自殺リスクの早期発見に　道教委が評価ツール公開　学級・個の状況を共有、対策へ

（道・道教委 2022-12-16付）

自殺予防アセスメントツール（クリックすると拡大表示されます）

　道教委は児童生徒の自殺予防に向けたアセスメントツール「心と体のチェックリスト」を作成し、ホームページに公開した。怒りやいら立ち、身体の不調、心配や不安、落ち込みや無気力、環境のストレスの状況を児童生徒がエクセルに入力することで、学級全体の状況を一覧化するほか、個々の詳細をレーダーチャートで表示する。複数の教職員やスクールカウンセラーと情報を共有・考察し、よりきめ細かな対応やリスクのある児童生徒への対策につなげることが可能となる。

　国内全体の自殺者数に対する若年層の自殺者数は増加傾向にあり、文部科学省の令和２年調査によると児童生徒の自殺者は前年比１００人増の４９９人を記録した。

　道教委は自殺予防に向けた取組の一層の充実を図るため、文科省の改訂版生徒指導提要や専門家らの意見をもとに同ツールを作成。児童生徒が１人１台端末からのエクセル入力、または用紙で心身の状態を１～４の数字で入力する。チェック項目は「怒りやいら立ち」「身体の不調」「心配や不安」「落ち込みや無気力」「環境のストレス」「相談相手の有無」に関する計２５項目。

　入力したセルを作業シートに添付することで学級内の児童生徒の状態を一覧化して表示する。肯定的な回答は白や水色、否定的な回答は赤や黄色で色分けされており、学級全体の状況把握とリスクのある児童生徒が確認できる。

　レーダーチャートでは各項目や設問のバランスが分かるほか、前回の結果と比較することで状態の変化を確認。中心に近付くほど心と体のバランスが良い状況とされる。

　調査の結果は複数の教職員やスクールカウンセラーらで共有・考察する。自殺のリスクがある児童生徒に対しては、全教職員での情報共有と適切なフォローアップ、個人面談や保護者との懇談などの対策を講じることが考えられる。

　道教委は、長期休業の前後にアセスメントツールを活用し、複数で学級や児童生徒一人ひとりの心と体の状況や変化を確認し、リスクのありそうな児童生徒の早期発見・早期対応に努めるよう求めている。

(道・道教委 2022-12-16付)