第3回全道代表高校長研 道教委所管事項・下 ヤングケアラー特性理解を ワクチン差別起きないよう指導(道・道教委 2021-10-13付)
◆健康・体育課
【新型コロナウイルス感染症への対応】
▼新型コロナワクチン
現在、12歳以上の新型コロナワクチン接種について自治体によって実施の有無が分かれている。9月16日付で道保健福祉部などと連名で、各市町村長および各市町村教委教育長あてに入学者選抜の受検を控えた高校生等が安心して試験に臨むことができるよう、接種を希望する生徒への優先的なワクチン接種について積極的に検討いただきたいと依頼した。
各学校においては、9月10日付教健体第608号に示したとおり、ワクチン接種を希望する生徒が接種しやすい環境をつくるため、生徒および保護者に対し、ワクチン接種に関する正しい理解の促進を促すとともに、ワクチンを受けるまたは受けないことによって差別やいじめなどが起きることのないよう適切な指導をお願いする。
▼感染者等に対する差別・偏見の防止
これまでも、日常から新型コロナウイルス感染症に関する差別・偏見について指導していただいているが、現在も、感染者に対するSNSなどによる間違った情報の拡散や誹謗中傷などの問題が起きている。
各学校においては、8月13日付教健体第498号通知で配布した教職員向けリーフレットに記載した教材等を活用し、誰の中にもある不安や防衛本能が差別・偏見等につながることなどについてあらためて指導いただくようお願いする。
▼部活動や大会への参加等
部活動や大会への参加等における感染症対策の徹底については、これまでも各通知等に基づき取り組んでいただいている。今夏、道内において、高校生のスポーツ大会や部活動の合同練習での集団感染が複数発生したことから、部活動や大会への参加等に当たっては、各通知などを参考に、感染症対策のより一層の徹底を図るようお願いする。
◆生徒指導・学校安全課
【生徒指導】
▼いじめ問題への対応
▽いじめ防止対策推進法等に基づくいじめに関する対応
9月22日付教生学第571号通知に示された別添写しの内容を踏まえ、いじめ防止対策推進法やいじめの防止等のための基本的な方針、いじめの重大事態の調査に関するガイドライン等に基づきながら、一層適切な対応に努めること。
▽いじめの把握のためのアンケート調査(第2回:10月から11月上旬)
アンケートの実施に当たっては、つぎの点に留意するなどして、すべての生徒が安心して回答できる環境づくりに努めること。
▽留意点
①生徒の机の間隔を十分とり、机を整頓してから回答させる
②調査実施前に、目的を丁寧に説明してから回答開始を指示する(教室全体が、落ち着いて回答できる状態になってから回答開始を指示)
③調査票は、生徒に回収させたり、手渡しで回収させたりはせず、教員が個別に回収するなど配慮する
調査結果は11月19日までに教育局に報告願う。調査実施後は、速やかに関係生徒に対する個人面談などを行うこと。
いじめを見逃すことがないよう、個人面談などの実施後、管理職を含めた学校いじめ対策組織においてアンケートの結果や個人面談の結果などをもとに組織的に対応すること。
▽いじめの解消に向けた組織的な取組
いじめの加害と被害、双方への対応が適切に行われていないという問い合わせが当課に寄せられている。学校は、指導方針などについて関係生徒保護者に丁寧に説明し、理解を得るとともに、学校いじめ対策組織を中心として適切な対応を行うようお願いする。
▽指導記録の保管
いじめ事案などにかかわる指導資料の開示を請求されるケースが考えられることから、適切に記録を残すとともに、文書の保存期間を確認の上、確実に保存すること。
▽学校いじめ防止基本方針の見直し
道いじめ防止基本方針に示されているとおり、学校いじめ防止基本方針を見直す際には、いじめの防止などに関する考え方を共有しながら、学校の取組を円滑に進めていくため、保護者、地域住民、関係機関等の参画を得て進めていただきたい。
また、学校全体でいじめの防止等に取り組むため、アンケートや協議の場を設けるなどして生徒の意見も取り入れ、より分かりやすい基本方針になるよう努めていただきたい。
▼校則の見直し
これまでも学校を取り巻く社会環境や生徒の状況が変化するため、校則の内容は、生徒の実情、保護者の考え方、地域の状況、社会の常識、時代の進展などを踏まえたものになっているか、絶えず積極的に見直すようお願いしてきた。
9月17日付事務連絡で示した別添資料を活用するなどして、引き続き校則の見直しなどに取り組むようお願いする。
▼ヤングケアラー
支援が必要であっても、表面化しにくい構造であることが課題として指摘されており、ヤングケアラーを早期に発見し、福祉などの機関による適切な支援につなげていくことが重要である。
各学校においては、すべての教職員がヤングケアラーの特性などを理解し、生徒や保護者の状況を適切に把握するとともに、必要に応じてスクールソーシャルワーカーや関係機関などと連携して対応に当たることが重要である。
▼SOSの出し方に関する教育の推進
これまでも各学校や地域の実情を踏まえつつ、各教科等の授業の一環として、SOSの出し方に関する教育を少なくとも年1回実施するなど、積極的に推進するようお願いしてきた。
