【解説】ほっかいどう学推進の背景
(解説 2017-03-24付)

 北海道総合開発計画(以下、道総計)は、北海道開発法に基づき、本道の資源・特性を生かして、わが国が直面する課題解決への貢献と地域の活力ある発展を図るために国が策定するもの。昭和二十七年の第一期計画に始まり、現在は、二十八年度から概ね十年間を期間とする八期計画が進められている。

 当時の運輸、農林、建設省の省庁横断的な枠組みと道総計によって、資源開発、道路、港湾、河川等の整備拡充、土地改良による農地の形成を一体的に進め、本道は短期間でわが国最大の食料供給基地となるまで変貌を遂げた。

 積雪寒冷地だった本道を振り返るとき、五百四十万人余りが居住するまでに成長したのは、開拓者の知恵はもとより、半世紀以上に及ぶ道総計に基づく地道な社会資本整備の成果だが、「広く一般に浸透しているかは疑問」(行政関係者)との声がある。

 要因の一つとして、教育内容の変遷を指摘する関係者も。社会科の授業時数は、昭和四十六年の小学校の学習指導要領によると、一~六年で通算六百六十三時間となっていたが、平成二十三年の学習指導要領では三~六年で三百六十五時間にまで減少した。

 昭和四十年代に発刊された社会科の副読本では、北海道開発をはじめ、北海道全体に関する網羅的な記述があったが、時代が進むにつれ、地元の市町村を学習する題材が主流となってきている。

 北海道全体を広く深く学ぶ題材が失われたことに危惧を抱く関係者も少なくない。

 〝ほっかいどう学〟の推進は、こうした背景を踏まえると、必然の流れと言えよう。検討は緒に就いたばかりだが、どのような施策と実践が生み出されるのか。今後の動向が注目される。

(解説 2017-03-24付)

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