道議会質疑 予算特別委員会(6月28日)(道・道教委 2022-10-07付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼田中英樹委員(公明党)
▼植村真美委員(自民党・道民会議)
【答弁者】
▼倉本博史教育長
▼池野敦教育部長
▼唐川智幸学校教育監
▼山本純史総務政策局長
▼堀本厚学校教育局長兼ICT教育推進局長
▼谷垣朗道立学校配置・制度担当局長
▼伊藤伸一生徒指導・学校安全担当局長
▼伊賀治康教職員局長
▼金田敦史施設課長
▼山城宏一高校教育課長兼ICT教育推進担当課長(高校教育)
▼松井晃之高校総体推進課長
▼泉野将司生徒指導・学校安全課長
▼中嶋英樹働き方改革担当課長
▼辻堅也経済部労働政策局長
▼瀬賀聡経済部就業担当課長
◆新規学卒者の就職状況
Q田中委員 ことし4月の道内の有効求人倍率をみると、1・0倍となっているが、職種によっては4倍を超えており、依然として人手不足となっている職種もある。
一方で、月間有効求職者数は22ヵ月連続で前年同月を上回り、求職者が依然として高水準にあるなど、道内の雇用情勢については、長引く新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響に引き続き注視していく必要がある。
未来の働き手となる新規学卒者の就職状況について、どのようになっているのか伺う。
A瀬賀就業担当課長 新規学卒者の就職状況について。道労働局によると、ことし3月の道内の新規高卒者における求職者数5664人のうち、就職が内定した生徒は3月末現在で5569人となっており、就職内定率は98・3%と、前年同月を0・1ポイント上回った。
また、道内の大学、短期大学、高等専門学校、専修学校卒業者の求職者数2万4237人のうち、就職者数は2万2760人となっており、就職率は93・9%と、前年同月を0・1ポイント上回った。
Q田中委員 本道は、全国を上回るスピードで少子・高齢化が進み、今後はさらなる労働力の減少が懸念されることから、新規学卒者を含めた若年者の労働力確保は大きな課題である。
道として、若年者の就労支援についてどのような取組を行ってきたのか伺う。
A瀬賀就業担当課長 若年者の就労支援について。道では、国のハローワークと連携を図りながら、ジョブカフェにおいて、求職者一人ひとりのニーズに応じたきめ細かなカウンセリングや就活セミナー、企業見学会、対面とオンラインを組み合わせた企業説明会を実施するほか、座学と就業体験を一体的に実施し、就職促進に取り組んでいる。
また、在学時における職業や産業、企業への理解促進に向け、学校に出向いての職業ガイダンスや、インターンシップの受け入れが可能な企業の情報を教育機関に提供し、職業教育を支援するなど、国や関係機関と連携しながら、若年者の就労支援に取り組んできた。
Q田中委員 本道では、少子・高齢化とともに人口減少が進行しており、様々な分野で人手不足の深刻化が懸念される。
今後の地域経済の活性化のためには、労働力を維持拡大していくことが必要であり、そのためには、今後一層、若者をはじめ、女性や高齢者など、多様な人材の確保が課題となる。
道では、今後、こうした方々の就労支援に向け、どのように取り組んでいくのか。
A辻労働政策局長 今後の取組について。人口減少が続く道内において、今後の地域経済を支える人材を確保するためには、働く意欲のある方が、それぞれの経験や能力を発揮し活躍できるよう、就業を支援することが重要である。
このため、道としては、引き続き、国や関係機関とも連携しながら、ジョブカフェやジョブサロン、マザーズ・キャリアカフェにおけるきめ細かなカウンセリングや、就職に向けたセミナーを行うほか、対面とオンラインを組み合わせた企業説明会の開催や、座学と職場体験の一体的な実施、さらには、潜在人材の掘り起こしと求人創出を行うなど、若者や女性など多様な人材の就労支援に努めていく。
◆教職員住宅等の環境整備
Q植村委員 小・中学校を中心に教員不足が問題となっているが、教職員住宅の環境整備をすることで教職員の福利厚生を図ることが、教員不足対策としても重要なことと考える。また、各市町村から、いろいろな要望等も出ている。
現在の教職員住宅の保有・管理戸数について、全道的に入居率などはどのようになっているのか伺う。
A金田施設課長 教職員住宅の使用状況について。ことし5月1日現在、道立学校の教職員住宅は5911戸で、老朽化等で入居を停止している住宅は1077戸、これを除いた入居可能な住宅の戸数は4834戸となっている。このうち、実際に教職員が入居している住宅は3059戸で、入居率は63・3%となっている。
