を示した。
金本教授は「探究活動における情報の収集と整理・分析」をテーマに講義。課題を設定するために徹底的に情報を収集する必要性や、集めた情報を視覚化する方法を伝えた。
吉田氏は「探究する価値のある課題設定~課題設定の際の視座とは」と題して講演。当事者意識が強いと、自分の地域しか見えなくなるため、他地域と比較することや、逆に当事者意識が低いと社会で起こっている課題を具体的に捉えることができないため、視座を意識的に上げたり下げたりする重要性を説いた。
また、自身が高校生の時に学生団体を立ち上げて活動したこと、現在の会社を設立した経緯に触れ「探究学習をする上で一番大切なのは、自分が何をしたいのかという気持ちを大切にすること。自分の人生だから、主語はいつでも“私”である」と、参加した高校生に激励の言葉を贈った。
このほか、前年度の「探究チャレンジ・ジャパン」に出場した伊達開来高校の生徒による発表を実施。生徒たちは前年度の発表「伊達レンジャー~助け合うまちづくり2」で、1年目に行った探究活動を踏まえ、2年目に実施した活動の内容やその検証結果を報告した。
◆英語で探究進め異文化に関心を グローバル型
グローバル型のセミナーには、10校12チーム、45人が参加。札幌国際大学人文学部国際教養学科の中津川雅宣講師、道教委高校教育課の加藤洋平主査と道立教育研究所の佐々木康希研究研修主事が講師を担当した。
中津川講師は「英語で探究活動をすることの意義について」と題して講義。英語を使うことでアクセスできる情報量が増えることや、異なる国の問題や文化に関心を持ち、グローバルな視点で探究することができるなどの利点を伝えた。
加藤主査と佐々木研究研修主事は「SDGsなどの地球規模の課題について英語で考える」をテーマにワークショップを展開。生徒たちが教育における課題について資料を作成し、英語でプレゼンテーションを行う演習を展開した。
◆企業理念など学び顧客イメージ掴む アントレプレナー型
アントレプレナー教育型では、9校13チーム、61人が参加。ネクストソサエティ(株)の芝香氏、(株)ニトリホールディングスの社員による講座や前年度の「探究チャレンジ・ジャパン」に出場した帯広柏葉高校の生徒による発表を行った。
芝氏は「課題の発見と解決策に取り組む考え方」、「ビジネスモデルキャンバス」をテーマに新規事業や新商品を開発する際のステップについて講義。「まずはみんなが困っている課題にフォーカスして取り組んで」「既に商品化されている場合でも、その商品で課題が解決されているか、足りないところはないかについて、諦めずに突き詰めてほしい」などと呼びかけた。
また、外部環境を分析する際のフレームワーク「PEST分析」や様々なビジネスモデルについて解説。その後、実際にビジネスモデルキャンバスにビジネスの内容や具体的な顧客をイメージした事業を落とし込む演習を行った。
帯広柏葉高の発表では、前年度の実践「ドリンクバー専門店」における、ビジネスやコンテンツを通じて収益を生み出すプロセス「マネタイズ」のポイントや、地元に勉強をする居場所などがない高校生が抱える課題と、アルバイト募集をしたい地元事業者の課題を合わせて解決する方策について説明。また、4月に実際にドリンクバーを実施し、ことしの夏に再び実施する予定を報告し、セミナー参加者に「アイデアをじっくり考えてほしい」などと周知した。
ニトリホールディングスの社員は、会社の企業理念やビジネスモデルなど、会社概要を説明したほか「ものづくり(製造)」「ライブコマース」「SDGs」の三つの課題を提示。アントレプレナー教育型に参加した生徒は、今後、この課題やその他、各自で設定した課題に取り組む。
◆9、11月中間発表 課題設定し探究
「地域課題解決型」「グローバル型」「アントレプレナー教育型」に参加した生徒は今後、各自で課題を設定し、9月、11月に行われる中間発表を経て、来年1月の成果発表に向け探究活動を進める。1月の成果発表の上位校は2月1日に開催される「探究チャレンジ・アジア」で発表する予定だ。
(道・道教委 2024-08-08付)
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