教職員の協力を高める学校づくり〈No.56〉 注意、指摘の仕方とは 職員室の心理学 7(教職員の協力を高める学校づくり 2020-12-18付)
社会問題として「ハラスメント」が取り上げられるようになり、注意、指摘が難しい時代になってきたと管理職や経験豊かな教職員から聞かされます。
「目につくことがあるけれど、言わないほうがいい。もし言って相手に受け入れてもらえないばかりか、ハラスメントと言われても仕方がないので、言わないようにしている」、また、「私が若いころは、厳しく注意、指摘を受けてきたものです」という方もいました。
この時代、どのように話すと注意や指摘を受け入れてくれるのでしょうか。コミュニケーション心理では、あらゆる人間関係の問題は、謙虚・尊敬・信頼が欠けていることによって生じるとしています。しかし、謙虚・尊敬・信頼と漠然と言われても、どのようにすることがよいのかが必要です。
つぎに挙げる4つによって説明します。
①追及ではなく、一緒に考える姿勢をもつ
注意、指摘とは、一方的な物言いの印象を受けますが、相手に受け入れてもらうためには、双方向のコミュニケーションが必要です。
「〇〇について、どうしてそうしたのか」では追及となり、自分が否定されたと思い、相手は心を閉ざし、感情を害する場合があります。
そこで、「〇〇は、どうなったの」と質問調で話を聴くようにします。質問調は相手を追い詰めることなく話をしてくれることにつながります。
②相手の話を最後までよく聴く
質問調で聴くことによって、相手は話しやすくなりますが、考え方が間違っているなど、途中で話をさえぎったりしないようにします。
相手の相談を最後まで聴くことによって、どのような理由でそうなったのか理解しやすくなります。また、相手も、自分の問題が明確化され自己反省を促すことができます。
特に注意したいのは、本人も問題があったと反省しているのにもかかわらず、「何をしているんだ」などの発言で本人を追い詰めることです。これでは、心の傷をさらに広げる結果となります。
③注意、指摘は目的をもち感情的にならない
何のための注意、指摘か、まず考えてください。決して相手を論破することを目的にしてはいないはずです。
弁解、弁明が多いので、つい、厳しく対応したと反省を述べられる方がいますが、弁解、弁明は自分に問題があると感じていても、それを受け入れることができていない状況にあると理解してください。
「お話を聴きましたが、どのようにしていきますか」と尋ね、自分と向き合うようにさせます。
④相手を肯定する枕詞をつけ、自分の意見を伝える
最後に、「〇〇さん、日ごろから〇〇についてよく努力していただき、ありがとうございます」など、ネガティブに包まれている相手には肯定的な枕詞を述べるようにします。
その後、「〇〇はよくない」「〇〇は駄目だ」と伝えるのではなく、「私が〇〇さんに言えることを話していいですか」と尋ね、相手の了解のもと、「〇〇は、〇〇のように考えるとよかったと思うよ」など、人格を否定するような言い方ではなく、「考え」を変えさせるように促します。
(北海道文教大学人間科学部子ども発達学科教授・石垣則昭)
(教職員の協力を高める学校づくり 2020-12-18付)
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