事務職員の複数配置を 自治労北学労が道教委に要求書(関係団体 2015-11-06付)
自治労北海道学校事務労働組合(平野正志執行委員長)は十月二十六日、道教委に対して「学校事務職員の勤務条件等に関する要求書」を提出した。給与の独自削減の即時停止や時間外勤務縮減に向けた具体的方策、小・中学校への事務長配置、学校事務職員の複数配置、定年年齢の段階的延長などを求めている。
要求項目はつぎのとおり。
1 県費負担教職員制度等について
県費負担教職員給与費の政令指定都市への移譲に必要な経費については、準備行為にかかる経費や人員確保にかかる経費などを含め、必要な財政需要額を確保できるよう国および関係機関に働きかけること。
また、地域実態に応じた教育機会の平等を実現するため、中核市への人事権付与など地方分権に立脚した措置を推進するよう積極的に国に求めること。
2 二〇一五年の給与改定について
(1)給料表の改定については、人事院勧告を最低限として改善し、四月にさかのぼって差額分を支給すること。また、官民・公民較差を踏まえ較差解消のため適切に対応すること。
(2)期末・勤勉手当については、人事院勧告を最低限として〇・一〇月改善し、また、期末手当に一本化すること。さらに、勤勉手当の成績率の拡大及び勤務成績の反映は行わないこと。
(3)給与制度の総合的見直しに関しては、現給保障を確実に実施するとともに、運用改善等によって水準を確保すること。
3 基本賃金・諸手当等について
(1)財政危機を理由とした独自の給与削減は即時停止すること。
(2)高年齢層職員の昇給・昇格制度の見直しについては、国家公務員との人員構成や退職までの到達級などの違いを踏まえ、国と同様な見直しを行わないこと。
(3)給与構造改革に伴う現給保障措置については、廃止せず制度を維持すること。
(4)給料表の号俸は、職員の在級実態に応じ、必要分を増設すること。
(5)初任給の改善とそれに伴う在職者調整をつぎのとおり実施すること。
ア 初任給については、国公八号上位を最低とし、昇給期間短縮などを最大限実施すること。
イ 中途採用者の初任給決定にあっては、経験年数換算十割を基本に最低でも八割とし、調整率を全期間二分の二(十二月四号)計算とすること。
ウ 以上の改善に合わせて、全職員を対象とした在職者調整を行うこと。
(6)年齢別最低保障賃金制度を確立すること。最低保障水準を標準入職者の九割以上とすること。
(7)昇給・昇格制度等をつぎのとおり改善すること。
ア 事務主幹選考の在職年数要件、年齢要件を緩和し、高齢層以外からも適任者を命課可能にすること。
イ 義務制においても道立学校同様、学校種別代表校および市区町村内の中心校の事務主任を代表主査級に位置付けること。
ウ 賃金水準の改善に当たっては、国公行政職(一)表水準で最低限、つぎの年齢別ポイント級号俸以上とすること。
十八歳一―一四(十五万五千八百円)、二十二歳一―三三(十九万二百円)、三十歳三―一三(二十四万五千円)、三十五歳三―四〇(二十九万二千三百円)、四十歳四―四三(三十四万三千六百円)
エ 級別の格付け基準など昇格・昇給基準を短縮・改善することとし、最低非役付職員の五級到達を維持すること(具体的には、一級在級八年、二級在級四年、三級在級四年、四級在級二年)。
オ 給与制度見直しに伴う昇給号俸の抑制については、抑制した全号俸を復元すること。
カ 四号俸を超える昇給は、八号俸五%、六号俸二〇%に相当する原資を確保し、従前の特別昇給による運用を実施すること。実施に当たっては差別取扱いを排除し、全職員を対象に公平・平等に取扱うこと。また、給与の不均衡是正実施の原資として確保すること。
(8)諸手当については、つぎのとおり改善すること。
ア 扶養手当については、支給額増額、支給年齢制限の大学院卒業までの拡大、属性区分の見直しなど改善を図ること。また、血族要件を廃止するとともに、支給方法を改善すること。
イ 通勤手当は全額実費支給とすること。
ウ 退職手当の増額を図ること。
エ 時間外勤務手当の支給率については、百分の百五十(深夜百分の二百)、休日勤務手当は百分の二百とし、夜間勤務手当は百分の五十に改善を図ること。特に月四十五時間以上の割増率の引き上げを行うこと。
時間外縮減方策要請なども
4 労働時間・休暇制度について
(1)所定勤務時間を短縮すること。また、休憩時間については、育児・介護の責任を有する職員の実態等を総合的に考慮し検討するとともに、変更に当たっては、労使合意を前提とすること。
(2)時間外勤務の縮減に努めるとともに、単に職員や管理職への啓発や意識改革に頼ることなく、業務改善や処理方法の見直しなどの具体的方策を講じること。
また、職員配置等の構造的な事務処理体制に起因してやむ無く発生する時間外勤務については、必要な予算を確保し、シーリングによる支払抑制を行わないこと。
(3)労働基準法第三六条に基づく時間外勤務に関する労使協定(三六協定)を最低でも法適用全職場で締結すること。
(4)夏季休暇を拡大して五日間にするとともに、年間を通じて取得可能な制度に改善すること。また、これが実現するまでの間、冬季の職専免を知事部局等の職員と同様に取得できるようにすること。
(5)結婚休暇は十四日間とすること。
(6)両立支援のための休暇等をつぎのとおり新設・充実すること。
ア 産前・産後休暇について、産前は最低十二週間とし、産後は十三週間とするとともに、妊娠三ヵ月以内の流産にも適用すること。また、代替職員との円滑な引継を保証するため、産前休暇前と産後休暇後の二日間を引き継ぎ日とすること。
