「学校からの教育改革」を 道中第5回理事研修会―赤岩会長あいさつ(関係団体 2016-11-18付)
道中学校長会第五回理事研修会(十一日、ホテルライフォート札幌―十六日付1面既報)における赤岩輝雄会長のあいさつ概要はつぎのとおり。
◇ ◇ ◇
まずはじめに、大変うれしいニュースを紹介する。
このたび、道中から四人の校長が二十八年度道教育功績者表彰を受賞することになった。本年度渡島地区理事で、昨年度は副会長を務めた川野真一校長、本年度函館市地区理事の岡野伸二校長、本年度釧路市地区理事の梅本宏之校長、昨年度空知地区理事を務めた田中佳樹校長である。四人は道中の役員・理事として、また、それぞれの地区校長会のリーダーとして本道教育の充実・発展に寄与してきたことによる受賞と考えている。これまでの活躍に感謝するとともに、心よりお祝い申し上げる。
それでは、私から四点について話す。
一点目は、道中研・全日中研、そして地区別教育経営研究会について。
九月三十日、十月一日に行われた第五十八回道中学校長会研究大会上川・旭川大会を終え、ひと月半になろうとしている。先日発行した『道中だより』第三百五十五号において、大会の内容を報告したところである。旭川市を会場に二日間にわたり開催されたこの大会には、全道各地より三百三十人を超える会員の参加があった。小学校の校長も含めた上川地区校長会の総力を挙げた、きめ細かな配慮と準備、そしてもてなしによって大きな成果を上げるとともに、新たな四ヵ年継続研究のスタートにふさわしい充実した大会になったと確信している。
また、先月末に行われた全日中研究協議会宮城大会にも、多くの道中会員に参加いただいた。道中を代表して、第六分科会において釧路市校長会と釧路校長会から提案が行われた。両校長会の協力にあらためて感謝する。自己肯定感を高める生徒指導の観点から、校長会としての共同研究による成果と課題、校長としてのリーダーシップやマネジメントの在り方など示唆に富んだ提案であった。
つぎに、七月二十七日の宗谷地区からスタートし、十月十七日の札幌市小学校長会まで各地区において行われた「地区別教育経営研究会」についてであるが、企画・運営を担当された各校長会の役員ならびに関係者に心よりお礼申し上げる。
各地区においては、年々、内容や運営方法など十分検討や工夫が進められ、校長の職能向上に資する充実した研究会となっていることにも感謝申し上げる。今後もさらなる充実を目指していただければと思う。
また、本年度は、道小・道中の役員がスライドを使いながらそれぞれの組織の活動を紹介したり、組織の在り方について直接説明するなど新たな取組を行った。来年度に向けて意見や要望等があれば、経営部まで寄せていただきたい。
二点目は、全国学力・学習状況調査について。
本年度の調査結果のポイントとして、道教委は、すべての教科で全国平均以上という目標には届かなかったが、昨年度に引き続き改善の傾向がみられると評価する一方、いまだ下回る教科や差が広がった教科もあることから、検証改善サイクルをより確かなものとしていくことによって、子どもたち一人ひとりの学習状況を改善することが必要であると指摘している。
また、今月月末には道教委から「北海道版結果報告書」が出されることになっている。
全国学力・学習状況調査が実施十年を経過し、実施の在り方や、結果の活用の在り方についてあらためて議論されている。先般の上川・旭川大会でも文部科学省の浅田和伸審議官から「調査の目的から逸脱した過度な競争意識が行政や現場にあるのは遺憾である」「今後、より現場や生徒に還元され、活用される結果の提供などを行いたい」といった説明があった。
私たち校長は、「学校からの教育改革」の視点に立って、自校の結果の細かな分析を通じ、あらためて課題を明らかにし、改善に向けた具体的なビジョンを描きながら、家庭や地域に対してしっかりと説明責任を果していかなければならない。調査結果については分析ツールを活用するなどして、各教科の状況はもちろん、質問紙調査の傾向についてもその状況を生徒や保護者、地域に分かりやすい形で示し、さらなる改善に向けて、家庭・地域・行政が一体となった取組を推進したい。
私は、上川・旭川大会の記念講演で慶応義塾大学の中室牧子教授が話しされていた二つの視点、「因果関係と相関関係の区別」「学力を支えるやり抜く力や自制心といった非認知能力の育成」から、自校の取組をダイナミックに見直すことも「学校からの教育改革」の一つの方策ではないかと考えている。
三点目は、文科省関係の動向と概算要求について。
宮城大会の前日に第二回全日中理事会が行われた。その中で、榎本全日中会長より配布した資料に沿って説明があった。
八月二十六日、中央教育審議会教育課程部会から「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ」が発表され、すでにパブリックコメントも取りまとめられているが、九月二十六日に全日中会館で文科省初等中等教育局の合田哲雄教育課程課長が、全日中会長に「審議のまとめ」および各学校段階、各教科等における改訂の具体的な方向性などについて説明した。
説明の中に、「改訂の方向性として、教育課程や学習指導要領等が、学校の創意工夫のもと、子どもたちの多様で質の高い学びを引き出すため、学校教育を通じて子どもたちが身に付けるべき資質・能力や学ぶべき内容などの全体像を分かりやすく見渡せる『学びの地図』として、家庭や地域、社会の関係者が幅広く活用できるものとする」とあるが、例えば、アクティブ・ラーニングやカリキュラム・マネジメントといった横文字のキーワードが市民レベルで理解いただけるようにどのように説明されるのか、また、学校と社会をつなぐ「学びの地図」としてどのように周知されるのか、今後に期待したいと考える。
