青少年山の家にヒグマ　宿泊学習中止　行事開催へ各校が創意工夫　札幌市富丘小は校内宿泊に変更

（学校 2020-09-24付）

野外学習の振り返りも実施した

　８月下旬、札幌市青少年山の家周辺にヒグマが出没したことで、市内の小学校８校で宿泊的行事の中止を余儀なくされた。こうした中、札幌市立富丘小学校（木村大輔校長）では、急きょ校内宿泊に変更し、開催にこぎつけた。コロナ禍による教育課程の変更で、各種行事が延期や中止に追い込まれる中、教育現場に児童たちの笑顔を取り戻そうと、教職員が知恵を出し合った。

市立小学校の宿泊的行事は例年、５年生を対象に通年で行われている。しかし、本年度は新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向け、６月ころまで臨時休業が続いた。市教委は、通知「教育課程再編成のガイドライン」を発出し、集団宿泊的行事などについては６月と７月の実施は見合わせるよう求め、各校は８月以降の日程に調整した。

　８月下旬には、札幌市青少年山の家に所在する国営滝野すずらん丘陵公園内でヒグマの出没が確認され、調査実施のため当面の間、臨時閉園となった。

　これに伴い、８月下旬から９月上旬にかけての宿泊的行事を予定していた８校が、開催中止を余儀なくされた。

　前年度の宿泊的行事も、同様にヒグマの出没で急きょ中止に追い込まれた富丘小では、８～９日にかけての校内宿泊的行事に変更しての開催を検討。近隣での体験をできる限り盛り込むことができるよう、教職員が迅速に変更案を練り上げ、調整に奔走した。

　初日は、北広島レクリエーションの森でハイキングやアスレチックを体験したほか、小樽水族館を見学した。帰校後は、近隣の銭湯で入浴。感染症予防の観点から、２グループで１０分ごとに行動した。

　校内では、レクリエーションとして肝試しを実施。教職員だけでなく木村校長も幽霊役に徹し、夜の音楽室や理科室で児童を驚かすなど、夜の校内に悲鳴や歓声が響きわたった。

　２日目は活動の振り返りやクイズ大会を実施。保護者からは「子どもが楽しかったと笑顔で帰ってきた」と感謝の言葉が寄せられた。

　木村校長は「昨年、急きょ中止となった際は、子どもたちの沈んだ表情にやるせない気持ちになった。しかし、今回の経験によって、宿泊的行事の選択肢が増えた。教職員が主体的に動いてくれたおかげ」と話していた。

　なお、札幌市立太平南小学校（石川篤司校長）など数校でも、９月上旬に予定していた青少年山の家での宿泊的行事を変更。１０月１６・１７日の２日間、校内宿泊を実施する。

(学校 2020-09-24付)