Q植村委員 空き住宅は、景観や防犯上からも問題が多いので、少しでも解消を図っていくことが必要と考えている。道教委では、道立学校職員以外の入居を認めていないのか伺う。
A金田施設課長 教職員住宅の貸与について。道教委の居住施設管理規程では、教職員住宅の貸与を受けることができる者は、道教委の任命に係る道の職員としている。
市町村教委から、小・中学校教職員への貸与希望があった際には、当該道立学校の教職員の入居見込みがないこと、市町村が所有している教職員住宅に空きがないこと、地域の民間賃貸住宅の整備が十分ではないことなどを確認した上で入居を承認しており、ことし5月1日現在の承認件数は、小・中学校の教職員など64件となっている。
Q植村委員 特に地方においては、民間賃貸住宅が少ないため、市町村の小・中学校の教職員住宅が不足しているという声が届いている。その中には、市町村教委管理の古い住宅などは改修費がかかるので、道教委管理の空き住宅を市町村に譲渡してもらえないかといった話も耳にする。
譲渡した事例などがあれば伺いたい。
A金田施設課長 教職員住宅の譲渡について。教職員住宅の譲渡については、財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例に基づき、原則、有償としているが、教職員住宅を建設した際、市町村から建物の移管や土地の寄付を受けていた場合には、当該市町村に無償譲渡している。
過去5年間において、道教委管理の教職員住宅を市町村に譲渡した事例としては、土地と建物を一括して有償譲渡した事例が1町、建物と土地を一括して無償譲渡した事例が1町、建物を有償譲渡し、土地を無償譲渡した事例が11市町ある。
Q植村委員 時代とともに、今ある教職員住宅の役割も変わってきているのではないかと感じている。住宅が所在する市町村の協力も必要ではないか。有効活用を考えていくべきところもあると考える。
要望や意見を聴取するなど、各市町村とも協力いただきながら、空き住宅の有効活用の方向性を模索していくことが大切だと思うが、道教委の見解を伺う。
A山本総務政策局長 教職員住宅の有効活用について。道立学校の教職員住宅の入居率は、平成29年度の74・7%から令和4年度は63・3%と低下傾向にある。その要因は、老朽化した住宅への入居を敬遠するなど、個々の教職員の住まいに対する意識の変化があるものと認識している。
道教委としては、教職員住宅の効果的な維持管理や財産処分の観点から、老朽化した教職員住宅の集約や用途廃止した住宅の解体を進めるとともに、市町村教委から、道教委管理の教職員住宅の貸与希望があった場合には柔軟に対応し、空き住宅の有効活用に努めていく。
◆部活動地域移行
Q植村委員 6月6日、公立中学校の運動部活動の在り方を検討しているスポーツ庁の検討会議から提言が出されている。
また、ことし3月に策定された国のスポーツ基本計画においても、深刻な少子化によって、部活動や地域におけるスポーツ環境の維持が困難になっていると指摘されている。あらゆる世代のスポーツ機会の確保が急務であるというふうに考える。
今回、国の検討会議から示された提言の主な内容について伺う。
A中嶋働き方改革担当課長 検討会議の提言について。提言は、公立中学校における運動部活動を対象としており、まずは、休日の部活動から段階的に地域移行していくことを基本とし、平日の部活動についても、休日の地域移行の進捗状況を検証し、地域の実情に応じて取組を進める必要があるとしている。
また、個々の課題について、受け皿の整備や指導者の確保、指導を希望する教師の在り方、大会や会費の在り方の方向性などが示されるとともに、地域移行の目標時期について、7年度末をめどとし、5年度から3年間を改革集中期間として位置付け、都道府県および市町村において、具体的な取組やスケジュールを定めた推進計画を策定することなどが盛り込まれている。
Q植村委員 改革集中期間ということだが、国が決めて、各都道府県が決めて、市町村にということで、段階的な期間があるが、既に各市町村教委としては、そうした傾向にあるので、教員が部活動等に対して積極的でなくなってきているといったムードが漂っているかなと思う。
また、教育委員会のほうでも方向性が見えていないのか、戸惑うような部分もあり、既に子どもたちにはそういった影響が出ているところがある。
