指導人材確保の全国事例(解説 2022-06-02付)
スポーツ庁の調査によると、運動部活動の地域移行の受け皿となる全国の団体や組織(スポーツ少年団、競技団体の登録チーム、総合型地域スポーツクラブ、フィットネス施設等)の指導者数は約59万人と試算している。しかし地域間の格差が大きいことから、十分な人材の質の保障と確保・育成が必要となる。
全国の先進事例をみると、部活動指導員の活用、兼職兼業の許可を得た教師による指導、企業、クラブチーム、大学との連携、関係団体等との連携による人材バンクの設置など様々な取組があり、神奈川県横浜市のようにICTを活用した遠隔指導による部活動の支援体制を構築している地域もある。
指導人材の質を保障するため日本スポーツ協会(=JSPO)は、加盟団体と連携してスポーツ指導者の養成に取り組んでおり、公認スポーツ指導者資格として5領域18種の資格を設けている。6月からは新資格「スタートコーチ(教員免許所持者)」の養成を開始。受講条件は部活動指導経験のある教員免許所持者で、指導期間は不要としている。大学スポーツ協会(=UNIVAS)においては、所属する学生が中学生の運動部活動を指導する際に必要な事前研修の標準化を進めていく方針。
提言案では指導者の身分保障や質の確保のため、適切な対価支払いや指導者資格の取得等が重要であり、国による支援方策が必要と指摘している。
地域でのスポーツの指導を希望する教師の兼職兼業に関しては、現行制度でも各教育委員会等の判断で実施可能とされている。提言案では、教育委員会が許可する際に教員の指導が強制となることがないよう本人の意思の十分な確認や、勤務時間、労務災害に関する管理体制の明確化などの配慮が必要としている。
(解説 2022-06-02付)
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