札幌市教委 4年度教育方針 各所管事項③ 雪、環境、読書を中核に取組 多様なニーズ対応へ公立夜間中学
(札幌市 2022-03-10付)

【札幌らしい特色ある学校教育】―学校教育部

 4年度も「雪」「環境」「読書」の3つのテーマを中核として、引き続き「幼・小・中・高のつながりを意識する視点」と「発信」を2つの柱に、全ての園・学校での取組を推進する。

 取組に当たっては、札幌の豊かな自然環境、人的環境、文化的環境を生かし、課題探究的な学習に位置づけるなどして、子ども自身が学習の成果として発表するとともに、取組状況を学校ホームページなどで広く発信するなど、校種を越えたつながりや、保護者、地域とのつながりに留意する。

 ふるさと札幌を心に持つ学びとして、札幌ならではの施設や本物体験ができる地域の環境を生かした体験的活動、オリンピック・パラリンピック教育をはじめとした、札幌の特色や魅力を学ぶ機会の充実にも引き続き取り組む。

【子どもの発達への支援】

▼特別支援教育―学校教育部

 子どもの障がいを改善・克服するための指導はもとより、子どもが得意とする分野など、自分の長所を一層伸ばしていく指導にも注力していく。

 その実現に向け大切なことは、子ども一人ひとりの教育的ニーズに応じて学びの場を柔軟に変化すること、交流および共同学習を推進すること、障がいのある子どもに対して合理的配慮を提供することの3点。

 これら3点を踏まえ、各園、学校の取組を着実に進める。

 また、子ども一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導・支援を充実させていくためには、個別の教育支援計画を活用することも大切。作成に当たっては、子どもの困難さに応じた具体的な目標や手立てを設定し、評価を明確にしていくことが重要である。

 PDCAサイクルの計画に当たる「P」の作成の前に、子ども一人ひとりの実態をリサーチする「R」を適切に行っていくことで、子どもの発達の程度や適応等の状態に応じた指導・支援につなげることができる。

 加えて、評価する時期を学期末や半年ごとなど明確に設定していくことで、子どもの発達の状態を見直すことができ、指導や支援の方向性をあらためて考え直す機会となる。

 各園、学校においては、個別の教育支援計画を活用し、家庭や福祉などの関係機関と連携しながら、切れ目ない指導・支援の充実に努めるようお願いする。

▼不登校支援―児童生徒担当部

 札幌市の不登校児童生徒数は全国と同様に増加傾向が続いており、特に小学校における増加が顕著になっている。

 各学校においては未然防止の取組として、小中一貫した教育におけるパートナー校間や学年間で丁寧な引き継ぎをするなど、きめ細かな情報共有に努めていただくとともに、時期や行事等を見越した先手を打つ取組を進めていただくことに期待する。

 また、チーム体制による迅速・丁寧な初期対応として、校内学びの支援委員会の活性化や相談支援パートナーの一層の活用が必要。

 その際、別室登校にかかる手続きや利用時間、過ごし方のルールなどについても「自分が大切にされている」と実感できるよう、柔軟に見直しを進めるなど、より効果的な活用の在り方を検討することが重要になる。

 来年度は小学校への相談支援パートナーのモデル配置をこれまでの40校から約100校へ拡充する予定。

 不登校児童が増加傾向にある小学校においても、別室登校だけではなく、登校渋りなど早い段階における支援として、玄関での出迎えや登下校の補助、教室までの付き添い等の活用も積極的に進めてほしい。

▽不登校が長期化している場合の支援

 重要なことは将来における社会的自立に向けた支援の充実。そのためには「学習支援の充実」「適応指導の充実」の両輪が必要であり、どちらについても今後はICTの活用を図ることがポイントになる。

 支援の方法はICT以外にも「さっぽろっ子学習サポートシステム」や小グループによる体験活動等様々あるが、学校でできること、教育支援センターでできること、家庭でできることは、それぞれ何かを考えながら工夫することが重要。

 また、個別最適な学びと協働的な学びがバランス良く進められるよう、保護者や本人の意向を聞きながら、校内の教職員や教育委員会が連携しながら取組を進めることが必要になる。

 学校になかなか足が向かない子どもたちについては、市内6ヵ所の教育支援センターを今後も積極的に活用するようお願いする。

 教育支援センター白石は、4年4月末から5年1月末まで、中央区の旧中央保健センター6階に一時移転する。

▼公立夜間中学―学校教育部

 本校は学齢期を超えた方で、様々な理由によって中学校で十分に学べなかった方のための学びの場であり、道内初の設置となる。

 すでに71人の予定者に入学通知を発送した。

 中学校ではあるが、様々な校種出身の職員が協力しながら、多様なニーズに対応できるよう柔軟な指導体制を検討している。

 この取組が困りを抱える学齢期の児童生徒に対して、どの程度活用できるのかを検討しつつ、市として指導実績を積み重ねていく。

(札幌市 2022-03-10付)

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