これまで、道教委としては、国の事業を活用して、3つの地域で部活動の地域移行について実践研究をしていたと伺っている。その中で得られた成果と明らかになった課題について伺う。
A中嶋働き方改革担当課長 実践研究の成果と課題について。前年度、実践研究を行った3市町からは、保護者や地域の関係者に丁寧に説明したことによって、部活動改革の必要性に関して保護者や地域から一定の理解が得られた、生徒や教員から、地域の指導者に安心して任せられることが分かり、続けてほしいとの意見が多数寄せられたなどの報告を受けている。
一方で、受け皿となる団体や指導者などの人材や財源を確保すること、保護者の経費負担が増えることなどの課題が報告されたところ。
Q植村委員 課題とされる指導者についてだが、生徒の安全の確保、体罰防止、行き過ぎた指導の防止など、指導者としての質を確保する必要があると考える。
また、広域な本道では、特に、地域によって十分な指導者を確保することが困難な場合も多いと考えられる。どのように対応していくのか伺う。
A伊賀教職員局長 指導者の確保について。道内外の先進的な地域では、スポーツクラブや大学から指導者を派遣している事例や、スポーツ団体と連携して人材バンクを設置している事例、ICTを活用した遠隔指導を実施している事例、希望する教職員が兼職兼業を活用し、地域で指導している事例などがある。
道教委としては、各市町村が、地域のスポーツ団体、文化団体などと連携して実情に応じた検討を進められるよう、多様な先進事例を提供しながら必要な助言を行うなど、きめ細かな対応に努めていく。
Q植村委員 生徒のスポーツの機会が安定的に維持されるためには、受け皿となる地域の団体が活動のための財源を安定的に確保することが必要だ。また、保護者にとって過度の負担増にならない配慮も求められる。
道教委として、どのように対応していくのか伺う。
A池野教育部長 財源確保と保護者負担について。部活動を地域に移行した場合、受け皿となるスポーツ組織・団体等の整備充実に要する経費や、指導者への報酬など、新たな経費が必要になると考えている。
これらの経費に関して、提言では、保護者の負担が大きくならないよう、国による財源の確保や、地域における支援体制の整備などの必要性が示されているところ。
道教委としては、国に対し、先進的な地域の実践事例について、競技ごとの規模や内容、要する経費、その財源などの情報を取りまとめて提供するよう要望し、各地域が検討できる環境を整備していく。
Q植村委員 各地域の企業もいろいろと協力しているケースもある。幅広い財源確保に向けての情報提供や環境整備が、これから、道としても必要になってくる観点ではないかと感じている。
道内それぞれの地域が置かれている状況を踏まえて、保護者や地域の理解を得ながら進めていくことが必要ではないか。
今後、これまでの取組や今回示された国の提言を踏まえて、5年度から3年間の改革集中期間とする、休日の運動部活動の段階的な地域移行に向けて、今後どのように取り組んでいく考えなのか伺う。
A倉本教育長 部活動の地域移行の今後の取組について。部活動は、生徒の自主的な活動を通じて自己肯定感を高めるなど、大きな役割を担っているが、少子化に伴い、部活動数が減少している現状や、教員の長時間勤務を解消し、教育活動の質の向上を目指す観点などから、地域の理解のもとで、子どもたちが各地域でスポーツや文化活動を体験できる持続可能な環境を整えることは大変に重要と考えている。
道教委としては、国の動きを注視しながら、知事部局をはじめ、市町村教委や関係団体と連携し、各地域において、実情に応じた検討がより多くの関係者の参画を得て早期に行われるよう、大学教授などを部活動の在り方検討支援アドバイザーとして派遣し、指導助言を行うとともに、各市町村の状況把握をして必要な対応を促すなど、円滑な地域移行に向けて、きめ細かな取組を進めていく。
◆高校総体
Q植村委員 5年7月22日から8月21日にかけて、昭和62年以来、36年ぶりに本道で開催される全国高校総合体育大会まで、いよいよ1年余りとなった。
36年ぶりの本道での大会開催に向けて、これまでどのような取組を進めてきたのか伺う。
A松井高校総体推進課長 高校総体の準備に関するこれまでの取組について。道教委では前年度、知事を会長とする北海道実行委員会を設置するとともに、委員会の中に、競技、式典など、6つの専門部会を置き、各部会で策定された実施計画に基づき、全道の高校ならびに各競技種目の会場地となる市や町のほか、全国および道の高体連などの関係団体と連携・協力しながら、開催に向けた準備を進めている。
