【伝えたい!授業づくりの基礎・基本】No.6国語科・小学校編②北海道国語教育連盟(齋藤昇一委員長)「深い学びを生む授業のポイント」
(伝えたい!授業づくりの基礎・基本 2017-12-11付)

伝えたい国語科小学校編2
対話を通して、一人一人が学びに自覚的になれるかが鍵である

◆実の場とふり返りで問い直しと自覚を

1 問い直す言語活動~実の場を示す

 国語科学習において言語活動を具体化する際、次の五点に留意しなければならない。

 ①目標に迫るため、一人一人が言葉に目を向ける活動であること②子どもの目的意識を伴うこと③活動の中で思考・判断を働かせ、表現する場があること④単元に効果的に位置付くこと⑤力が身に付く具体的な手立てがあること

 特に②は、「実の場」(学習者が活動に対し、必然性と必要性とを感じさせるようなリアリティの下で、自ら取り組もうとする姿勢に立てる場)の設定が重要である。

 したがって、低学年では「実の場」を教師が分かりやすく示し、期待感を高めると同時に、学ぶ道筋を何度も確認しながら進め、中学年では「実の場」や目標を子どもと教師で設定し、単元の大まかな流れについても子どもと教師で計画したい。高学年では、導入で「実の場」や目標を子どもと設定することはもちろん、これまで身に付けた力のうち、本単元で生かせる力は何か、足りない力は何かを子どもとともに明らかにしていきたい。

 そうすることで、子ども自ら言語活動を見つめ、問い直す学びにつながっていく。

2 言語活動を支える教師の役割

 子どもが言語活動を通して学びを進める上で、それを支える教師の役割は欠かせない。

(1)「実の場」を意識させるかかわり

 毎時間の取組を、単元のゴールである「実の場」に照らして考えさせる。1年物語文「大きなかぶ」の音読発表会の場合、単元終末の発表会に向け、場面の様子や人物の行動を音読する根拠や理由として結び付けられるようなかかわりが教師に求められる。

(2)個と集団をつなぐかかわり

 個人で読んだり書いたりする場と、他者と学び合う場のつながりをつくる。

 例えば、スピーチの学習では、よりよいスピーチを学級全体で話し合ったあと、一人ひとりのスピーチにそれが反映されるよう、学級全体の話し合いをどう価値付けるかがポイントとなる。

(3)個の活動をとらえるかかわり

 話すことや書くことといった、個人差が特に表れやすい単元で大切となるのが「個」へのかかわりである。

 例えば、グループ人数等を含む交流活動の条件設定や、活動に用いるシートの工夫等が考えられる。小交流においては単なる場の共有にとどまることなく、交流の様子を観察する子どもを設定して助言したり、よいところを学ばせたりする等、目標に応じた工夫ができる。

3 学びのふり返りで自覚を生む

 授業での学びが生きて働く力となるためには、「何をどのように学び、何が身に付いたか」を子どもが自覚しなければならない。いわゆる「メタ認知」と呼ばれるものだが、ふり返りをただノートに書けばよいわけではない。

(1)低学年のふり返り

 2年話すこと・聞くこと「話し合って決めよう」の学習では、小グループ(2~4人)での話し合いの様子をビデオに収め、自分たちで視聴しながら目標である「相手の発言を受けて話をつなげられたか」について、ふり返る方法がある。これは学びの姿を客観的に見えるようにするものである。

 そのほかに、低学年では記述ではなく、評価の観点を3段階等に設定する工夫も考えられる。

(2)中学年のふり返り

 中学年は、3年書くこと「食べもののひみつを教えます」の学習で考えてみる。説明文「すがたをかえる大豆」での学習を基に、自分で短冊にまとめた様々な工夫を並べ替え、順序が適切かどうか友達と読み合う活動を設定し、その際「すがたをかえる面白さが伝わるか」という観点で友達と評価し合う場を設ける。その評価を基に、「考えと事例の関係を明確にできたか」をふり返る方法である。

 書くことの学習では、相手意識や目的意識が重要であるため、他者評価を適切に取り入れることが有効である。

(3)高学年のふり返り

 高学年は、5年物語文「大造じいさんとガン」の学習で考えてみる。

 椋鳩十作品を複数読み比べ、「大造じいさんとガン」の魅力について話し合う言語活動を設定した場合、椋鳩十の作品はテーマに近似性があるため、読み比べると「表現の効果」が作品によって違うことに子どもは目を向けていく。

 そこで、書評を書く活動を展開する。その際、印象的な箇所を「引用」させ、どの場面のどの言葉に着目したかを考えさせることで、自己の読みをふり返るようにする。

 読むことの学習では、話し合ってはっきりしたこと(解釈)と、自分の読み(考えの形成)を結び付けてふり返りを書かせることが重要になる。

 このように、扱う領域や単元、発達段階によってふり返りの方法は異なるが、学んだことに自覚的になれるかが鍵である。

(北海道国語教育連盟札幌地区 北海道教育大学附属札幌小学校 教諭 中島大輔)

※次回は「授業改善のポイント」を掲載します。

(伝えたい!授業づくりの基礎・基本 2017-12-11付)

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