授業時数の扱いなど解説 臨時休業に伴う参考情報 文科省
(コロナウイルス関連 2020-03-04付)

 文部科学省は、通知「新型コロナウイルス感染症対策のための小学校、中学校、高校および特別支援学校等における臨時休業に伴う教育課程関係の参考情報について」を2月28日付で各都道府県・指定都市教委教育長などに発出した。授業時数の扱い、各学年の課程の修了や卒業の認定など、臨時休業に伴うQ&Aを記載。臨時休業期間における各教科等の家庭学習の工夫、教材例も紹介している。

 Q&Aの概要はつぎのとおり。

Q1 臨時休業に伴い、本年度中に実施できる授業時数が標準授業時数を下回ってしまうことが見込まれるが、どうすればよいか。

A 新型コロナウイルス感染症に伴う臨時休業を行った場合において、学校教育法施行規則等に定める標準授業時数を下回った場合においても、下回ったことのみをもって学校教育法施行規則に反するものとはされない。

 その場合には、

・児童生徒の学習に著しい遅れが生じることのないよう、可能な限り、臨時休業期間中において家庭学習を適切に課したり、臨時休業終了後には補充のための授業や補習を行ったりするなど配慮すること

・児童生徒の各学年の課程の修了または卒業の認定等に当たっては、弾力的に対処し、その進級、進学等に不利益が生じないよう配慮すること

 ―などに留意いただくようお願いする。

Q2 実施した授業時数が標準授業時数を下回っていても、各学年の課程の修了や卒業を認定してもよいのか。

A Q1で述べたとおり、新型コロナウイルス感染症に伴う臨時休業を行った場合において、学校教育法施行規則等に定める標準授業時数を下回った場合においても、下回ったことのみをもって学校教育法施行規則に反するものとはされない。

 各学年の課程の修了または卒業の認定は、児童生徒の平素の成績を評価して行うこととなっており、総合的に判断してもらうものである。

 児童生徒の各学年の課程の修了または卒業の認定に当たっては、弾力的に対処し、その進級、進学等に不利益が生じないよう配慮いただくようお願いする。

Q3 卒業を迎える学年の児童生徒に、3月末までに指導すべき内容の指導を行うことができなかった場合においても、当該児童生徒の卒業を認定しても問題はないのか。

A 卒業の認定に当たっては、児童生徒の平素の成績を評価して行うこととなっている。

 今般の臨時休業に伴い、卒業を迎える学年の児童生徒が授業を十分受けることができなかった場合であっても、児童生徒の卒業の認定に当たっては、弾力的に対処し、その進学等に不利益が生じないよう配慮いただくようお願いする。

Q4 卒業を迎える学年の児童生徒に、3月末までに指導すべき内容の指導を行うことができなかった場合、どのような対応が考えられるか。

A 今般の臨時休業に伴い、卒業を迎える学年の児童生徒が授業を十分受けることができなかった場合には、必要に応じ、進学先の学校に当該児童生徒の学習状況を共有いただくようお願いする。

 また、進学先の学校においては、共有された情報を踏まえて必要に応じて補充的な学習などの個に応じた指導を行う等の配慮が考えられる。

Q5 卒業を迎える学年以外の児童生徒に、3月末までに指導すべき内容の指導を行うことができなかった場合に、次学年の授業時数の中で、前学年の未指導分の授業を行うことは可能か。

A 今般の臨時休業に伴い、卒業を迎える学年以外の児童生徒が授業を十分受けることができなかった場合には、児童生徒の学習に著しい遅れが生じることのないよう、必要に応じて、次年度に補充のための授業として前学年の未指導分の授業を行うことも考えられる。

 その場合において、標準授業時数を超えて授業時数を確保する必要は必ずしもなく、各学校において弾力的に対処いただくことが可能である。

Q6 臨時休業期間において、指導要録の「出欠の記録」にはどのように記載すればよいか。

A 平成22年5月11日の通知「小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について」に示すとおり、学校保健安全法第20条に基づく臨時休業の措置を行った場合には、授業日数には含まないものとして記録を行うようにしてもらいたい。

Q7 臨時休業期間中に実施した家庭学習の内容を学年末の学習評価に反映してよいか。

A 学習評価を行うに当たっては、日々の授業の中で児童生徒の学習状況を適宜把握し、総合的に判断することが重要であり、臨時休業期間中の家庭学習の成果を適切に加味することは考えられる。

Q8 通知表については、渡すのが4月以降になってしまってもかまわないか。

A そもそも通知表は法令上の作成義務はなく、実態として各学校で作成しているものである。

 このため、通知表の作成・交付を本年度中に行う義務はなく、児童生徒や保護者等に渡すのが4月以降になっても問題ない。

Q9 卒業式を中止した場合、教育課程上はどのように補えばよいか。

A 一般的に、卒業式は、学習指導要領の特別活動に定める「儀式的行事」の一環として実施されているものと承知している。

 学習指導要領上、この「儀式的行事」は、

・学校生活に有意義な変化や折り目を付け、厳粛で清新な気分を味わい、新しい生活の展開への動機付けとなるようにすること

・小・中学校においては、いずれの学年においても実施すること

 ―を求めているが、その具体的な内容については定めていない。

 このため、例えば、始業式や終業式等の他の儀式的行事を学習指導要領の趣旨に沿ってすでに行っている場合には、臨時休業等のやむを得ない事情によって卒業式を行わなかったとしても、学習指導要領の定めに反するものではない。

Q10  卒業式を中止した場合、卒業証書の授与についてはどうすればよいか。

A 学校教育法施行規則の規定に基づき、各学校の校長は、全課程を修了したと認めた児童生徒には、卒業証書を授与することとされているが、授与の具体的な方法については特段の定めはない。

 したがって、各学校において、状況に応じ適宜対応いただきたい。卒業する児童生徒が登校する機会がない場合などには、郵送で卒業証書を授与するといった方法も考えられる。

(コロナウイルス関連 2020-03-04付)

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