競技種目別大会については、現在、開催の市町において、会場地実行委員会を設置し、運営経費試算、施設の整備などが進められており、道教委では、各会場地での準備状況について適切に把握しながら、大会を運営していく上で必要となる事項について、関係市町と調整に努めている。
Q植村委員 大会の成功は、高校生が主体的に参画することによって初めて実現するものと考えている。現在まで、高校生はどのような活動を行っているのか伺う。
A松井高校総体推進課長 高校生の主体的な取組について。ことし5月30日、事前の広報活動や開会式等において高校生活動を担当する北海道高校生活動推進委員会の代表が、知事および教育長を表敬し、今後の取組について決意表明を行うとともに、道庁赤れんが庁舎前など、札幌市内3ヵ所でPRチラシを配布するなど、街頭啓発を行った。
今後は、カウントダウンイベントや、各種メディアでのPR活動、総合開会式における式典演技や会場の草花装飾、大会参加者への手作り記念品の製作、配布など、高校生の主体的な活動を披露する機会が予定されている。こうした活動を通して、競技に参加する以外の高校生の豊かな感性や創造性も取り入れながら、関係機関との連携・協力のもと、インターハイ開催の機運が広く道民に醸成されるよう、オール北海道で積極的な取組を進めていく。
Q植村委員 各地域においても、競技種目別大会の準備が本格化していると思う。その準備状況はどのようになっているのか伺う。
A松井高校総体推進課長 競技会場地での準備状況について。競技種目別大会の準備や運営を円滑に行うため、本道で開催する28競技32種目の会場地となる19市町において、7月中旬までをめどに実行委員会が設立される予定であり、会場地市町には、経費負担や施設の整備、関係機関との調整などに多大な協力をいただいている。
また、ことし4月からは、道教委から競技の専門性を有する教員を会場地市町に派遣し、市町の職員と連携・協力を図りながら、競技種目別大会に必要な実施要項や、会場の運営計画等の作成に着手するなど、大会開催に向けた準備を進めている。
Q植村委員 道内各地において、一定の期間内に多くの競技種目を開催するため、様々な問題が生じると思う。競技・運営役員などの確保や、競技を実施する上での会場などについて、どのような課題があり、どのように対応していくのか伺う。
A松井高校総体推進課長 課題とその対応について。競技・運営役員および補助生徒として、道内の高校から、教職員約3200人、生徒約9500人の協力を予定しており、現在、校長会等を通じて協力を要請するとともに、具体に協力を依頼する学校の選定を進めている。決定次第、順次、日程や人数等の調整を進めることとしている。
また、競技会場等については、全国高体連の競技施設・設備等設置基準を満たす必要があり、一部の競技では、照明や競技用設備などが基準を満たしていない施設があることから、全国高体連および道高体連と協議しながら、競技施設の仮設や借り上げを含めて検討を進めている。
水泳の飛び込み種目については、会場のプールの設備について大幅な改修が必要であることが判明したことから、現在、対応について検討を進めているところ。
Q植村委員 飛び込み競技の会場としては、野幌総合運動公園プールでの開催と承知しているが、同施設の設備について大幅な改修が必要であることが判明したとのことだった。その理由と経緯について伺う。
A堀本学校教育局長兼ICT教育推進局長 飛び込み種目の会場について。飛び込み種目の道内開催については当初、道高体連水泳専門部から、他県から飛び板を借用することなどによって、当該プールでの大会開催が可能であることが示されたことから、道では、道高体連を通じて、日本水泳連盟に飛び板の交換について可能であることを確認した上で、2年7月に当該プールで開催することを決定した。
その後、昨年12月に、日本水泳連盟による競技会場の確認が行われた際、飛び板の交換だけでは基準を満たさず、現状での開催は困難であるとの見解が示されたことから、道の関係部局と連携し、施設設備の改修および飛び板・飛び込み支持台の借用の可否について検討しているが、結論には至っていない状況にある。
こうした状況を招いた要因としては、道の関係部局との確認や調整が不十分であったこと、また、状況確認に時間を要したこと、飛び板等の借用の可否について、他県との調整に時間を要したことが主な要因と捉えており、実行委員会を所管する道教委として責任を重く受け止めている。
