【伝えたい!授業づくりの基礎・基本Ⅱ】№44小学校特別活動編④北海道特別活動研究会(小村淳会長)オホーツク管内特別活動研究会(保科浩則会長)クラブ活動指導のポイント
(伝えたい!授業づくりの基礎・基本 2018-12-14付)

伝えたい北特活クラブ活動
クラブ活動の連絡用ホワイトボードを活用する

◆全校や地域向けに成果発表し活動意欲を

ポイント1 クラブ活動で育てたい資質・能力を確認する

 クラブ活動の目標は、学習指導要領第6章の第2に「異学年の児童同士で協力し、共通の興味・関心を追求する集団活動の計画を立てて運営することに自主的・実践的に取り組むことを通して、個性の伸長を図りながら、第1の目標に掲げる資質・能力を育成することを目指す」と示されている。児童が、計画や運営に自主的・実践的に取り組むことや共通の興味・関心を追求することが、個性の伸長につながる。

 また、育てる資質・能力は、①同好による集団活動の意義を理解し、活動の仕方が身に付くこと②課題を見いだし、話合いによる合意形成や意思決定を行うことができるようにすること③身に付けたことを生かして人間関係をよりよく形成するとともに、自分のよさや可能性を生かそうとする態度を養うことがあげられる。これらを確認した上で、児童への指導を行う。

ポイント2 組織づくりでは希望を配慮し、活動の計画や運営では学習過程を意識する

 クラブの組織づくりでは、児童が個々の興味・関心によって集うことができるような仕組みをつくることである。児童が自主的・実践的に取り組むことができるよう、教師が児童に事前にアンケートを取り、グループ分けをするなどして、児童の希望が尊重されるよう配慮する。

 また、クラブ活動の計画や運営では、学習過程を意識した取組となるように指導することである。

 まず、クラブに所属した児童が話し合い、具体的な計画を立てていく。その際に、前年度の活動計画をまとめたファイルを参考にしながら行うと、児童が見通しをもちやすい。計画で気を付けることは、クラブ活動は自治的な活動であると教師が意識することである。実験クラブで使用する薬品は小学生が安全に使えるものか、家庭科で行わない揚げ物や生肉・生魚の調理を料理クラブで行おうとしていないかなど自治的な活動の範囲内か確認し、教師の適切な指導の下に計画を立てさせる。

 また、運営面では児童自身で運営できるような工夫をすることである。「準備・片づけ・連絡など運営の中心となる輪番制の担当者を決める」「活動計画を児童の目に付きやすい場所に掲示する」「持ち物や集合場所、活動内容などが書き込める連絡用のホワイトボードを用意する」などの方法がある。

 本校では児童が見通しをもち、次時の活動を楽しみにする姿が増えるなど、より意欲的に活動するようになった。

ポイント3 教え合いや相談等で活動を楽しむ

 クラブ活動は、活動計画に基づき、協力・創意工夫することによって活動を楽しみ、その活動を振り返り、次の時間に生かす場である。どのクラブでも基本的な活動の流れを毎時間同じにすることで、児童が見通しをもって取り組むことができる。

 例えば、①部長挨拶②活動内容とめあての確認③準備④活動⑤片付け⑥振り返り⑦次回の内容・担当者の確認⑧部長挨拶などとするとよい。

 「クラブを楽しむ時間」は、クラブ活動全体の中で、最も多くの時間があてられる。そのため、活動をする中で発達段階や経験の違いを生かし、教え合ったり相談したりする機会を積極的に設け、活動をより楽しいものにする。また、活動の中で見いだした課題について話し合い、さらに楽しめるよう、役割やルール・実施方法などの活動の仕方を改善していくことも効果的である。

 振り返りでは、自己の振り返りと共に、相互評価も適切に行う。異年齢で構成される同好の集団活動だからこそ見えてくる相手のよさや頑張りを伝え合うことで、自分の新たな一面を見つけることができる。教師は、振り返りが次時のクラブ活動や日常生活に生かされるよう、クラブ活動の目標に正対するだけでなく、どんな資質・能力が育まれたのかを意識して助言し、児童の意欲付けをする。

 さらに、キャリア・パスポートを活用して、活動の成果を蓄積していくことも大切である。振り返りや教師の助言を行うことで、児童がよりクラブ活動のめあてを意識して取り組むようになってくる。

ポイント4 クラブの成果発表の場を設定し、意欲を高める

 共通の興味・関心を追求した成果を発表する場を設定することも児童の活動意欲を高める上で重要である。その発表の相手は、全校児童や地域の方などがよい。

 例えば、「クラブ発表会」では、各クラブで計画を立て、全校児童の前でどのような活動をしたのか発表する。第4学年以上の児童は、活動をしていく中でどのような学びがあったのか、何が得意かなど、自らの学びを客観視することで、次年度のクラブ活動や学校生活への意欲が高まる場となる。次年度からクラブ活動に参加する第3学年の児童にとってはオリエンテーションの場、第1・2学年の児童にとっては学校生活への見通しがもてる場であり、高学年へのあこがれを強める場ともなるのである。

(オホーツク特別活動研究会 興部町立沙留小学校 教諭 貝沼美智)

※次回は、北海道社会科教育研究会①地理的分野を掲載します。

(伝えたい!授業づくりの基礎・基本 2018-12-14付)

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