【特別連載】かかわりが難しい児童生徒への対応№15 具体的説明で理解促す 距離を縮め丁寧な対応を(かかわりが難しい児童生徒への対応 2019-09-13付)
◆かかわりが難しい生徒はグループ活動が苦手?
「主体的・対話的で深い学び」を推進するため、高校では学習指導要領が改訂され、各高校でも生徒同士がグループで学習する機会が多くなります。しかし、かかわりが難しい生徒の中には、その場の空気を読むのが苦手で、話題に沿った発言をすることができない。さらに、相手の発言をさえぎり、割り込んで発言してしまう、自分のペースで勝手に学習を進めるなど、グループのメンバーと歩調を合わせ協力して、学習課題の解決を図ることが苦手な生徒がいます。
グループ学習で活動をする場合は、前もってどのように協力し活動するのか、グループのメンバーが全員公平に発言するため、1人の発言時間は2分で、発表の仕方は結論を先に述べ、説明はそのあとに行うようにするなど、活動のルールや発表の仕方を前もって説明することが大切です。
同様に、授業中指名されるとフリーズしてしまう生徒もいます。
しかし、その生徒だけを飛ばし、つぎの生徒を指名するのは問題が生じます。その生徒は、発言そのものに抵抗があるのではなく、急な指名に対応できなかったり、周りの視線が刺さるように感じたりするためであり、決して発言を拒否しているわけではありません。
この場合、「きょうはこのグループの前から順番に発言をしてもらいます。内容は○○についてです」。さらに、「つぎに○○君の発言の順番なので、準備をしてください」と前もって説明すると、ほかの生徒は発言できても自分はできないなど劣等感をもたせることがなく、授業への参加意識を保つことができます。
◆読解ができない生徒への対応
数学ができても、国語の和歌や漢文、詩などの韻文や読解文書が苦手な生徒がいます。
そのような生徒の中には、書かれている字義どおりにしか文書を読むことができず、比喩的な表現や抽象的な表現への理解は困難となります。
こうした生徒の場合、一人で文書を読ませるのではなく、登場人物ごとに数名で役割を決めて読み合うなど読むところを区切り分担し、書かれている内容を交流し合うと理解に近づくことがあります。
しかし、韻文関係は読解以上に難しさを感じますので、表記上の約束(韻、比喩など)の意味を理解させ、作者の思いや心情などを知らせるようにするとよいと思います。
◆距離感を保てない生徒への対応
生徒の中には、人との距離感をつかむことができず、突如話に割って顔をのぞき込むように話をしたり、興味のある女子生徒に対して相手の状況をかまわず自分の距離間のままに接したりして、つきまといなどトラブルとなってしまうこともあります。
悪気があっての行動ではありませんが、相手の状況を推し量ることが苦手なのです。
トラブルにならないためには、
・女子と話をするときには、1㍍以上離れて話す
・話しかけるときには前もって「今いいですか」と了解を得る
・あとをつけたりしない
など、一方的に押し付けるのではなく、生徒の言い分を聞きながら具体的に説明し理解させることが必要です。
◆生徒の側に立つ教師
学校によって違いますが、高校は中学校と違い、担任と生徒の距離感は近くなく、教師の支援を必要としているかかわりの難しい生徒にとってみると、大きな戸惑いとなり、混乱につながります。
日常的にコミュニケーションを図り、距離を縮めながら、生徒の側に立った丁寧なかかわりで、安心して学校生活を送ることができるようになります。
(北海道医療大学非常勤講師・石垣則昭)
(かかわりが難しい児童生徒への対応 2019-09-13付)
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