P植村委員 決定するに至る責任の所在も含めて、大変不満が残るところ。また、経過について、道教委として、各関係機関との連絡調整はどうなっていたのか、不足していた点、判断の甘さがあったのではないかと感じてしまう。
残された期間で、大会に向けて、最大限、子どもたちのことを想像しながら準備を進めていただきたい。
Q植村委員 野幌総合運動公園プールは、飛び込み競技が開催できる道内唯一の施設であり、今後も施設を維持していかなければならない。
インターハイ開催に向けて、江別市、実行委員会などが準備を進めていることからも、地元開催が可能とならないのか伺う。
また、道外開催となる場合、会場確保の見通し、道外での大会運営方法など、関係者との協議状況についても伺う。
A唐川学校教育監 飛び込み競技の会場確保について。道内での開催が困難になった場合に備えて、現在、全国高体連事務局および全国高体連水泳専門部に本道の状況について説明し、他県での開催や候補となる会場地について相談しているところ。併せて、他県の高体連や教育委員会等への依頼方法など、今後の手続きについて確認を行っている。
道教委としては、本道での開催について、その可能性も検討しつつ、他県での開催も視野に、引き続き、全国高体連や関係機関等との協議を進め、飛び込み種目の確実な開催に向けて、可能な限り早期に結論が得られるよう、全力で取り組んでいく。
Q植村委員 全ての高校生、関係者が、この数年来の新型コロナウイルス感染症のまん延等によって練習環境などに苦労しながら、競技レベルを向上させてきた。地元高校生が、高校生活動を通じて大会を支えていこうと努力を始めている。
ハード面においては、各競技を開催する自治体において、厳しい財政状況の中で準備を進めている状況だが、道立施設での開催において課題を抱えていることは、無責任と言わざるを得ない。
道には、全ての競技において、アスリートファーストの精神を持ち、真摯な対応を願うところだが、今後の対応について教育長の見解を伺う。
A倉本教育長 全国高校総体の今後の取組について。本道で36年ぶりに開催されるこの大会に向けて、現在、高校生による大会のPR活動を道の公式ツイッターに掲載し、広報活動を開始したところ。
今後も、関係各所に総合ポスターの配布や大会公式ホームページを活用したPRなど、様々な媒体を通じた広報活動を進める予定としている。
道教委としては、大会に参加する高校生はもちろんのこと、関係者など多くの方々の記憶に残る大会となるよう、引き続き、会場地市町の実行委員会や関係機関・団体と十分に連携を図り、協力をいただきながら、各競技会場を所管する関係部局等とのきめ細かな連携調整の状況について、一つ一つあらためて確認し、課題の解消に向けて全力で取り組み、全国の高校生が主役となる大会の成功に向けて、準備に万全を期していく。
◆魅力ある高校づくり
Q植村委員 今後、少子化が進展すると、高校の入学者数が減少することは当然だが、数ありきの高校配置の考え方では、地域から高校がなくなってしまうと考える。道教委は、地域における教育機能の維持についてどのように考えているか伺う。
A谷垣道立学校配置・制度担当局長 高校の配置について。中卒者数の減少が続き、多くの高校が小規模化する中、教育課程編成上の制約など様々な課題が懸念されているが、小規模校であっても、近隣の高校への通学が困難で地元の進学率が高い場合は、地域連携特例校に位置付け、教育環境の充実や存続を図るなど、本道の広域性や地域の実情も考慮した高校の配置に努めている。
道教委としては、人口減少社会への対応や地域を担う人材の育成などの観点から、地域における教育機能を維持していくことがこれまで以上に重要と考えている。今後は、こうした観点と併せて、学校規模の適正化による活力のある教育活動の展開の両面から、一定の圏域内における高校教育の機能の維持向上を図るため、検討を重ねるとともに、小規模校においては、教職員の加配措置や遠隔授業の効果的な活用などによって、生徒一人ひとりに応じたきめ細かな指導に努めるなど、本道の地域性を踏まえた高校の在り方を検討する必要があると考えている。
Q植村委員 現在、地域連携特例校と離島の高校に、有朋高校に設置されている遠隔授業配信センターから授業配信を行っていると承知している。配信先に他の小規模校を加えて、教育環境の充実を図っていくことも必要だと考える。道教委の考えを伺う。
