学びの集大成を発表 道キャリア教育サミット―道教委
(道・道教委 2017-11-02付)

道教委キャリア教育サミット発表
十勝管内の発表では、大樹高校の生徒が宇宙に関連した学習内容を紹介

 道教委は十月三十一日、ホテルライフォート札幌で「小中高一貫ふるさとキャリア教育推進事業」の集大成となる道キャリア教育サミットを開いた。研究指定校の児童生徒が小中高連携による体系的なキャリア教育、家庭や子育てに関する学習内容、地域の魅力を発表。地域振興の課題や解決策について意見を交換した。サミットの様子はYouTubeで公開しており、後日、編集した動画を追加配信する。

 道教委は、二十七年度から小中高一貫ふるさとキャリア教育推進事業を実施。全道十四管内の研究指定校において、地方自治体や地域の産業界など関係機関、団体の支援のもと、地域の未来を担う人材の育成に向けた取組を進めている。

 事業の柱として、地域の良さや生活を学ぶ「地域ダイスキ!プロジェクト」、家庭や子どもに関する理解を深める「子どもダイスキ!プロジェクト」の二つを設定。小・中・高間の体系的なキャリア教育、家庭や子育てに関する理解の深化に取り組んでいる。

 道キャリア教育サミットは、三年間の事業の集大成として開いたもの。生徒実行委員会が運営を担当。研究指定校の児童生徒、担当教員、関係者合わせて百七十四人が参加した。

 開会あいさつでは、道教委の柴田達夫教育長が登壇。「皆さんから地域の素晴らしい様子を聞かせていただき、私の北海道自慢に加えさせてほしい」と期待した。会場の様子をインターネットを通して外部発信することから「道外の多くの方に皆さんの発表を聞いてもらい、地域、北海道に興味を抱いた人々がいつの日か北海道に訪れてくれることを心から期待したい。また、皆さんの記憶に残る大切な時間となってほしい」と述べた。

 生徒実行委員会代表を務める北広島西高三年の橋本知歩美さんは「今後、ふるさとが発展するために何をすべきか、あらためて考えるきっかけとなるよう準備を進めてきた」とあいさつし、サミット成功に向けて協力を呼びかけた。

◆管内ごとに成果発表

 成果報告会では、十四管内を四グループに分けて発表。グループごとに質疑応答、意見交換を行ったあと、休憩時間に発表を終えた生徒が、取組の成果や地域の魅力を伝えるブースで説明を行った。

 後志管内の発表では、寿都町立寿都小学校、寿都町立潮路小学校、寿都町立寿都中学校、寿都高校の児童生徒が発表。導入部分を英語で語り、外国人との交流や英語での接客・販売体験、ハロウィンと食をリンクさせた「ハロ飯フェス」の取組などを伝えた。寿都高の生徒は「小さいころから慣れ親しんだ英語を活用し、寿都の良さを発信していきたい」と語った。

 桧山管内せたな町の北桧山小学校、北桧山中学校、桧山北高校の児童生徒は、自然体験や職場体験、小中高で協力して製作した桧山の魅力を紹介する情報誌『ひやまWarker』について発表した。

 宗谷管内では、利尻高校の生徒が小中高で連携して行った「キッズビジネスタウンりしり」での接客・販売活動、商品開発やPR動画の作成を紹介。ビデオメッセージで小・中学校の児童生徒の取組、感想を伝え「大好きな利尻島の発展に向けて、今後も努力していきたい」と意気込みを述べていた。

 十勝管内では、大樹高校の生徒が宇宙に関連した学習内容を発表。小・中学校での傘袋ロケット、ペットボトルロケットの制作、高校でのJAXAスペーススクールへの参加、多目的航空講演での星空観察会、町および町議会の協力して実施した高校生議会での発信の取組を伝えた。

 意見交換では「卒業した人間が地域から出て、地域の元気がなくなっていく理由は何か」「北海道の人口が年々減少している原因は」「北海道の働き手を増やすにはどうすればよいか」などをテーマに協議。参加者から「まず、北海道で働くメリットを考えることが大切。そのために、北海道のことを理解しなくてはならない」などの意見が出された。

 地域の活性化に向けた施設、設備に対する要望では、地元の生産物や特産品を販売する大型ショッピングセンター、他地域から訪れた人々と交流できる宿舎施設、サイクリストを対象とする休憩施設の整備や、クルージング施設の増設を求める声などが挙がった。

 このあと、道PTA連合会の青田基会長、北海道大学高等教育推進機構の亀野淳准教授が講評。青田会長は「キャリア教育は職業をみつける教育だけではなく、生き方を考える教育。自分の生き方を自分でデザインできる人間になってほしい」と述べ、卒業後に故郷を離れたあとも、愛郷心を忘れないよう呼びかけた。

 最後に、道教委高校教育課の山本明敏課長があいさつ。北海道の人口減少の課題に関して「ふるさとを思い、愛する気持ちが地域を支えていく」と述べ「自然や産業、人々の魅力を積極的に発信し、地域のために何ができるかを考えてほしい」と呼びかけた。また、事業が終了したあとも、これまでの取組が継続・充実し、他地域にも普及することに期待した。

(道・道教委 2017-11-02付)

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