平成30年3月に作成・配布した児童生徒の自殺を予防するためのプログラムの第2章において、援助希求的態度の育成およびストレス対処能力の育成に関する指導案や実践例を示している。各学校で指導する際に参考にするとともに、市町村の自殺対策主管部局と緊密に連携し、保健師、社会福祉士、民生委員なども積極的に活用いただきたい。
令和2年9月10日付事務連絡によって、研修資料『子どものSOSに気付くために』を配布した。校内の教育相談体制のチェックリストを活用するなどして、各学校における教育相談体制の見直しを進めていただきたい。
全国的にコロナ禍における児童生徒の自殺者数は増加傾向にあり、特に女子高校生の自殺者は増加しており、SOSの出し方に関する教育を含む自殺予防教育による援助希求的態度の育成、相談体制などの整備に加え、ハイリスクな生徒の早期発見・対応に資するICTの活用も重要である。
▼性的マイノリティーに関する調査
誰もが自分らしく生きられる社会づくりを進めるため、学校においては、教職員が性的マイノリティーに対する理解を深め、配慮が必要な生徒への適切な支援や、周囲の生徒への必要な指導を組織的に行うことが重要である。
道教委では、学校の実情に応じた支援を行うため、本年度、各学校での性的マイノリティーとされる生徒への支援や相談体制などの取組を状況把握することを検討している。調査実施の際は協力願う。
▼児童虐待に対する適切な対応
児童虐待対応については、2年7月1日付教生学第202号通知において、国の手引きなどを活用した対応などについてお願いをした。
2年8月19日付事務連絡で、児童虐待対応にかかわる資料を送付している。児童虐待の対応事例の中には、学校が通告を迷い対応が遅れるケースや一時保護期間中の指導要録上の出席の取扱いが適切ではないケースが散見される。資料を確実に活用し、児童虐待が発生した場合の対応を再度、確認いただきたい。
▼不登校生徒への支援
不登校生徒への支援に当たり、魅力あるよりよい学校づくりや生徒の学習状況等に応じた指導・配慮が重要である。
生徒の社会的自立を目指して、組織的・計画的な支援や民間の団体との連携による支援を実施するほか、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、関係機関との連携による教育相談体制など、個々の不登校生徒の状況に応じた必要な支援を進めていただきたい。
新型コロナウイルス感染症への感染不安を理由に登校しない生徒について、学校での感染防止対策について丁寧に説明するとともに、不安を和らげるための相談対応に努めるなど、生徒や保護者の気持ちに寄り添った適切な支援を進めていただきたい。
▼SNSを活用した相談体制の構築事業
SNSを活用した相談を、前年度と同様に公立高校を対象に実施し、生徒がいじめなどの悩みを安心して相談できる多様な相談体制の構築を進める。
本事業では、通年で毎週月曜日に実施するほか、本年度は事業開始直後、夏季休業前後で毎日実施相談を受け付けた。今後、4年1月10日から2月5日の間は毎日実施する予定。
実施に当たっては、対象となる公立高校の生徒全員に登録用のQRコードを印刷した周知カードを配布している。紛失したなどの相談を受けた場合は、通知とともに配布した周知用チラシを活用願う。
【学校安全】
▼浸水想定・土砂災害警戒区域に立地する学校の避難確保計画の確実な作成など
7月21日付教生学第402号通知に基づき調査した。本件は、水防法および土砂災害対策法によって、浸水想定区域や土砂災害警戒区域に立地し、市町村の地域防災計画で要配慮者利用施設に位置付けられている学校(以下、該当校)に、避難確保計画の作成と計画に基づく避難訓練の実施が義務づけられており、本年度内の計画作成と避難訓練の実施が必要である。
道教委では、道危機対策課等関係部局による連絡会議を開催し、市町村防災担当部局に対する学校への協力を依頼している。該当校については、市町村防災担当部局と連携するとともに、6月21日付教生学第271号で通知した「学校の危機管理マニュアル等の評価・見直しガイドライン」を活用するなどして、年度内の確実な計画作成と訓練実施をお願いする。
▼道内公立高校(札幌市立を除く)における非行事故(速報)の状況
3年度の非行事故の発生件数(8月31日現在報告分)は、前年度比7件増の27件。家出が相次いでおり、スクールカウンセラーの積極的な派遣など教育相談の充実をお願いする。
◆総務課
【教職員の不祥事防止】
各学校において、不祥事等の防止に向けた実効性ある取組を実施していただいている。
その一方、本年度は9月末現在で、わいせつ行為による懲戒免職処分が1件、飲酒運転による停職処分が1件、体罰による懲戒処分が4件等となっており、さらに9月には、教職員が児童福祉法違反の疑いで逮捕される事案や飲酒運転で検挙される事案が発生しており、非常に憂慮すべき状況となっている。
学校教育は、児童生徒や保護者、地域住民との信頼関係の上に成り立っているものであり、児童生徒の教育に直接従事する教職員には、一般の公務員に比べてより高い倫理観が求められている。全体の奉仕者として公共の利益のために職務を遂行すべき責務を負っていることから、より一層危機感をもって所属職員への指導を徹底し、不祥事の未然防止と服務規律の保持に万全を期していただきたい。
