江別市4年度教育行政執行方針 小学校全学年に端末 小中一貫で地域と目指す子像共有
(市町村 2022-04-06付)

江別市黒川淳司
江別市教委・黒川淳司教育長

 江別市教委の黒川淳司教育長は、第1回定例市議会で4年度教育行政執行方針を説明した。学習者用タブレット端末の導入を小学校1・2年生まで拡充し、全ての学年に1人1台端末を配置。小学校入学から中学校卒業までの系統的なICT教育の推進を図るとした。5年度から全市での導入を目指す小中一貫教育では、系統性を重視した教育課程を編成するとともに、中学校区ごとに定めた「目指す子ども像」を地域と共有し、小中一貫教育の市民向け周知や、えべつ型コミュニティ・スクール事業を進める考えを示した。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

▼学校教育

 新しい知識、情報、技術が、社会のあらゆる領域の活動において重要となる「知識基盤社会」の時代を、子どもたちが主体的、創造的に生きていくためには、基礎的な知識を身に付けるとともに、これを発展・応用させて行動につなげる力、すなわち確かな学力を伸ばすことが必要である。

 また、子どもたちが将来、社会的・職業的に自立し、社会の中で自分の役割を果たして、自分らしい生き方を実現できるよう、必要となる能力や態度を身に付ける教育活動、すなわちキャリア教育を進めることが重要である。

 こうした考えを踏まえ、市学校教育基本計画に基づき「夢を持ち、夢を語り、夢の実現に向けて行動する子ども」の実現に向け、学校教育を進めていく。

 このため、国のGIGAスクール構想に合わせて進めてきた学習者用タブレット端末の導入を小学校1・2年生まで拡充し、全ての学年に1人1台端末を配置するとともに、市内小・中学校教員が中心となって独自に策定した市教育情報化ガイドラインに基づく学習指導を進めることで、小学校入学から中学校卒業までの系統的なICT教育の推進を図る。

 併せて、専門事業者や市内大学と連携し、教員へのサポート体制の強化を図るとともに、非常時等に備えた通信の確保など、ICTを活用した学習環境の整備を進める。

 また、市小中一貫教育基本方針に基づき、5年度からの市内全中学校区での導入を目指す小中一貫教育では、研究用教科書の整備や小・中学校教員の合同研修、小学生の中学校体験登校を実施するとともに、系統性を重視した教育課程を編成することで、小学校から中学校への円滑な接続を図り、義務教育9年間の一貫した教育の実現を目指していく。

 併せて、小中一貫教育において中学校区ごとに定めた「目指す子ども像」を地域と共有し、一体となって学校づくりを推進するため、小中一貫教育の市民向け周知や、えべつ型コミュニティ・スクール事業を進めていく。

 また、様々な悩みや課題を抱える児童生徒、家庭への支援充実のため、スクールソーシャルワーカーが、学校、福祉・医療機関と連携して課題解決に取り組むとともに、いじめ未然防止・早期対応に向け、児童生徒へのカード配布による意識啓発を行うほか、不登校児童生徒の社会的自立に向け、適応指導教室「すぽっとケア」の体制強化を図っている。

 特別支援教育においては、児童生徒が障がいに応じた適切な教育が受けられるよう、教室などの施設改修や支援員の配置拡充を図るとともに、市内小学校に4ヵ所目となる通級指導教室を新たに開設する。

 また、学校に配置する看護師が中心となり、医療的ケアを必要とする児童生徒の受け入れを進めるほか、札幌市に開設される夜間中学に通学する市民への就学支援に取り組んでいく。

 このほか、児童生徒の確かな学力の定着に向けて、小中学校学習サポート事業や、外国語指導助手の派遣に取り組むとともに、キャリア・パスポートの活用を進めるほか、市立学校における働き方改革推進計画に基づき、教員の勤務環境の改善を図り、児童生徒が心身共に健やかに成長できる学校づくりを進める。

▼社会教育

 市社会教育総合計画に基づき、市の風土を生かし、豊かで潤いのある地域社会創造に向けた人材育成を目指していく。

 このため、北海道林木育種場旧庁舎の民間利用本格化に合わせ、歴史的建造物を市民の共有財産として広く知ってもらうよう、市内大学や市民活動団体と連携し、施設のPRに取り組んでいく。

 また、江別の酪農の歴史や往時の景観を今に伝える旧町村農場について、市民参加による改修と機能向上の検討に着手し、経済活動や地域交流の貢献にもつながる保存と活用の促進を進めていく。

▼スポーツ

 市スポーツ推進計画に基づき、全ての市民がスポーツに親しめるよう、スポーツを「する」ことに加え「みる」「ささえる」機会の充実を目指していく。

 このため、新たに「都市と農村の交流センターえみくる」に開設する少年野球場についてオープニング記念イベントを実施し利用促進に向けたPRを行うとともに、えみくると連携した地域との交流、青少年の健全育成につなげていく。

 さらに、全国高校総合体育大会の5年度北海道開催における競泳、飛込、ホッケー競技の市内実施に併せて、市のスポーツ振興につながるよう、実行委員会設立等の体制を整備し、開催準備を進めていく。

(市町村 2022-04-06付)

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