道教委 今後の近代美術館整備 3項目で評価し検討 エリア機能、経済性、環境性(道・道教委 2024-01-10付)
道教委は、老朽化する道立近代美術館における今後の施設整備等の検討を進めている。昨年12月中旬にオンラインで開いた第11回これからの北海道立近代美術館検討会議では、同館の整備方法等の比較項目を提示。大きく「エリアの機能」「経済性」「環境性」の3つに分類し、今後、各項目に基づく評価を実施する。構成員からは、職員のモチベーションの変化を記載するなど、定量だけではなく、定性的な視点を比較項目に盛り込むことを求める声などが上がった。
道教委は、老朽化する同館のリニューアルを視野に、今後の同館の施設整備や役割等に関する方針を検討するため、4年1月に「これからの道立近代美術館検討会議」を設置。これまでの美術館活動の検証や今後求められる使命、役割などについて有識者や道民から意見を聞きながら検討してきた。
昨年3月9日~4月8日の期間で実施したパブリックコメントや有識者会議による協議を経て、7月にリニューアル基本構想(中間報告)を策定した。
中間報告では、同館を整備する方法として①既存施設の活用(改修+増築)②現敷地での建て替え(現地新築)③知事公邸等が所在する区域への移転(移転新築)―の3つに整理。いずれも利点や課題があり、美術館活動への影響や経済性・環境性などが異なることから、それぞれメリット・デメリットを比較するとともに、合理性・客観性を確保できる評価方法を検討する必要性を示した。
道民や専門家の意見を踏まえ、知事公館や近代美術館を含めたエリア全体の活用策についても検討。本道の文化・芸術・歴史の発信拠点としての活用の検討を進めている。
近代美術館エリアの活用パターン案について、専門的見地による比較項目の設定・評価を行うことでメリット・デメリットを多角的に分析し、合理的・客観的に検討することを目的に同館の「整備方法等に係る技術的検討調査」を実施。前提条件として「まちづくり等の関連計画との整合性の確認や都市計画条件や立地条件などの関連法規・制約条件の整理を行うこと」とした。
事業化の可能性については、同館の想定される美術館活動を整理し、活用パターンそれぞれにおける新しい館内の各所室や付帯設備等について実現性のある構成や規模、配置、その整備内容を検討。その上で、社会面・経済面・環境面など様々な観点から比較項目を設定した。
これら項目に基づき、他の類似事例や近年の建築資材費の動向を踏まえた評価の実施、諸課題の整理・整備スケジュールの算定を行う。
設定した比較項目をみると、大きく「エリアの機能」「経済性」「環境性」の3つに分類。これら項目それぞれで評価に係る基準視点を整理した。
エリアの機能のうち、美術館活動は、リニューアル基本構想(中間報告)に記載した「現状や課題、コンセプトへの対応」を基本に設定。エリア全体の観点から周辺環境との調和や敷地・現況、用途地域などの敷地の条件、公共交通機関からのアクセスなども項目に据えた。
経済性の項目には、近代美術館の改修・新築費用、近代美術館等を解体する場合の費用などの「イニシャルコスト」や、光熱水費や設備保守費などの「ランニングコスト」、利活用を検討する敷地を民間活用する場合の収入見込みを設定。
環境性には、大樹や水、土壌環境への影響や、既存樹木の伐採の規模、動植物などの生態系への影響のほか、建築物のZEB化などの脱炭素化への貢献度、工事の際の廃棄物の量などを示しており、今後、これら項目に基づいて評価を実施する予定。
会議で構成員からは「比較項目に知事公館や近代美術館を含めたエリア全体を評価できるような項目を明確に示すべき」「定量では測れない定性的なものが抜け落ちてしまうと、形式的な比較になってしまう恐れがある。働いている職員のモチベーションの変化を記載するなど、定性的な視点を項目に盛り込んでほしい」などの意見が上がった。
(道・道教委 2024-01-10付)
その他の記事( 道・道教委)
道教委 働き方改革取組状況調査 ICT活用 欠席連絡は4割 保護者らの苦情・要求が倍増
道教委は学校における働き方改革北海道アクション・プランに係る5年度取組状況調査をまとめ、10日の道議会文教委員会で報告した。ICTを活用して教材・指導案を共有する学校は6割、欠席連絡に関し...(2024-01-12) 全て読む
地震・津波に備え 指導者養成新講座 道 16日根室から 6管内で開催
道は、16日の根室会場を皮切りに「巨大地震や津波災害から住民を守る」講師養成講座を6管内で開催する。発生が切迫しているとされる日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震・津波から住民の命を守るため、...(2024-01-12) 全て読む
道特別支援副校長・教頭会 冬季研 職場の同僚性高めて 佐古指導監や石垣道文教大教授
道特別支援学校副校長・教頭会(鴻江康人会長)は9日、道立特別支援教育センターを主会場に、冬季研究協議会をオンラインで開催した。道教委の佐古勝利教育指導監や北海道文教大学の石垣則昭教授による...(2024-01-11) 全て読む
道教委 健康教育推進研究協〈空知〉 最小限の食事制限大切 食物アレルギーで北大・竹崎氏
【岩見沢発】道教委は昨年12月上旬、岩見沢市民文化センターまなみーるで健康教育推進研究協議会(空知会場)を開催した。北海道大学大学院医学研究院小児科学教室の竹崎俊一郎特任助教が「アレルギー...(2024-01-11) 全て読む
文科省 5年度優秀教職員表彰 道内38人 若手奨励11人 組織表彰 札幌市幌西小など8校
文部科学省は5年度文部科学大臣優秀教職員表彰の受賞教職員・教職員組織を決定した。道内からは、学習指導をはじめ各実践分野で優れた成果を上げた公立学校の教職員38人が受賞。教職員組織は札幌市立...(2024-01-10) 全て読む
盛山文科大臣 6年年頭所感 質高い教師確保へ改革 DX加速や不登校対策強化
盛山正仁文部科学大臣は6年年頭所感で「質の高い教師の確保」を喫緊の課題と強調し、教師の養成・採用・研修の一体的改革を推進する決意を示した。小学校高学年の教科担任制の強化、スクール・サポート...(2024-01-09) 全て読む
事業に対する思い、将来の夢
マイスター・ハイスクール事業成果発表会では、静内農業高校の食品科学科3年の梅木優歌さん、生産科学科3年園芸コースの山本唯人さん、生産科学科3年馬事コースの牛尾夢我さんが「マイスター・ハイス...(2024-01-09) 全て読む
マイスター・ハイスクール静内農高 3年間の研究成果を披露
【苫小牧発】静内農業高校(赤穂悦生校長)は昨年12月中旬、新ひだか町公民館で「マイスター・ハイスクール事業」成果発表会を開催した。食品科学科、生産科学科園芸コース、生産科学科馬事コースの代...(2024-01-09) 全て読む
オホーツク局 幼小連携担当者研修会 実態に応じた教育課程を 望ましい連携体制考える
【網走発】オホーツク教育局は昨年12月21日、オンラインで幼小連携・接続担当者研修会を開いた。地域の実態に応じた取組の推進に向け、自治体と園、小学校との望ましい連携体制を考えた。 研修...(2024-01-05) 全て読む
北海道アクションプラン第3期 校務効率化など5柱 働きやすさと働きがい両立へ
道教委は、6年度から学校における働き方改革「北海道アクション・プラン(第3期)」をスタートさせる。計画の素案では「校務の効率化と役割分担の推進」など柱となる5つのアクションのもと、27の具...(2024-01-05) 全て読む