旭川市授業改善推進チーム　９年間見通した教育を　小・中連携会議で意見交換

（市町村 2021-12-16付）

　【旭川発】旭川市立陵雲小学校（甲斐信太郎校長）で３日、旭川市授業改善推進チーム（以下、推進チーム）小・中連携会議が行われた。小・中学校の推進チームらが同校の吉田恵教諭による５年算数の授業を参観。授業後の協議では、単元づくりや１単位時間のデザインを視点とした授業改善のほか、９年間を見通した教育活動推進に向けて意見を交わした。

　道教委による授業改善推進チーム活用事業は、児童生徒の学力向上に積極的に取り組もうとする複数の小・中学校に１人ずつ授業改善推進教員を配置するもの。推進校に配置された推進教員からなる授業改善推進チームを活用し、授業改善に取り組む。

　市内小学校では、陵雲小の樋口奨教諭、永山小学校の善方幸教諭、永山西小学校の花本明典教諭がチームを組み、１週間単位で同一の配置校に勤務。週に１回、連携校３校を巡回勤務して学校全体の組織的な授業改善に取り組んでいる。

　事業は、前年度から中学校数学科にも取組を広げた。市内では中央中学校の沼澤和範教諭、神居東中学校の早川裕章教諭がチームを組み、配置校や連携校に勤務して地域全体の数学の授業改善を図っている。

　今回、授業改善推進における連携を一層深めるとともに、９年間を見通した教育活動の充実を図ることをねらって、小学校算数科の授業参観や小・中学校授業改善推進チームの取組状況に関する交流などを行う連携会議を実施。小・中学校推進チーム５人に加え、助言者として上川教育局義務教育指導班と旭川市教委教育指導課から指導主事３人が参加。ほか、中学校教諭２人が授業を参観した。

　はじめに、吉田教諭の指導による５年１組の算数「割合とグラフ」を公開。複数の帯グラフを正しく読み取って比較し、クラウドを活用して意見を共有する学習を展開した。

　授業の間、推進チームの教員らは、個人思考やペア交流のつど机間に入って児童の考え方を観察したり支援したりした。

　授業終了後、本時の振り返りや今後の授業改善の見通しについて協議。配置校の取組状況を共有する「情報共有シート」の内容に沿って、「単元づくり」「単位時間のデザイン」を中心に意見を交わした。

　単元づくりでは「既習内容との違いを見いだし、課題意識を焦点化するなど、単元全体のつながりを意識した授業づくりが大切」との意見が上がった。

　１単位時間のデザインにかかわっては、「子どもが考えたくなる問題の吟味、子どもが見方・考え方を働かせて解決できる数学的活動の位置づけなどが大切」と、子ども目線に立った授業改善の重要性が話題に。

　また、授業の途中で子どもたちに「分かった」と質問するなどの働きかけを意識し、子どもの「分からない」との発言を切り口にしてほかの子に説明を促すなど、「対話的活動を充実させ、学び合いの中で理解を深めていくことが必要」との意見も上がった。

　このあと、小・中学校の授業改善推進の取組について意見交流。「９年間を見通した教育活動の推進は、確実な資質・能力の育成につながる。今後は中学校チームの授業参観も行うなど、より連携を深めていきたい」などの声が寄せられた。

(市町村 2021-12-16付)