30年度後志管内教育推進の重点―後志局小・中学校長会議 常に改善する意識を 資質・能力伸ばす教育の推進(道・道教委 2018-04-13付)
原局長は、校長のリーダーシップ発揮を求めた
【倶知安発】後志教育局の原光宏局長は十二日、後志合同庁舎で開催した三十年度管内公立小・中学校長会議で管内教育推進の重点を説明した。「社会で活きる力の育成」「豊かな人間性と健やかな体の育成」「学びを支える家庭・地域との連携・協働」「学びをつなぐ学校づくりの実現」「学びを活かす地域社会の実現」の五点を柱とする重点と、重点的に取り組む事項を提示。「学校のあるべき姿をとらえ、常に改善しようとする課題意識をもって、最高責任者としてのリーダーシップを存分に発揮していただきたい」と要請した。
管内教育推進の重点はつぎのとおり。
【はじめに】
道教委では、ことし二月、本年度の教育行政執行方針を策定、公表した。教育局としても、教育行政執行方針に沿って、その中に掲げられた施策の推進に全力で取り組んでいく。
加えて、二十九年度の当管内における課題などを踏まえ、三十年度管内教育推進の重点を定めたので、その概要について説明する。
【管内教育推進の重点】
▼「Ⅰ・社会で活きる力の育成」について
教育行政執行方針では、子どもたちがこれからの時代を生き抜く力を身に付けるためには、各学校がよりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという目標を社会と共有し、必要な資質や能力を社会との連携・協働によって育成する社会に開かれた教育課程の理念を踏まえ、主体的・対話的で深い学びの視点に基づく授業改善を進めるとともに、教育効果を高めるカリキュラム・マネジメントを実践することが重要であることが示されている。
このため、教育局としては、つぎの二点について重点的に取り組んでいく。
▽一人一人(原文まま)の資質・能力を伸ばす教育活動の推進
重点1は「一人一人(原文まま)の資質・能力を伸ばす教育活動の推進」。各学校においては、新学習指導要領の趣旨を踏まえた教育課程を編成・実施するとともに、全国学力・学習状況調査等を活用したカリキュラム・マネジメントを確立していただきたいと考えている。
「新学習指導要領の趣旨を踏まえた教育課程の編成・実施」については、社会に開かれた教育課程の実現に向けたグランド・デザインや年間指導計画などの地域への情報発信や、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善などを推進していただくようお願いする。
「全国学力・学習状況調査等を活用したカリキュラム・マネジメントの確立」については、全国学力・学習状況調査や各種学力検査などの結果分析に基づいた学力向上にかかる取組の改善や、授業冒頭で目標を示したり、最後に振り返ったりする活動の位置付け、自分の考えを発表するなどの言語活動の充実などに取り組んでいただくようお願いする。
▽一貫した支援を目指した特別支援教育の充実
重点2は「一貫した支援を目指した特別支援教育の充実」。各学校においては、個別の教育支援計画および個別の指導計画に基づく支援の充実を図っていただきたいと考えている。
個別の教育支援計画・個別の指導計画の作成と校内における情報共有や関係機関との協議などにおける活用、校種間連携による情報共有や引き継ぎなどの充実、教室の前面掲示の簡素化など教室環境のユニバーサルデザイン化を図っていただきたいと考えている。
以上、第一の柱「社会で活きる力の育成」について申し上げたが、教育局としては、重点1にかかわっては、新学習指導要領の理念などに基づく教育課程の編成・実施に向けた指導助言や、新たな指導資料や視聴覚資料の作成および活用に向けた指導助言などを、重点2にかかわっては、各市町村や学校が主体となった特別支援教育にかかる研修会などへの支援や、保健福祉部局と連携した発達障がい支援成果普及事業の推進および成果の普及などに取り組み、子どもたちが、変化の激しいこれからの社会を生き抜くための基盤となる力をしっかりと身に付けることができるよう支援していく。
▼「Ⅱ・豊かな人間性と健やかな体の育成」について
教育行政執行方針では、子どもたちの健やかな成長のためには、豊かな情操や道徳心、正義感、責任感、規範意識、他者への思いやりや自己肯定感などを育むとともに、充実した人生を送るための基盤となる健康の保持増進や体力の向上が重要であると示されている。
このため、教育局としては、つぎの三点について重点的に取り組んでいく。
▽豊かな心を育成する道徳教育の充実
重点1は「豊かな心を育成する道徳教育の充実」。各学校においては、道徳教育を充実させるとともに、ふるさとへの愛着を深める教育や子どもの読書活動を推進してもらいたいと考えている。
「道徳教育の充実」については、新学習指導要領の趣旨を踏まえた道徳教育の全体計画の「別葉」の作成・見直しや、道徳の授業の家庭や地域への公開などを推進していただくようお願いする。
「ふるさとへの愛着を深める教育の推進」については、地域の自然や文化・観光・産業などの教育資源を活用した学習や、北方領土やアイヌの人たちの歴史や文化などに関する施設や人材を活用した体験学習などを充実してもらうようお願いする。