A山城高校教育課長兼ICT教育推進担当課長(高校教育) T―baseからの授業配信について。小規模校における教育課程の充実を目指すという考え方のもと、他校への通学が困難な地域にある地域連携特例校27校および離島所在の2校に、25科目、延べ181単位の遠隔授業を配信しているところであり、大学進学等の多様な進路希望への対応などにおいて、遠隔授業の配信は効果的であると認識している。 対象とする学校の範囲については、現在、地域連携特例校等の学校数や教科、科目の配信方法、機材の整備などの状況を踏まえて運用を進めている。道教委としては、引き続き、T―baseの役割や運用に当たっての課題を整理しながら、ICTの効果的な活用の在り方などについて検討していく。
Q植村委員 地域の小規模校では、地域と協働して、教育の活動の充実を図っていると承知している。例えば、教員も少なくなり、学校を維持することも大変になる中で、遠隔授業配信センターを最大限活用するほか、高校時代にその地域やその時にしかできない体験があると思う。そうしたものを授業の中に取り入れるなど、それぞれの地域の魅力を最大限に生かせるような環境づくりを抱き合わせで行っていくことが必要だ。道教委の考えを伺う。
A山城高校教育課長兼ICT教育推進担当課長(高校教育) 魅力ある高校づくりについて。道教委では、2年度に「地域創生に向けた高校魅力化の手引」を作成し、地域と一体となった教育活動のさらなる推進を図るとともに、3年度には、各高校における魅力化の取組をさらに推進するため、地域と連携協働した取組事例集を配布し、各学校の魅力化の取組がより一層充実するよう促している。
現在、高校において、日高地域の課題の解決を目指した日高地域研究では、地域を学びの場として、地域の産業界等と連携した新たな学びを導入している事例や、夕張高校では、地元企業や教育委員会を構成員とするコンソーシアムを設置し、地元の農作物を活用した商品開発や「炭鉄港」開発商品のパッケージデザインの考案など、地域の課題や魅力に着目した実践的な学びの実現に向け、地域の特色を生かした学校設定教科・科目の開設などに取り組んでいる。
今後も、各学校において地域の特色を生かした魅力ある教育活動が展開されるよう、地域における取組事例の提供など、必要な指導助言に努めていく。
Q植村委員 今後、様々な媒体で魅力ある学校をどのように発信していくのかも重要な課題だと思う。今後の取組について伺う。
A堀本学校教育局長兼ICT教育推進局長 高校の魅力の発信について。各学校においては、これまでも、入学者の確保に向け、生徒に選ばれる高校づくりを目指し、地域と一体となった教育活動の充実を図るとともに、学校説明会はもとより、学校のホームページや地域の広報誌等において、学校の特色や魅力について掲載するなど、広報活動を工夫しながら、地域の中学生や保護者に対して、学校の情報の積極的な発信に努めているところ。
こうした中、コロナ禍においては、学校説明会を中学生や保護者を集めた形式でできなかったことから、オンラインを活用し、形式を工夫して実施した学校も多数あった。
道教委としては、引き続き、各学校において、中学生や保護者等を対象とした学校説明会の内容や方法について、工夫改善を図り、地域の行事等への積極的な関わりや、小・中学校の児童生徒と連携協働した体験活動等を通し、高校の教育活動に直接触れることができるようにするなど、ICTなど様々な媒体を活用した高校の魅力発信の取組を促進していく。
D植村委員 ぜひ、日ごろからの高校の生き生きとした情報発信を、道教委としても、もっともっとプッシュしていただきたい。
Q植村委員 今後の入学者数の減少を踏まえて、長期的な視野、かつスピーディーに、高校配置の在り方と魅力ある高校づくりを進めていく必要があると考える。道教委としての考えを伺う。
A唐川学校教育監 今後の方向性について。全道的な中卒者数の減少に伴い、高校の定員調整や再編は避けて通れない課題であると考えている一方、地理的状況等から、他校への通学が困難な地域にある地域連携特例校などにおいては、地域と連携協働し、生徒に選択される魅力ある高校づくりを推進することがこれまで以上に求められていると認識している。
道教委としては、指針の改定に当たって、地域創生の観点も踏まえた教育機能の確保が重要であるとの考えのもと、一定圏域における高校配置の在り方を地域と共に将来を見据えて考える場を設定し、圏域における各高校の役割等を踏まえた高校配置となるよう検討するなど、各地域において活力と魅力ある高校づくりが積極的に進められ、教育機会の維持向上が図られるよう、本道における望ましい高校教育の在り方について、道議会はもとより、道民から広く意見を伺いながら検討を進めていく。