◆教職員課
【人事異動の考え方】
9月24日付で「令和4年度公立高校長および道立特別支援学校長にかかる人事異動の考え方」を各学校に通知した。9月に新たに設置した教育長や教育部長などで構成する道立学校長人事推進会議において策定したものであり、今後、この考え方に沿って校長人事を進めていく。
【道立高校長庁内公募】
9月8日付で通知し、10月28日が提出期限。本制度の趣旨を踏まえ、改革意欲をもち、先駆的な取組を進める校長や教頭からの提案を期待している。
なお、現在配置している公募校長6人の中間報告を10月25日および11月5日にオンライン開催する予定。当該校長からの説明のあと、道教委幹部からの質問・助言などを行う。
今後、公募を希望する校長なども視聴できるようにしたいと考えている。積極的に参加願う。
【学校における働き方改革】
▼学校における法務相談支援事業
教職員の負担軽減や学校運営を支援する取組の一環として、外部からの過剰な要求など、高度な法的専門性が必要なため、学校だけでは適切に対処することが困難な問題について、学校がスクールロイヤー(弁護士)に相談することのできる体制を整備し、9月13日付で事業開始の通知を発出した。各学校において、高度な法的専門性が必要となる対応が難しい事案が生じた場合には、積極的に活用願いたい。
なお、当面の間、道央・道南地区の学校から法務相談を受け付ける。道東、道北地区についても、早期に開始できるよう関係弁護士会との調整を進めており、整い次第、対象地域を拡大し、各学校に通知する予定。
▼校舎の施錠
8月に策定した高校における教頭候補者の育成に向けた行動指針において、「校舎の施錠について、最後に退勤する職員が施錠する手法の検討など、施設管理体制の見直しによる教頭の負担軽減を図る」という記載を盛り込んだ。職員玄関の解錠・施錠については、機械警備の取扱いにおいて、最初の出勤者および最終となる退勤者とされているが、学校によっては教頭などによる最終点検などを行うため、これらの職の時間外在校等時間の増加につながっているという指摘がある。
このため道教委では、現在、アクション・プラン取組状況調査で実態を把握するとともに、法的な整理や他県の取組状況の調査・分析に取り組んでいる。こうした状況を整理の上、行動指針を踏まえ、取扱いの再周知や徹底など、できるだけ早期に対策を示していきたいと考えている。
▼学校の働き方改革を踏まえた部活動改革
中学校における休日の部活動の地域移行については、現在、国の委託を受け、3市町で実践研究に取り組んでおり、5年度からの段階的な地域移行に向けて、議論や検討を進めている。
持続可能な部活動の展開と学校における働き方改革の推進の観点を踏まえれば、高校においても段階的な地域移行は避けて通ることのできない課題と考えており、現在、内部で検討を進めている。
各学校においては、休日の部活動の地域移行の可能性について、まずは、地元自治体や中学校、総合型地域スポーツクラブ、スポーツ産業等との間において、話題としたり将来の可能性等について意見を交換したりするなど、可能な範囲で検討いただくようお願いしたい。また、地域移行に向けた取組をすでに実施している学校または実施を検討している学校においては、当課部活動対策推進係に情報提供をお願いする。
▼地域部活動推進フォーラム
休日の部活動の地域移行に対する道民や関係者の相互理解を促すため、11月中旬にオンラインで地域部活動推進フォーラムを開催する予定。
フォーラムでは、生徒や保護者、教員などを対象とした部活動に関するアンケートの結果を公表するほか、国の委託事業を実施している道内中学校の事例を紹介するとともに、視聴者から意見を募集する機会を設ける予定としている。
内容については、後日、情報を提供させていただく。各学校においては関係者への周知についてよろしくお願いする。
◆道立教育研究所
【研修事業】
▼カリキュラム・マネジメント実践研修
本年度のカリキュラム・マネジメント実践研修は空知、石狩、渡島、檜山の4管内で実施している。9月にウェブ会議システムを活用した遠隔型研修を実施した。研修の実施に当たり、教務主任等の参加に協力いただき感謝する。また、本研修の運営においてはGoogle Classroomを活用しており、遠隔型研修の受講後に受講者間の情報提供を促した。単元配列表、総合的な探究の時間の年間計画、シラバスの作成例等をクラウド上で共有することができ、受講者にとって有益なものとなっている。
受講者の今後の取組を推進するためにフォローアップ・オンデマンド型研修を11月15日から26日まで実施する。引き続きお願いする。
▼総合的な探究の時間充実研修
9月28日に総合的な探究の時間充実研修を実施した。ウェブ会議システムを活用した遠隔型研修で実施し、公開した田村学教授(國學院大學)の講義を含め、研修の参加に感謝する。副校長・教頭の立場から自校の総合的な探究の時間にかかる取組の改善・充実に向けた方策を考えていただいた。校内における研修成果の還元をお願いする。
(道・道教委 2021-10-13付)
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