イ 配偶者出産休暇は七日間とすること。
ウ 現行の育児休業について、五原則(有給、選択制、現職復帰、代替の確保、男女対象)で制度化すること。
エ 育児休暇は就学年齢までとし、男子職員への適用については、取得要件などにおいて女子職員と同じく扱うこと。取得時間は、現行の二時間から三時間に拡大すること。
オ 育児のための短時間勤務制度を取得した職員の後補充は、原則正規職員とすること。
カ 介護休暇を拡充し、四原則(有給・選択制・現職復帰・代替の確保)を保障すること。
(7)健康障害休暇、有給教育休暇制度の新設を行うこと。
(8)永年勤続者に対するリフレッシュ休暇について、十年、二十年勤続者にもそれぞれ、五日、十日間の連続休暇を制度化すること。また、三十年勤続者は十五日間とすること。
(9)病気休暇については、日数の拡大を図ること。見直し拡大に当たっては、職員の休暇実態等を十分に考慮した内容とすること。
(10)忌引休暇の日数を拡大すること。また、姻族については血族と同様の扱いとすること。
5 定数・人事について
(1)小・中学校に、学校教育法施行規則第四六条による事務長を配置すること。
(2)国による新・公立義務教育諸学校教職員定数改善計画の考え方に沿った定数改善を行い、学校事務職員の複数配置を積極的に推進すること。
(3)準要保護児童生徒への就学支援に対応するため、義務標準法第九条第四号の算定に基づく配置を実現すること。
(4)学校事務職員の人事異動については、本人の意思を尊重し、希望と承諾を原則として実施すること。
6 定年延長および再任用制度について
(1)雇用と年金の接続に向けては、定年年齢の段階的延長を基本方針とすること。
(2)定年延長について、六十歳以降の給与水準や定年制度等の制度設計については労使合意を基本とすること。
(3)再任用制度の当面の運用に当たっては、年金支給開始年齢が六十二歳へ引き上がることを踏まえ、給与水準の改善や生活関連諸手当の支給等の処遇改善を行うとともに、勤務形態の多様性や定数管理の在り方などについて、我々と十分に協議すること。
7 研修体制について
(1)学校事務職員の研修について、他都府県の状況を踏まえ、知事部局における新・北海道職員人材育成推進計画に準じた実効ある人材育成計画を策定し、充実した研修を実施すること。具体的には、行政公務員としての職場内研修、教育にかかわる専門分野としての教育研究所における研修、教育局や関係部局へ出向することを含めたOJT(職場内研修)の充実の三つの方策をとること。
(2)新採用者に対する研修は、任用後直ちに行い、研修期間は一ヵ月以上とすること。新採用者の勤務校への発令は、研修終了後に行うこと。勤務校への代替は、退職者等によって補充すること。
(3)職員の勤務能率の発揮、向上は勤務条件に直結することから、新採用者および在職者に対する研修については、当組合と十分協議して決めること。
8 執務環境について
(1)学校の事務室について、以前に道教委が行った調査は事務室設置への効果が高かったが、いまだ設置計画の立たない市町村が多いことから、早急に設置するよう学校設置者に対して強く指導すること。
(2)管理諸室についても、「学校環境衛生の基準」に基づく適切な環境が得られるよう、空調設備等を設置するように学校設置者に対して指導すること。
9 共済組合について
(1)扶養親族の範囲について、血族・姻族にかかわらず三親等以内の親族については、同居を認定条件としないよう、法改正を関係機関に働きかけること。
(2)公務員以外の被用者に対して実施されている多胎児の養育や産前産後休業時における在宅保育サービス利用料の助成事業(双生児等多胎児家庭・産前産後休業時育児支援事業)と同様の事業を導入するとともに、利用回数については月一回程度とすること。
10 学校職場における現金取扱にかかる事故防止について
学校において、現金の取扱いを行う場合、教職員や児童生徒が現金強奪事件等に巻き込まれる可能性があることから、危機管理の一つとして現金を取扱わないことを原則として、事務改善を進めること。特に、制度が整った給与、旅費等の支給について、定期的に利用を呼びかけ、口座振替制度の利用推進に向けて一層の努力をすること。
11 学校職員評価制度の導入について
導入された評価制度は、様々な制度的欠陥があることから廃止すること。
12 自治体財政の見通しについて
自治体財政の悪化により、未曾有の長期間にわたる職員の賃金削減が行われ、住民サービスへの悪影響も懸念されていることから、一般会計、公営企業会計、第三セクターなどを含む二〇一四年度決算状況、財政指標(実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率)の内容について説明すること。
13 公教育の無償化について
(1)義務教育諸学校および公立学校において教材費、学校給食費等の公費負担を拡充し、公教育の無償化を推進するよう国などの関係機関に働きかけること。
(2)学校における経理事故の防止と適正化を図るため、地方自治法等の関係諸法令を順守した会計処理がなされるよう、必要な指導を行うこと。特に、地方自治法第二一〇条および第二三五条の四第二項を踏まえ、学級費、学校給食費等の学校徴収金は、公会計処理とするよう引き続き指導すること。
(関係団体 2015-11-06付)
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