少年の主張石狩地区大会 夢をかなえる 江別市野幌中3年・五十嵐さん(道・道教委 2019-07-11付)
少年の主張石狩地区大会が4日、道庁赤れんが庁舎で開かれた。管内7市町村の中学生の代表が、日常生活の中で体験したこと、日ごろ考えていること、大人に対する思いなどを発表した。
審査の結果、江別市立野幌中学校3年の五十嵐彩佳さんの「夢をかなえる」が最優秀賞を受賞。優秀賞には、新篠津村立新篠津中学校3年の三上明星さん、当別町立西当別中学校2年の石原岳君が選ばれた。五十嵐さんは、9月5日に行われる全道大会に出場する。
ニュースをみてロボットや電子機器が中心になっていく未来に疑問を抱いた五十嵐さんは、電子機器にふれる時間が増え患者とふれ合う時間が減ったという母の話と、叔母が勤める介護施設で入居者にあたたかく寄り添う介護士の姿を比較。「人と人とのつながりの大切さにあらためて気付いた」と話し、人のあたたかさをしっかりともって未来を創り出していきたいと訴えた。
五十嵐さんの発表内容はつぎのとおり。
私がテレビを見ていたとき、ふと「ロボットの近未来化」のニュースが目にとまった。今日、ロボットだけではなく、たくさんの電子機器が使われている。これからの未来は、ロボットや電子機器が中心の世界になっていくのだろうか、そんな疑問がわいた。
そんなとき私は、看護師の母と介護士の叔母に話を聞く機会を得た。母が勤務している病院では、まだロボットは導入されてはいないが、電子カルテを中心に電子機器が多く使われているそうだ。母は、電子カルテにふれる時間が多くなり、患者さんに直接ふれる時間が減っているということに疑問を抱き、そこに、何か足りないものを感じているという。
そして私は、叔母が勤務している「らしく」という介護施設を訪問した。そこでは、あまり電子機器は使われておらず、入居者さんに寄り添う形で介護が行われていた。
とにかくよく入居者さんの話を聞いている。入居者さんのペースに合わせて、うなずき、共感しながら、入居者さんがくつろいだ時間を過ごせるように配慮していた。
食事の場面では、入居者さんの不自由な部分を補うことができるような食具を用いて自分で食べることを側で見守っていた。そして、できない部分にのみそっと手を差しのべていた。介護士さんと入居者さんが支援する人とされる人という関係を超えて、生活を共にする家族のように過ごしていた。障がいがあって生活している方たちが、本来の自分らしく生活できるように支援していた。そこには、「あたたかさ」が感じられた。つらいとき、苦しいときに寄り添う心があった。
どんどん電子機器が発達し、ロボットが実用化されていく。皆さんも一度は考えたことがあるのではないだろうか。ロボットという存在によって、人間がいらなくなるのではないか、ロボットばかりが活躍する時代になっていくのではないかと。
私は、もしそうなってしまったのならば、この世界は冷たい氷のように閉ざされていってしまうのではないかと不安に思った。しかし、現在の時代では電子機器やロボットは欠かすことのできないものであることも事実である。人間には到底行えないメモリー機能をもち合わせ、プログラムされたとおり的確に作業をこなすことができる。
さらに、会話ができるロボットや人間のような動きができるロボットも創られている。このようなロボットたちを創り出していくのは、人間であり、それこそ人間にしかできないことなのだ。
私は、介護施設で入居者さんたちに寄り添う介護士さんたちの姿を見て、人と人とのつながりの大切さにあらためて気付かせてもらった。人間は、人を癒し、その人とのかかわりによって、心を豊かにするという力をもっている。
私は、人の心と手のあたたかさをしっかりともってこれからの未来を創り出していきたい。その心をもっていれば、どんな未来も可能にできると思う。
「夢をかなえるのは私たちだ」。
(道・道教委 2019-07-11付)
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