鶴居村教委 学校働き方改革の取組 事務職員核に業務改善 教育長交え定例会 決定にスピード感(市町村 2021-12-10付)
7日に開かれた第5回会議
【釧路発】鶴居村教委は本年度、独自の取組として定例事務職員会議を設置し、学校の働き方改革や校務の効率化などを進めている。会議では、村内小・中学校の事務職員6人が各自の取組をまとめた実践交流シートを持ち寄り、情報を交流。村上明寛教育長が毎回参加し助言している。組織のトップと直接意見を交わすため、取組の方針決定にスピード感があり、すでに具体化している取組も多いという。事務職員をキーパーソンとして学校の働き方改革を行う例は全道的に珍しく、今後も注目を集めそうだ。
学校事務職員は、平成29年の学校教育法改正によって、その職務が「事務に従事する」から「事務をつかさどる」に改められた。事務職員の専門性を生かして、より主体的・積極的に校務運営に参加することが期待されている。
その一方で、事務職員がどのように校務運営に参画するかについては「暗中模索の状況にある」(村教委)のが現状。そのため村教委は、4月から隔月で定例事務職員会議を開催し、参画の在り方と具体化に向けた議論を進めてきた。
全道的にも珍しい、こうした会議を設置した背景には、村上教育長のある思いがあった。自身も学校事務職員として3年間の勤務経験があり、「当時は事務職員の仕事とは何かが分からず、あとになってから、もっとこうしていればという思いを抱いていた」。学校事務職員は、授業改善、学級運営など様々な創意工夫が求められる教職員と比べて、それを発揮できる余地が少ないことも痛感しており「働くモチベーションの維持にもつなげたかった」と話す。
4月に開催した第1回会議には、村上教育長と教育課の清野玲子係長、村内小・中5校の事務職員6人が参加した。ただ、事務職員にとって教育長は「近くて遠い存在」であり、村上教育長は「最初は戸惑ったのではないか」と笑う。
初回こそ村上教育長の主導でスタートしたが、6・8・10月と回を重ねるごとに、事務職員のアイデアで具体化できた事例の報告が挙がるようになった。各校での取組は、本年度から指定を受けている学校力向上に関する総合実践事業における働き方改革推進コアチームで、事務職員が中心となって実現させたもの。
一例を挙げると、担任教諭らが行っていた児童生徒の朝の健康チェックや生活リズムチェックシートの集計は、事務職員が行うことに。教職員の在校等時間を把握して、その分析結果を示し、長時間勤務縮減への意識改革を図る取組も実行している。働き方改革だけでなく、経費積算方法の改善や保護者負担の軽減といった予算にかかわる提案も積極的に行っている。
12月7日に開いた第5回会議では、電波法改正に伴って使用が禁止される旧規格ワイヤレスマイクの取扱いや、支払い伝票複本の保存期間などが話題となり、即座に対応方針が定められた。
鶴居中学校事務職員の鈴木加奈さんは「ほかの職員の話を聞いて、そういうやり方があるのか、と気づくことが多い」と会議の効果を実感。「今後も教育委員会と現場が連携して、新しいものを取り入れていけたら」と抱負を語った。
村上教育長は「事務職員みんなが何かやれることがないかと真剣に考えてくれている。小さな積み上げができている」と評価。また、事務職員6人のうち1人が道教委の指定事業によって加配になっていることを踏まえ、「教員の負担を事務職員が肩代わりするだけでは持続性がなくなってしまう。学校全体の事務を効率化し、平準化することが大事」と指摘する。
次回会議は来年の2月に開催される予定。“つかさどる”事務職員のさらなる活躍が期待される。
(市町村 2021-12-10付)
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