D植村委員 大変難しい課題だと思う。今までは、各市町村単位で考えていたものだが、いろいろと協議する上で、圏域内のイメージがしっかりと分かるデータも用意しながら、子どもたちの人口も含めて、近い将来、どのような傾向になっていくのか、圏域ベースで考えていただき、また、将来像のイメージも共有できるような方向で考えていただきたい。
北海道全体を見ても、出生率が低くなってきている。来春、これからの高校づくりに関する指針が出る。その中にも組み込んでいただけるよう考えていただきたい。
◆いじめ問題
Q植村委員 旭川市の重大事態に対する第三者調査委員会の中間報告を受けて、先日、遺族が第三者調査委員会に対し、意見書を出した。委員会が実施した児童生徒のアンケート調査では、亡くなった女子中学生に対する学校内でのいじりやからかい、無視などを見たことがあるなどとの回答があったにもかかわらず、中間報告では一切触れられていないなど、いじめの認定が偏っていることなども指摘されており、最終報告に結果を反映するよう求めている。
道教委は、遺族の意見書をどのように受け止めているのか、認識を伺う。
A倉本教育長 いじめ重大事態調査への意見書について。6月21日、被害者側の弁護団は、旭川市長、市教委教育長および第三者委に対し、元年に当該被害生徒が在籍していた学校の生徒に実施したアンケートの結果を踏まえたいじめ認定について、説明を求めるなどの意見書を提出したと承知している。
道教委としては、これまで、市教委に対し、調査の進捗を遺族に丁寧に説明することや、遺族の心情に配慮した対応を行うよう指導助言してきた。引き続き、遺族の意見書に示された事案を含め、調査の最終報告に向けて、法令や国のガイドラインに基づき、適正かつ迅速に調査が実施されるよう、必要な対応に努めていただきたいと考えている。
P植村委員 児童生徒のアンケート調査で学校内でのいじめの可能性が明らかになったことを真摯に受け止めていただき、第三者調査委員会においてしっかりと調査が実施され、遺族に丁寧な説明がされるよう、引き続き、旭川市教委に対して指導するよう指摘する。
Q植村委員 道教委は、道と共に、いじめの防止などの取組の推進に向けて、いじめ防止対策推進法に基づき、北海道いじめ防止基本方針を策定し、いじめの防止などの対策の基本的な方向や具体的な内容を示している。
道教委は、現行の基本方針が示すいじめの防止対策について、どのような課題があると認識しているのか伺う。
A泉野生徒指導・学校安全課長 いじめ防止の対策について。道と道教委では、いじめ防止対策を総合的かつ効果的に推進するため、平成26年に北海道いじめ防止基本方針を策定し、法令に基づくいじめの定義や積極的な認知、いじめの未然防止、早期発見、早期対応などについて、基本的な考え方や実施すべき取組を示した。
しかしながら、これまでに学校や教育委員会から道教委に報告があった事例の中には、いじめの定義を限定的に解釈したため、初動対応が遅れたケースや、道教委と市町村教委がいじめ対応について認識を共有できなかったケースのほか、SNSによるネット上でのいじめや性被害、性暴力を伴ういじめなど、学校だけでは解決が困難な事案に対し、関係機関等と適切に連携できなかったケースがあるなど、道教委としては、道の基本方針に示したいじめ防止対策を、学校や市町村教委と十分に共有できていなかった側面もあったものと認識している。
D植村委員 方針はあるが、実情に合わせた現場の教員への対応等が必要になっているのではないか。
もう少し、道教委として、教員に対する指導をお願いしたい。また、いろいろなネットワークを活用していただきたい。
Q植村委員 いじめ防止基本方針は、いじめ防止条例に基づき、5年度に改定が予定されていると承知している。道教委は今後、これまでの課題を踏まえて、基本方針の改定についてどのように取り組むのか伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全担当局長 道のいじめ防止基本方針について。道の基本方針では、教育委員会や学校でのいじめ防止対策など、基本方針が適切に機能しているか、各種調査結果等や北海道いじめ問題審議会の協議を踏まえ、定期的に点検を行い、必要に応じて見直しを行うこととしている。