「子どもの読書活動の推進」については、地域のボランティアを活用した読み聞かせや児童生徒の自主的な取組によるブックトークなど豊かな心や人間性を育む読書活動や、各教科や道徳科の授業における学校図書館を活用した学習などを充実させるようお願いする。
▽いじめ・不登校等への取組の充実
重点2は「いじめ・不登校等への取組の充実」。各学校においては、いじめの未然防止、早期発見・早期対応に努めるとともに、不登校児童生徒への支援を充実させてもらいたいと考えている。
「いじめの未然防止、早期発見・早期対応」については、ことし二月に改定した北海道いじめ防止基本方針などを踏まえた学校いじめ防止基本方針等の点検・見直しや、基本方針を踏まえた適切ないじめの実態把握と早期発見、早期対応などに取り組んでもらうようお願いする。
▽健やかな体を育成する体育・健康に関する指導の充実
重点3は「健やかな体を育成する体育・健康に関する指導の充実」。各学校においては、全国体力・運動能力、運動習慣等調査を活用した体力向上の取組を推進するとともに、学校や地域の実情に応じた健康教育、安全教育を推進してもらいたいと考えている。
「全国体力・運動能力、運動習慣等調査を活用した体力向上の取組の推進」については、調査結果の分析に基づく体育授業の改善や、家庭や地域との連携による運動機会の確保などに取り組んでもらうようお願いする。
「健康教育、安全教育の推進」については、学校保健委員会の設置およびその活用、通学路安全マップを活用した指導の充実などに取り組んでもらうようお願いする。
以上、第二の柱「豊かな人間性と健やかな体の育成」について申し上げたが、教育局としては、重点1にかかわっては、道徳科の円滑な実施に向けた指導助言の充実や、人権教室の実施や全体計画の作成などを、重点2にかかわっては、いじめ問題等対策連絡協議会の重点に基づく市町村・学校への支援などを、重点3にかかわっては、新体力テストの全学年での実施や市町村における通学路交通安全プログラムの策定に向けた指導助言などに取り組み、子どもたちが豊かな心をもち、心身ともに健康に過ごすことができるよう、支援していく。
▼「Ⅲ・学びを支える家庭・地域との連携・協働」について
教育行政執行方針では子どもたちが、様々な人々とかかわり、多様な経験を重ねながら、たくましく成長していくためには、学校はもとより、家庭や地域社会が教育の場として十分な機能を発揮することが重要であることが示されている。
このため、教育局としては、つぎの二点について重点的に取り組んでいく。
▽家庭の教育力の向上
重点1は「家庭の教育力の向上」。各学校や市町村教委においては、保護者が家庭教育について学ぶ機会を充実させるとともに、家庭の教育力によって、子どもの〝望ましい生活習慣〟を定着させてもらいたいと考えている。
「保護者が家庭教育について学ぶ機会の充実」については、関係機関などとの連携による家庭教育支援や子育てに関する学習・相談機会の提供などに取り組んでもらうようお願いする。
「家庭の教育力による子どもの〝望ましい生活習慣〟の定着」については、生活リズムチェックシートなどの活用や、PTAなどと連携した研修会や学習会などの取組による家庭学習の充実などに取り組んでもらうようお願いする。
▽地域の教育力の向上
重点2は「地域の教育力の向上」。各学校や市町村教委においては、学校・家庭・地域の連携の充実や、学生や地域住民による学習・体験活動支援を推進してもらいたいと考えている。
「学校・家庭・地域の連携の充実」については、コミュニティ・スクールや地域学校協働活動などを積極的に導入・充実してもらうようお願いする。
「学生や地域住民による学習・体験活動支援の推進」については、子どもたちの活動をサポートする人材の育成や、ボランティアなどの活用による補充的な学習等の充実などに取り組んでもらうようお願いする。
以上、第三の柱「学びを支える家庭・地域との連携・協働」について申し上げたが、教育局としては、重点1にかかわっては、家庭教育支援者の養成および研修機会の充実などを、重点2にかかわっては、家庭教育サポート企業の拡充と連携強化や、市町村のPTAと連携した子どもの学力・生活習慣改善研修会の開催などに取り組み、各学校や市町村教委が家庭や地域との連携を図りながら、子どもたちを守り育てていくことができるよう支援していく。
▼「Ⅳ・学びをつなぐ学校づくりの実現」ついて
教育行政執行方針では、学校が保護者や地域住民の期待に応え、子どもたち一人ひとりの力を最大限に伸ばすためには、幼稚園・小学校・中学校・高校の各学校段階間の連携・接続を図りながら、管理職がリーダーシップを発揮して学校運営に当たるとともに、教職員がそれぞれの力を発揮できる環境づくりが重要であることが示されている。
このため、教育局としては、つぎの二点について重点的に取り組んでいく。
▽学校間の連携・接続
重点1は「学校間の連携・接続」。各学校においては、地域の実情に応じた学校間連携を推進するとともに、幼児期の教育との接続および低学年における教育活動の充実に向けた取組を推進してもらいたいと考えている。