つぎに、「次世代の学校」指導体制実現構想についてふれる。これは、上川・旭川大会で浅田審議官も説明していたが、①「社会に開かれた教育課程」の実現②多様な子どもたち一人ひとりの状況に応じた教育への対応③「次世代の学校・地域」創生プラン等の推進の実現―のために、概算要求として教職員定数の改善等を要求したものである。
具体的には、二十九年度に三千六十人、十年間で二万九千七百六十人の定数改善を要求していることや、部活動指導業務手当の引き上げなどがある。
また、教職員定数の改善や教育関係予算の拡充を要請する教育関係二十三団体全国集会が十一月一日に東京で開催された。全日中からも参加しており、全体で「子供たち一人一人にきめ細かな教育を実現するための教職員定数改善等を求めるアピール」が採択された。
四点目は、来年度に向けた要望事項のまとめと、本会の組織運営の見直しについて。
現在、道教委総務政策局による「教育職員の時間外勤務等にかかる実態調査」が全道から抽出された中学校二十校で実施されている。これは、二十年度に実施した調査結果と比較分析等することによって、本道における教育職員の時間外勤務等の縮減に向けた取組の一層の推進を図ることを目的としている。
これまでも本会は、道小・道公教とも連携し、時間外勤務の縮減に向けた制度の見直しや環境整備について道教委へも働きかけていることから、調査に当たった学校では苦労をかけるが、協力をお願いする。調査結果をもとに、引き続き道教委へ働きかけていく。
最後になるが、本会の組織運営の見直しについては、二十六年度から二年半をかけて、組織検討委員会により取り組んできたが、いよいよ最終案がまとめられた。すでに前回の理事研修会で骨子案を示していたが、その後、細かな字句修正を行った程度で、骨子については変更がないと確認している。
委員には、多忙の中にもかかわらず真摯に取り組んでいただいたことに心より感謝申し上げる。検討委員会の報告を受けて、今後の工程や会則等の改正について提案する。
(関係団体 2016-11-18付)
その他の記事( 関係団体)
高校生ものづくりコンテスト全国大会 7部門、90人が技競う 技術継承へさらなる成長期待
全国工業高校長協会(後藤博史理事長)は十二~十三日の二日間、札幌市、小樽市、苫小牧市の各会場を舞台に「第十六回高校生ものづくりコンテスト全国大会」を開催した。各地区の予選を勝ち抜いてきた七...(2016-11-22) 全て読む
周知徹底と取組強化を 飲酒運転根絶へ緊急アピール―旭川市小学校長会・旭川市中学校長会・上川管内校長会
【旭川発】旭川市小学校長会(中山雅文会長)と旭川市中学校長会(岩田俊二校長)、上川管内校長会(澤井陽一会長)は十六日、「飲酒運転根絶にかかる緊急アピール」を発表した。十二日に旭川市内で発生...(2016-11-21) 全て読む
職能向上へ研鑚深める 札幌市中学校長会が全体研修会
札幌市中学校長会(大塚伸一会長)は十六日、ホテルライフォート札幌で全体研修会を開催した。研究基本主題「未来を築き、ともに社会を創る力を育む札幌市中学校教育」と設定し、研究部など七部が研究発...(2016-11-21) 全て読む
道性教育研究会が函館・渡島大会 意図的・計画的な指導を かかわり重視した授業構築へ
【函館発】道性教育研究会(蛯名嘉津夫会長)は十一日、函館市立柏野小学校で第四十五回研究大会函館・渡島大会を開催した。約百人が参加。児童生徒同士のつながりをキーワードに、生きる力を培う性教育...(2016-11-21) 全て読む
札幌市公立小中学校事務職員協議会 研究報告等通し研鑚積む 全体研修会に148人参加
札幌市公立小中学校事務職員協議会は十一日、札幌サンプラザで研究報告会・第二回全体研修会を開催した。百四十八人が参加。各地区の研究報告や講演を通して、学校事務職員としての資質向上を図った。 ...(2016-11-18) 全て読む
釧路小中教頭会が研究大会開く ミドルリーダー育成へ 実践発表や講演会などで研鑚
【釧路発】釧路小中学校教頭会(佐藤敬喜会長)は十一日から二日間、弟子屈町内の川湯観光ホテルで二十八年度研究大会を開催した。約五十人が参加。実践発表や交流、講演会などを通して、ミドルリーダー...(2016-11-18) 全て読む
組織活動の在り方協議 日本教育会道支部第2回理事研
日本教育会道支部(諏江康夫支部長)は十日、ホテルライフォート札幌で二十八年度第二回理事研修会を開催した=写真=。各校種から約二十人が参加し、日本教育会の全国大会、支部の活動状況、組織の在り...(2016-11-17) 全て読む
道公立学校事務長会が調査研究推進委員研究協議会 業務の効率化・省力化を 柔軟な発想もって―永井会長
道公立学校事務長会(永井進会長)は十一日、ホテルライフォート札幌で二十八年度調査研究推進委員研究協議会を開催した。本部調査研究部や各支部が研究発表。「学校事務における業務のアウトソーシング...(2016-11-17) 全て読む
30年度文教要望で協議 道都市教育長会が秋季定期総会
【函館発】道都市教育長会(会長・長岡豊彦札幌市教育長)は八日、函館国際ホテルで秋季定期総会を開催した=写真=。道内から三十一人の教育長が出席。三十年度の文教施策に対する要望事項について全体...(2016-11-16) 全て読む
道社会科・生活科教育研究大会公開授業②司法への参画意識高め 上篠路中3年社会科
第六十九回道社会科教育研究大会・第二十六回道生活科研究大会で行った社会科の公開授業では、上篠路中の倉賀野純子教諭が三年一組(生徒数三一人)の「裁判員制度と司法制度改革」について指導。本時の...(2016-11-16) 全て読む