【解説】多様な個性生かした教育を
(解説 2015-11-11付)

 政府の教育再生実行会議(座長・鎌田薫早稲田大学総長)は四日、新体制での初会合を首相官邸で開いた。安倍晋三首相は「子どもたち一人ひとりの状況にきめ細かく対応した教育について、議論を深めることが重要だ」と述べ、発達障害や学習障害、不登校の子どもなど、多様な個性に応じた教育の在り方などについて検討するよう求めた。

 同会議は二十五年一月に設置。これまで、教育委員会や大学入試の改革など、八次にわたって提言を出している。この日の会合では、過去の提言の達成状況などを検証する会議の設置も決まった。

 日本の学校教育はこれまで、特に義務教育を中心に、学級などの集団の教育力を生かした指導によって、大きな成果を上げてきた。

しかし、一人ひとりの子どもに目を向ければ、様々な才能や可能性をもちながら集団での生活や行動になじみにくい子どもたちがおり、また、心身の障害や発達障害、それまでの学習内容の未定着、病気などによる長期欠席、不登校などから、学校で力を十分に伸ばせていない子どもたちがいるのも事実。

 今後の社会の変化と教育のあるべき姿を考えれば、これらの状況にある子どもたちを含め、ほかの子どもたちと違うことを「駄目なこと」とみるのではなく、むしろ「多様性」という観点から日本社会にとって必要な「多様な個性」として積極的に認め、受け入れ、その子たちの力も最大限に伸ばす必要がある。

 学校を超えて、このような「多様な個性」が受容され、生かされる社会にしていくべきではないか、との問題意識のもとに、同会議では、これまでの日本の教育の「強み」は大事に残しつつ、学校教育の転換とそのために必要な施策について検討し、来春をめどに提言をまとめる。

(解説 2015-11-11付)

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