【解説】財務省教員削減案で提言―中教審
(解説 2015-11-04付)

 中央教育審議会は十月二十八日に開いた総会で、全国の公立小・中学校の教職員定数を平成三十六年度までの九年間に約三万七千人削減するよう求めた財務省案を「暴論であると言わざるを得ない」と批判した上で、「教育課題や地域のニーズに応じ、必要な教職員数を戦略的に充実・確保すべきだ」と馳浩文部科学大臣に緊急提言した。財務省案が、国立大学法人運営交付金を今後十五年、毎年一%削減することを求めることについても、「将来に禍根を残す」と反論した。中教審が緊急提言をまとめることは極めて異例という。

 提言は、教職員定数に関する財務省案について、「教育が果たさなければならない役割についての認識が全くうかがえないばかりか、各学校の厳しい実態を無視した、あまりにも非現実的なもの」と指摘した。

 さらに、子どもの貧困と教育格差の拡大、特別な支援を必要とする児童生徒の著しい増加、いじめ・不登校・暴力行為などの生徒指導上の課題のさらなる深刻化など、「多様な課題を抱える子どもたちが社会で活躍できるようにするための指導体制の整備は一刻の猶予もならない」と主張。

 また、「今後変化の厳しい社会で生きていくため、いわゆるアクティブ・ラーニングの視点からの学習・指導方法の革新が必要であり、学習指導要領の次期改訂では、小学校における英語の教科化に向けて審議を行っている」などと説明。

 加えて、「日本の教員は世界で最も長時間勤務を行っており、教員業務の質量双方の増加は時間外勤務の増加と研修時間の減少を招き、学校が新しい改革に機動的に取り組むことも難しくしている」とも指摘。

喫緊の教育課題に対応し、教育改革を学校が真に実行できるようにするため、加配定数を含む教職員定数の充実を強く求めた。

(解説 2015-11-04付)

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