本道においては、いじめの積極的認知や、早期の組織的対応が徹底されていない事例や、学校、教育委員会が、弁護士などの専門家や警察等の関係機関と連携して対応することが必要な事案もあることから、道教委としては今後、北海道いじめ問題審議会はもとより、道関係部局、市町村教委、校長会などの関係機関等による北海道いじめ問題対策連絡協議会においても、道の基本方針に示したいじめ対策の改善点等について意見をいただくなど、知事部局とも連携し、次年度に向けて、未然防止はもとより、早期発見、早期対応に効果的に取り組めるいじめ防止基本方針となるよう、必要な見直しに取り組んでいく。
Q植村委員 道教委としては、基本方針に定める施策について、いじめの防止等に向けた取組プランを策定し、いじめ認知や未然防止、重大事態への対応などの6項目ごとに、具体的な取組内容や年次計画、目標指標を定めている。
このプランに基づいて、各学校では、初期対応はもとより、いじめの未然防止に向けた取組を行ってきたと思う。どのような取組が行われてきたのか、また、どのような点が課題なのか。
A泉野生徒指導・学校安全課長 各学校における未然防止の取組について。道教委では、いじめ防止基本方針を踏まえ、平成30年度から令和4年度までの間の学校での具体的ないじめ防止対策や目標指標等を示した、北海道いじめの防止等に向けた取組プランを策定しており、学校においては、プランを踏まえ、道徳等との関連を図り、児童生徒の豊かな心を育てる活動や、児童生徒がいじめを自分のこととして考え、議論する活動など、各学校が特色あるいじめ防止プログラムを作成し、いじめの未然防止に取り組んでいる。
しかしながら、昨年11月に把握したプランの取組状況では、小学校、中学校は概ね、既にプランに基づく取組を実施済みだったが、高校で2割強、特別支援学校では3割が11月までに実施していなかった。
道教委としては、プランに基づく取組を全ての道立学校で着実に実施できるよう、あらためて指導していく。
Q植村委員 いじめ防止基本方針の改定に併せて、取組プランも5年度の改定が予定されていると思うが、どのような観点で改定を検討するのか伺う。
A泉野生徒指導・学校安全課長 いじめ防止取組プランについて。道教委では、プランの評価、検証のため、ことし2月に、教職員、児童生徒、保護者等を対象として、いじめ問題への認識やいじめ対応の理解の状況をアンケート方式で把握しており、例えば、学校のいじめ未然防止の取組を肯定的に回答した割合は、教職員が約97%に対して、児童生徒は約55%、保護者は約45%、学校のいじめ対応は適切であると肯定的に回答した割合は、教職員が約96%に対して、児童生徒は約49%、保護者は約28%となるなど、教職員と児童生徒や保護者との認識に差が見られたほか、「分からない」と回答した保護者は半数以上いた。
道教委としては、こうした認識の差が生じたことや、「分からない」との回答が多かったことに対しては、アンケート結果を分析した上で、校長のリーダーシップのもと、学校が、教職員はもとより、児童生徒や保護者と一体となって取り組むことや、学校のいじめ対策を丁寧に地域の方々に発信し、理解を得ていく取組も必要であると考えている。
今後、北海道いじめ問題審議会等における、プランの改善に関する意見も参考とし、基本方針と併せて、次期プランを策定していく。
Q植村委員 教職員と、児童生徒と保護者の認識の差が「分からない」という回答があったにせよ、今の現場の状態をよく表しているのではないか。
いじめ問題については、認知したあと、いかに速やかに組織的な対応を行うかということが重要になってくる。
道教委としては、学校での組織的な対応の強化に向けて、今後どのように取り組んでいく考えなのか伺う。
A倉本教育長 いじめ問題への今後の取組について。いじめは、子どもの命や心を深く傷付ける深刻な問題であり、道教委としては、いじめを見逃さず、積極的認知と早期の組織的対応の徹底について、市町村教委と認識を共有するとともに、対応等に課題を抱えている場合には、解決の道筋が付くまで必要な支援を行うことが重要と認識している。
道教委としては、今後、学校等において、適切かつ迅速に組織的対応ができるよう、事案に応じたフローチャートやチェックリストなどのいじめ対応支援ツールを作成し、学校での初動対応を徹底するとともに、学校だけの対応では事案が深刻化する兆候を把握した場合は、弁護士やスクールカウンセラー等による緊急支援チームを編成し、アウトリーチ型支援として学校に派遣し、共に対応に当たるなど、道教委と市町村教委がこれまで以上に連携を強め、いじめ問題の取組を進めていく。
(道・道教委 2022-10-07付)
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