「地域の実情に応じた学校間連携の取組の推進」については、同一中学校区内で教育目標や育成を目指す子ども像などを共有する取組や、九年間の系統的・継続的な教育を行うための教育課程の編成・実施などを推進してもらうようお願いする。
「幼児期の教育との接続および低学年における教育活動の充実」については、子どもの実態を踏まえた時間割の工夫や生活科を中心に合科的・関連的な指導の充実を図るスタートカリキュラムの編成・実施や、幼稚園などと小学校との引き継ぎの充実などに取り組んでもらうようお願いする。
▽教職員の能力が発揮できる環境づくり
重点2は「教職員の能力が発揮できる環境づくり」。各学校や市町村教委においては、働き方改革の推進をはじめ、教職員の指導力の向上、服務規律の徹底を確実に行ってもらいたいと考えている。
「働き方改革の推進」については、部活動休養日などの完全実施や定時退勤日、学校閉庁日の検討などに取り組んでもらうようお願いする。
「教職員の指導力の向上」については、ミドルリーダーを中心としたメンター研修や、ワークショップ型の校内研修などに取り組んでもらうようお願いする。
「服務規律の徹底」については、飲酒運転、その他交通違反・事故の根絶や、体罰などの不祥事防止に向けた研修の充実などに取り組んでもらうようお願いする。
以上、第四の柱「学びをつなぐ学校づくりの実現」について申し上げたが、教育局としては、重点1にかかわっては、小中一貫教育支援事業の推進および成果の普及や、幼児教育を語る会、幼児教育相談員派遣事業の実施などを、重点2にかかわっては、学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」の周知および市町村の取組への支援、校外研修の成果を還元する場を位置付けた校内研修の実施に向けた指導助言などに取り組み、各学校が保護者や地域住民の期待に応え、各学校段階間の連携・接続を図りながら、教職員がそれぞれの力を発揮できる環境づくりができるよう支援していく。
▼「Ⅴ・学びを活かす地域社会の実現」について
五つ目の柱について、教育行政執行方針では、道民の潤いある生活と活力ある地域づくりを推進するためには、生涯を通じて積極的に学び、その成果を生かせる環境をつくることが重要であることが示されている。
このため、教育局としては、つぎの二点について重点的に取り組んでいく。
なお、これらの重点については、主に各市町村教委に対して推進してもらいたい事柄ではあるが、校長には内容を理解して、学校経営の改善・充実に役立ててもらうようお願いする。
▽学びの環境の整備
重点1は「学びの環境の整備」。市町村教委においては、地域住民の多様な学習活動への支援を推進してもらいたいと考えている。
各種関係団体との連携や、住民を対象とした各種講座などの学習機会の拡充、住民向け講座の情報提供などに取り組んでもらうようお願いする。
▽芸術文化活動の促進
重点2は「芸術文化活動の促進」。市町村教委においては、芸術文化に接する機会の充実や、文化財などの理解を深める機会の充実などに取り組んでもらいたいと考えている。
「芸術文化に接する機会の充実」については、音楽や演劇など芸術文化に親しむ機会の充実や、多彩なテーマの展覧会や鑑賞会など芸術文化にふれる機会の提供などに取り組んでもらうようお願いする。
「文化財等に理解を深める機会の充実」については、文化財の調査・保存・活用や日本遺産登録に向けた取組などを推進してもらうようお願いする。
以上、第五の柱「学びを活かす地域社会の実現」について申し上げたが、教育局としては、重点1にかかわって、公民館や図書館、青少年教育施設等の機能充実に向けた指導・助言や、市町村における地域住民を対象とした事業や研修への支援など、重点2にかかわっては、道民カレッジ連携講座の拡充や北海道百五十年事業など各市町村が、地域住民に対し、生涯にわたって学ぶ機会を提供することができるよう支援していく。
【むすびに】
以上、本年度の管内教育推進の重点について申し上げた。
学校には、保護者や地域から大きな期待が寄せられており、その信頼に応えるため、教育に直接携わる教職員一人ひとりが子どもたちの手本となれる倫理観や使命感、専門性を高めていく必要がある。
さらには、個々の教員の指導力に委ねることなく、教員同士がつながり、支え合う学校組織としての総合力をもって、教育活動を展開する指導体制の構築など、深く信頼される集団としての学校づくりも求められている。そのため、校長には、自校の校風や伝統を大切にしつつも、学校のあるべき姿をとらえ、常に改善しようとする課題意識をもって、学校経営の最高責任者としてのリーダーシップを存分に発揮してもらいたい。
教育局としても、管内教育推進の重点に基づき、管内教育のさらなる充実に向けて、確かな成果を目指す実効性の高い教育を推進していきたいと考えているので、引き続き、皆さんの理解と変わらぬ協力をお願いする。
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(道・道教委 2018-04-13付)
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